いまや定番シリーズとなった宝島社の「人気飲食チェーン公式ファンブック」。最新号はドムドムハンバーガーだ。

同シリーズはもう何冊も愛読しているので内容の予想はつく。企業ヒストリーとかメニュー開発秘話といった特集ページに、年間割引クーポンがついてるんでしょハイハイ……などと思っていたら、な、な、なんじゃこれはー!!!

企画を考えた人も取材に応えた人も頭がどうかして……もとい、ユニークすぎる内容だったのでちょっと聞いて欲しい。


・『ドムドムハンバーガーFANBOOK』(宝島社/税込2794円)

書店に並ぶそれは、付録つきマガジンによくある「紙箱と雑誌が一体化した分厚いボックス」だ。

表紙からして「バーガー界の絶滅危惧種」「覚えてますか? ドムドムのこと」といった自虐コピーが目に飛び込んでくる。

もちろん覚えているよ、ダイエーの食料品フロアにあったじゃない。筆者の地元から消えて数十年。どれだけ時間が経っても、夏の日に友達と食べたあの味を忘れるわけがない。そんな悲しいこと言わないで……



……と涙を誘ったのも束の間、いざページをめくると理解不能なドムドムワールドが待ち受けていた。


たとえばこのようなムック本では定番、会社のヒストリーのページ。ところが、1号店オープンから40年ほどの記載がごっそり抜けた、やたら大まかな社史なのである。その理由は「今まで数々の会社の傘下となり」「記録が残っていない」のだという。おいっ!


人気商品をランキング形式で紹介するページでは「売れなかった部門」を赤裸々に告白していたり……


納豆だとかイカゲソだとか「それ商品化しなくてよかったね」と言いたくなるような「幻の没バーガー特集」があったり……


マスコットキャラクター・どむぞうくんの変遷に文春砲のごとく切り込んだら、広報担当者が「何も知らない」「Wikipediaに書いてあった」などと、しらばっくれていたり……


記事の欄外に「社長の初恋のエピソードを教えてください」という質問コーナーがあったり、もう本当にカオスである。


とどめは「本当に好きなバーガー屋さんはどこ?」のアンケート。なるほど読者アンケートか……って「回答者がドムドム従業員」じゃないかい!


これでドムドム以外に票を入れていたらヤバ………って、え? えええ?


……筆者の口からは、もう何も言えない。衝撃の結果は、ぜひあなたの目で確かめてみて欲しい。


・付録は大まじめ

今回のムックには、割引クーポンではなく「レトロデザインランチトート」「どむぞうくんぬいぐるみポーチ」の2大付録がついてる。完全に遊んでいる誌面とは対照的に、この付録が本格派!

まずは「レトロデザインランチトート」。どこがレトロなのかというと、かつて使われていた旧ロゴがデザインされているのだ。

現在のシンプルな新ロゴになった頃には、筆者の地元からはとっくに店舗がなくなっていたので、個人的にはこちらに親しみがある。

幅25cm × 高さ21cm × マチ16.5cmと、底を広げればしっかり自立する。高さは500mlのペットボトルほどで、ほぼ正方形なので雑誌やノートは入らないが、弁当箱&水筒なら十分。

ちょっとした小物を入れられる内ポケットつき。スマホや財布をさっと入れて、そのまま公園ランチに出かけられる。

反対側には新ロゴがデザインされ、新旧両方を楽しめる。


そして「どむぞうくん ぬいぐるみポーチ」は、発売2分で完売したという「どむぞうくん ぬいぐるみ」を模したポーチ。

手のひらにすっぽり収まるサイズ感で、猛烈に可愛い。かつては二足歩行でオーバーオールを着た どむぞうくん(前段の画像参照) も存在していたというが、今のデザインが一番。

ピョコンと飛び出たしっぽや、縫い付けられたタグもキュート。


背中のジッパーを開けると鍵やリップクリームなど小物が入る仕様だが、収納力はほとんどないのでマスコットとして愛でるのが正解。

ボールチェーンつきなのでトートにぶら下げるのがオススメ。可愛さが倍増する。


・これはマストバイ!

付録が豪華なのはもちろん、本誌だけでも一見の価値あり。ここで紹介しなかったページも、お笑い芸人ゴー☆ジャス氏のインタビューや、社長の過去をなぜか漫画化したページなど、濃い企画ばかりだ。

「クーポンついてないなら買わない」などと言わずに、1mmでもドムドムに思い入れがあるならマストバイ。

ちょっと心配なのが、ドムドムが生存している地域と、そうではない地域で売れ行きに天と地の差が出るのではないかということ。

あぁ、もう一度ドムドムに会いたい……。自ら「絶滅危惧種」を名乗るドムドムハンバーガーだが、2020年にはついに黒字化し、2年7カ月ぶりに新店舗「浅草花やしき店」を出店したのだという。この勢いで、全国制覇を熱く希望!


参考リンク:宝島チャンネルPR TIMES
執筆:冨樫さや
Photo:PR TIMES、RocketNews24.