皆さんは、宝島社が出版している「ブランドブック」というものをご存知だろうか。やたら質の高い付録付きの小冊子と言った方が通りが良いかもしれない。主にファッションブランドが扱われることが多く、バッグやポーチなどの付属アイテムがウリになっていたりする。
一方、過去に当サイトでも取り上げているように、「カップヌードル」や「ドムドムバーガー」といった食関連ブランドのそれも例外的に存在する。そして先日2022年9月24日にも、ポテトチップスで有名な「Calbee(カルビー)」のブランドブックが発売された。
史上初となるそのブランドブックの名は、「Calbee ポテトチップス ティッシュケースにもなるポーチ BOOK うすしお味」。情報量が多すぎるあまり、もはやAmazonで時折見かける胡乱(うろん)な商品のような風情を醸しているが、しかし興味をそそられて仕方がない。
というわけで、筆者は実物を入手することにした。名前から微妙にわかる通り、本商品の付録はカルビーの「ポテトチップス うすしお味」を模したポーチとなっている。全国のファミリーマートおよび宝島チャンネルにて購入可能で、価格は2178円だった。
ちなみに「コンソメパンチ」も同時発売されていたのだが、今回はオーソドックスに「うすしお」を選んだ。早くも混乱を招く内容になっているのでリマインドしておくと、これはブランドブックの話である。
ひとまず小冊子の方は置いて、主役とおぼしき付録からレビューしよう。見た目はほぼほぼ「うすしお」味のポテトだ。本物の「うすしお」と見比べても、抜かりのないそっくりさである。
裏面の製品表示まで再現されている手の凝りようだ。絶対にケチはつけさせないという気概を感じる。
とはいえ、使用期限の欄には「好きでいてくれる限りずっと」などと書いてあり、茶目っ気が垣間見えたりもする。脱力しつつ丁寧な仕事ぶりは恐ろしいほどプロである。
と、こんな具合に限りなく「うすしお」ポテトの様相を呈しつつも、しかし手に取ってみると、なんというか実にポーチなのである。触り心地がなめらかで、縫製もしっかりしている。
サイド部分にはファスナーが設けられており、ここから物を入れることができる。
ちなみにそのファスナー部分には、異様に精巧なポテトのチャームが付いている。あまりファッションには詳しくないが、これがワンポイントというものなのかもしれない。
加えて取り外し可能なストラップも付いているため、手に提げて携帯することが可能だ。ここで言う「可能」とは物理的な意味合いであり、社会的に可能かどうかは各自判断が必要だろう。
ともあれ、ポーチとして利用するからには、その容量も気になってくる。ファスナーを開けると、底面にマチが作ってあり、思いのほか収納力が高いことが窺えた。
実際、試しに手近にあったブルーレイケースを入れてみたところ、それが3つ収まるくらいのパフォーマンスは見せてくれた。ポテトの見た目をしたポーチにブルーレイケースを入れるのが初めてだったので不手際があったら申し訳ないが、これならかなり用途は広そうだ。
さらに驚くべきことに、このアイテムの特長はまだ尽きない。背面部分にもスペースがあるポーチはなかなか希少だろう。収納しようとした時、いわゆる「パーティ開け」の格好となるのがたまらない。
ただ、このスペースにはファスナーがなく、大事な物を入れるとしたら心もとないことは否めない。というより、背面部分の用途は「ある一点」に特化していると表した方が正しい。
その「一点」とは、おそらく記事の冒頭からここまで長らく皆さんの脳裏に鎮座し続けていたであろう要素、つまりティッシュケースである。
わけのわからない機能と言えばわけのわからない機能だが、これも実際に試したところ本当にティッシュケースになったので、それ以上でもそれ以下でもない。
最後に、小冊子の方についても軽く触れておこう。読んでみると、カルビーのポテトチップスの歴史から、原材料であるじゃがいも作りの過程や工場加工の様子、ファン必見のトリビアなどが、写真付きで細かに書かれてあった。
「何かを消費する際に文脈を大事にするタイプの人」なら、かなりの確率で刺さる内容だろう。筆者もまあまあそのタイプなので、これからカルビーのポテトを食べる時には常にこの冊子を横に置いておこうと思う。
さて、以上でレビューは終わりとなるが、いかがだっただろうか。質は高けれどクセの強い、ゆえにこそ愛すべきこの商品の魅力を、少しでも伝えられていれば幸いである。気になった方はぜひ入手してみてほしい。
決してポテトチップスのように丸くはない、エッジの利いた逸品があなたを待っている。
参考リンク:宝島社「Calbee ポテトチップス ティッシュケースにもなるポーチ BOOK うすしお味」
執筆:西本大紀
Photo:Rocketnews24.
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