なんという失態……! 危うくこの余りに素晴らしすぎるアニメを完全にスルーするところだった。

Netflixにて2022年9月13日から公開されている『サイバーパンク エッジランナーズ』だ。全話を一気に見た今、最も伝えたいことは一つしかない。

私のように出遅れた未視聴勢は、これ以上人生で退屈な時間の割合を増やす前に、今すぐ見た方がいいぞ! 今年はまだ3ヵ月残っているが、これが2022年の神アニメの1つであることは揺るがない。そう断言できるクオリティだ!

・スルー予定だった

スルーしかかっていた理由は2つある。1つは特定のネット配信サービス限定アニメの宿命か、存在感が希薄だったから。

そもそもこの形態のアニメは、地上波に比べて話題性の面で圧倒的に不利だと思う。

毎週同じ時間に1話ずつ公開される地上波のアニメで高いクオリティのものは、自然とTwitterなどで多くのファンによる同時視聴会のような状況が形成される。

それにより関連ワードが毎週トレンドの上位を独占。「流行ってる感」や「神アニメらしい」的な雰囲気が未視聴者にも伝わり、指数関数的に知名度と注目度が上昇していく。今期の『リコリス・リコイル』がいい例だろう。

対して特定のネット配信限定にて全話一括で公開されるタイプのアニメは、どんな神作品であれ地上波のアニメのような同時視聴会が自然に発生することは、ほぼ無い。

配信サービスの加入者的にはいつでも自分のペースで見ることができるため、視聴者はバラバラのタイミングでバラバラな話数の感想を投稿するのみ。関連ワードのトレンド入りなど絶望的だ。


・時期も

2つ目は公開時期。9月13日! 夏アニメの視聴継続を決める選抜期はとっくに終了し、あとは推し作品がコケずに最後まで駆け抜けてくれるよう見守るばかりという時期。

微妙に、そこから新作を1話から品定め……というテンションになるには、少しハードルがある気がするのだ。特に、今期は個人的に豊作だった点も追い打ちをかけた。すでにほど良い満足感を得ていたのだ。

よくて「覚えていたら(絶対忘れる)秋アニメが開始した頃にチェックするかも」みたいな、永遠の後回しムーヴ。

そういう感じで、目に見えて神作品っぽい雰囲気が私の棲息圏で観測できなかったこと。そして今期はすでに満足していたことから、スルー枠にブチ込んでしまったのだ


・19分でキマる

それが、奇しくも3連休が台風と重って暇で死にそうになっていたタイミングで、ダメ押し的にネトフリから”オススメの新着”メールが届き、なんとなくリンクをクリックしたという感じ。


視聴開始はかくもやる気のないものだったが、『サイバーパンク エッジランナーズ』のヤバさは開始19分で、私の情緒を踏みつぶされた完熟バナナみたいにした。この展開、スピード感がぶっ壊れてんだろ……!

流れるように2話に突入し、ヒロインのルーシーが登場。視聴者全員を彼女のファンにさせる描写が盛られまくっており、「なんか良い感じになりそう」感が高まる終わり方。

止まる理由がないので3話に突入したら、全ての予想を裏切る冒頭。からの、色々と起きまくりつつメンバー紹介やキャラ同士の関係性の進展も踏まえた日常な流れが4話半ばまで続く。



キリが良さそうなので4話終わったら休憩すっか……と思っていたら、それを読んでいたかのように後半でもたらされる核爆発のごとき衝撃と急加速。

色々と気になる5話を経て、最初の山場の6話。もし地上波だったら6話はトレンド1位確定だったろう。そして仕切り直しの7話。

久しぶりの安定感……かと思いきや、急速に漂い始める不穏な感じ。もはや止め所が無いので8話に突入すると、そこから最終10話までの吸引力はブラックホールもかくや。光すらも捕らえて夢中にさせる。

ということで最初の3話でジャッジどころか、最初の19分を見ただけで、全10話全部ぶっ通し不可避にされた。見終わって数日経つが、いまだにテンションが月までブチ上がったままだ。

これは話数に対する展開の緩急、キャラクターの内外のデザインの妙(特にレベッカ。エッジ―でハードな世界観に対し、彼女の存在は巧みすぎる)と、その魅せ方。

感情を揺さぶるテクいBGMの挿入スタイルも無視できない。わかりやすいストーリーが、これらのパーツで完全武装し、全てが凄まじく高い水準で組みあがっている。素晴らしいクオリティの1本だ。

ということで、この記事冒頭の主張に戻るわけだ。頭からここまで流し読みして、ザっと1分半ってところか? ひとたび視聴すれば、1分半早く見ておきかったと思うに違いない。


・原作ゲームは無関係

それでもまだ迷っている未視聴勢の多くは、きっとこう考えているのだろう。“せやかて原作ゲームのこと、よう知らんし”

その点は全く気にしなくても大丈夫だ! アニメ『サイバーパンク エッジランナーズ』で描かれるストーリーは、ゲームと1ミリも関係が無い

アニメと原作ゲームの関係性を例えるなら、『呪術廻戦』と東京都くらいの関係性と言ったところ。つまり作品とロケ地的な。

未プレイな方のために書くが、原作ゲーム内には「ナイトシティ」というリアルな街が構築されている。

『サイバーパンク エッジランナーズ』は、その「ナイトシティ」をロケハンして作られたアニメ……のようなものだ。

「エッジランナーズ」の出来事はゲーム本編より時系列的に少し過去だと思われるので、正確にはゲームの前日譚なのだろうけれど。

でもその言い方だと、微妙に両者のストーリーに関係がありそうな伝わり方をしそうじゃん? ここはあえて “ゲーム内の街をロケハンして作られたアニメ” と言っておきたい。

その方が関係性の希薄さが伝わり方だけ見れば正確だろう。原作ゲームをプレイ・所持していて得られるアドバンテージは、アニメ視聴後に聖地巡礼ができるということくらいだ


ほんの数人アニメとゲームの両方に登場する人物もいる。しかしそれも、ハリウッド映画に合衆国大統領が出てくるようなもの。一切の事前知識は不要だ!

もしかしたらほんの数語のみ、用語についての知識があるとスムーズかもしれない(基本的に文脈で意味を把握できるのだが)。それとて公式HPの用語集を見れば秒で解決する。


ゲーム未プレイ勢は、普通に完全オリジナルの新作アニメという認識で見てしまって何の問題も生じない。

ということで、マジでおススメだ!! あ、ネトフリ未加入者ってパターンもあるか……でもほら、映画に2000円くらい払うっしょ? なら1ヵ月だけ990円払ってこの10話を見るのはほぼ無料みたいなもの


参考リンク:サイバーパンク エッジランナーズ、Instagram cyberpunkgame
執筆:江川資具
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▼アニメのBGMは、ゲーム内のラジオで流れている「ナイトシティ」の流行曲。プレイ中はマジにただのBGMって感じだったが、アニメで意味が増した曲が多数。特にこれ。歌詞のシンクロ率も異常っていう。


▼ゲーム内だとこのラジオでたまに流れている。