「冷凍ギョーザ」と聞いて、多くの人が真っ先に思い浮かべるのは『味の素の冷凍ギョーザ』だろう。それは海外でも例外じゃないようで、ヨーロッパ諸国の冷凍食品コーナーへ行けば『GYOZA』とデッカく書かれた味の素ギョーザを発見できる。

意外なことにヨーロッパの味の素ギョーザは、日本より大きな “1袋30個入り” が基本。おまけに味の種類も豊富であることから、ヨーロッパ人はかなりのギョーザ好きとみていいのではないか。さっそく食べ比べてみたところ……シンプルに「全然違った」のでご報告しておく。

・在住日本人いこいの場

ヨーロッパ版・味の素ギョーザは、大都市圏であれば大きめのスーパーで普通に売られている。確実に入手したければアジア食材店へ行くといいだろう。

この日訪れたのはスペイン・マドリード市内の日本食材店『トーキョー屋』。スペイン移住がイージーモードに感じられるほど品揃え豊富だ。

私が購入したのは

・『CHICKEN & VEGETABLE』(4.2ユーロ / 約586円)
・『CHICKEN KATSU CURRY STYLE』(5.58ユーロ / 約779円)
・『DUCK』(5.58ユーロ / 約779円)
・『5 VEGETABLE + Spinach pastry』(3.98ユーロ / 約555円)
・『PRAWN』(8.5ユーロ/ 約1186円)

の5種類。シンプルな『PORK(豚肉)』もあったが、普通すぎるので今回は割愛
させていただいた。

どれも「揚げ」「焼き」「蒸し」「ゆで」に調理可能(『カレー』は「揚げ」「焼き」のみ)。

当たり前だが、詳しい調理法は外国語で書かれているため分かりにくい。ここは当サイトのギョーザ担当・原田記者に国際電話で助言を求めるとしよう。ハロー? こちらマドリード。


原田「フフ、心配には及びません。なぜなら味の素のギョーザは “水と油なしで誰でも簡単に羽根つきギョーザが作れちゃう” のがウリなんですから! …………えっ? “水と油が必要” と書いてあるって? なるほど……まだまだ発展途上なんですね、ヨーロッパのギョーザは


・余計な手間でした

同じ味の素でも、ヨーロッパで流通している冷凍ギョーザは “油と水で蒸し焼き” スタイルが基本。日本の情報にとらわれず、昔ながらのやり方で調理していこう。

まずは今回購入した中で最も無難そうな『CHICKEN & VEGETABLE(鶏肉と野菜)』から。一般的に餃子といえば豚肉を使用する場合が多いが、豚肉が食べられない人(宗教上の理由など)に配慮した商品なのだろうか?

フライパンで蒸し焼きにし、水分を飛ばせば……

おいしそうな焼き餃子が完成〜!

バルサミコをアレンジして酢醤油がわりに。

うん、さすがは天下の味の素。さっぱりチキンにシャキシャキ野菜のアクセントが楽しい仕上がりとなっている。クセがないので、お子さんやアジア料理に抵抗がある人もおいしく食べられるのではないだろうか。ただしニンニク強め。


・が、しかし

お次は今回の大本命『CHICKEN KATSU CURRY STYLE(チキンカツカレー風)』。パッケージ裏面には「ジャパニーズスタイル・チキンカレー」と記載されている。

北海道には『餃子カレー』(ギョーザが乗ったカレー)というソウルフードがあるらしいが、こちらはギョーザそのものをチキンカツカレー風にしちゃったという一品だ。逆になぜ日本に無いのかと不思議に感じるほど、ウマそうな予感しかしない。

カレー色の皮がビビッドでカワイイな! いただきま〜す!


味うっすぅぅぅぅううう!!!!!!!


ターメリック、クミン、シナモンといった複雑なスパイスの風味……いつかインドで食べた “ガチの本場・インドカレー” の味である。もちろんマズいわけではないが、日本のカレーをイメージして食べるとショックがデカいので覚悟しておいてくれ。

よく見ると5種類の中でカレーのみ、調理方法は “フライ” が推奨されているようだ。おそらくカリッと揚げて『サモサ』風に食べるとおいしいのだろうが、それならなぜ「ジャパニーズスタイル」と嘘をついたのか? 先に言ってほしかった……。

海外のグルメ・バリエーションには高確率で登場する『DUCK(あひる)』。過去の経験上、個人的にはやや身構えるものがある。

う〜ん……やはり超クセ強! レバーのようなサバ缶のような、ねっとりとした動物臭さがいつまでも口に残る。ギョーザであることを忘れてしまうほど濃厚な味わいなので、お口直しにスイーツなどを準備しておくのがオススメだ。

『5 VEGETABLE + Spinach pastry』は「5種類の野菜とホーレン草の皮」と訳せばいいのだろうか。ベジタリアンやビーガンの多い欧米において、肉を使わないメニューは必須である。企業努力の賜物、とくと味わわせていただくか。

うん……マズい! 残念ながら私のような素人には “ヘルシーである” という以外の良さを見つけることができなかった。日本で野菜ギョーザを作るとすれば「歯ごたえのある野菜を入れる」「ニンニクを効かせる」といった小ワザを駆使しそうなものだが、ヨーロッパ人の好みはそうじゃないのかな?

最後は『VEGETABLE』より2倍以上も高価な『PRAWN(エビ)』

よかった、おいしい! エビはエビでも干しエビのような濃い風味。東南アジアの屋台で食べるエビワンタンを彷彿とさせる味だ。ってことで日本人じみた感想ではあるが、今回の調査の結果、個人的には「やっぱ鶏肉とエビは安定感があって良い」という結論に達した。

逆にヨーロッパの人は日本の味の素ギョーザをどう評価するのか、非常に気になるところだが……日本とは異なる独自の進化を遂げているヨーロッパの味の素ギョーザ、ファンなら確実におさえておくべし!

執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.