夏バテに効きそうな料理といえば、うなぎの蒲焼き。読者のみなさんは、土用の丑の日にもう召し上がっただろうか。
グンマーこと群馬県では、うな重そっくりの “なす重” なるグルメが存在するらしい。どうやら、うなぎの代わりになすを蒲焼きにして重箱へ盛り付けているようなのだ。
……いったいどんな魔法を使えば、うなぎがなすに化けるというのだろう。気になる。さっそく筆者は、『なすの蒲焼重』を販売している「かわとみ」へ向かうことにした。
・グンマー感ハンパない「かわとみ」
というわけで、まずやってきたのは群馬県太田市の「三枚橋(さんまいばし)駅」。田園風景が広がるのどかな場所だ。ここから徒歩約20分か……店付近までバスは出ていないようなので、のんびり歩いていくとしよう。
半袖Tシャツが汗でビショビショになった頃、ふと顔を上げると……遠くに『なすの蒲焼重』の看板やのぼり旗が見えた。田んぼのど真ん中に力強い存在感を放っていて、思わずニヤリ。
う〜ん、地図によればこの辺りのはずなんだけど。ぐるりと見渡しても、店らしき建物が見当たらな……あ! 茂みの奥になんか見えた! もしや……
そこかーッ!!
……ここが目的地の「かわとみ」のようだ。外壁にモサモサと草木が生い茂ってますやん……めっちゃワイルド。ブラジル国旗のようなカラーリングもインパクト大。グンマー感ハンパないって。
近づいてみると壁にメニュー表が飾ってあった。お目当のなす重以外にも、デカ盛り焼きそばなどがあり、どれもウマそうで食欲をそそられる。持ち帰りもできるが、今回は店内で食事をするつもりだ。
テイクアウトに限らずイートインの場合でも、店先で注文(先払い)を済ませなければならないようだ。さっそく『なすの蒲焼重(税込1100円)』をオーダー。注文口から蒲焼きの香ばしさが漂う。先客のなす重を焼いているのか……あぁなんてイイ香りなんだろう。
・なす重を食らう
その後、スタッフに案内されて入店。……想像していたより広いな。窓もたくさんあって開放的だし、エアコンもガンガン効いてて快適。
席に着いて10分もしないうちに、出来上がりの呼び出しがかかる。おッ、キタキタ! 呼ばれたら自分で取りに行くスタイル。水もセルフサービスで、なんだかフードコートっぽい。味噌汁に漬物付きかぁ、コショウや予備の特製ダレもあるぞ。いいね、こういうの嬉しい。
重箱のどっしりとした存在感たるや、テンションが上がるぜ。さてさて、お待ちかね。ドキドキしながらフタを開けてみると……
ッ!!
こ、これはもう……
うな重じゃないかーッ!!
思わず目を疑った……。この焼き加減や色味、タレで照り輝くふっくらとした姿は、うな重そっくり! あの甘じょっぱい香りもふわっと広がり、完全に視覚と嗅覚をやられた。
見れば見るほど、嗅げば嗅ぐほど、これが “なす” とは信じがたい。……ウマそう。いや、もうウマいに違いないだろうが、冷めないうちに肝心の味をチェックだ。
箸でひょいと掴んだら、その下にチラッとなにかが見えたぞ。これ……
ローストチキン! 細かく刻んだ海苔もたくさん敷き詰められている。……イイ、すごくイイ! 食べる人を飽きさせない工夫、かなり嬉しい!
……なすのプリップリな歯ごたえがたまらない。絶妙な焼き加減のおかげで、なすの香ばしさとみずみずしさがジュワッと口の中へ広がる。柔らかく、弾力もあって……例えるならば、映画『千と千尋の神隠し』で千尋のお父さんが食べていたプルンプルンの肉みたいな感じ。とにかく……
なすウンマッ!!
特製ダレがチキンや海苔、白米にもたっぷり染み渡っていて最高。うな重を食べているときとほぼ変わらない幸福感……いや、むしろそれ以上かもしれない。筆者は、なす重のほうが食べていて楽しいと感じる。このなすの食感はクセになりそうだ。
箸が止まらず、あっという間に食べ終わってしまった。なすにこれほどの可能性があったとは驚きで、ちょっと感動している。
『なすの蒲焼重』はバッチリ記憶に残るナイスアイデアの絶品グルメだ。クチコミでの人気が高いのも納得。何度でも食べたくなる不思議な魔力を秘めている。
もし、群馬県太田市を訪れる機会があれば、「かわとみ」に立ち寄ってみてはいかがだろうか。ちなみに、ネットで通信販売もやっているそうなので、気になる人は『なすの蒲焼重』を取り寄せてみるのもいいかもしれないぞ。
・今回ご紹介した飲食店の詳細データ
店名 かわとみ
住所 群馬県太田市強戸町178-2
時間 11:30〜14:30(イートインの場合は14:00まで / テイクアウトの場合は14:30まで)
休日 水曜日・木曜日
執筆:古沢崇道
Photo:RocketNews24.
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