
子どもの頃、考えたことはないだろうか。鬼ヶ島から得意げに宝を持ち帰るのは犯罪じゃないのか。開けちゃいけない玉手箱なら、なぜ浦島太郎に持たせてよこすのか。どうして「おじいさん と おばあさん」ばかり登場して、普通のお父さんやお母さんはいないのか。
そんな昔話の理不尽を正せるアプリが登場した。
正しくは、子どもの自由な発想を育む昔話創作アプリが登場した。よく知られた「桃太郎」のストーリーを、ゲーム感覚で改変できる教育コンテンツ。大きなお友達である筆者がプレイしてみたところ、相当にシュールだったのでご紹介したい。
・「みんなの昔話」
知らない人はいないだろうが、一般的な「桃太郎」のあらすじは以下のとおり。
昔々あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいた。おばあさんが川へ洗濯に出かけたところ、上流から大きな桃が流れてきた。持ち帰って食べようとすると中から元気な男の子が登場。
「桃太郎」と名づけられ立派に成長した男の子は、村を困らせている鬼を退治しに出かける。おばあさんお手製の「きびだんご」でイヌ、サル、キジを仲間にした桃太郎は鬼ヶ島で鬼を成敗。金銀財宝を持ち帰る────
桃を包丁で切ったりしたら中の子どもも……など、初期状態からすでにツッコミどころは満載なのだが、それが昔話。なんとなく「そういうもの」と飲み込んできた部分ではないだろうか。
※以下、ストーリーの途中の場面写真など一部ネタバレがあります。ストーリー分岐は多数のパターンがありますが、事前に展開をいっさい知りたくない方はご注意ください。
アプリを起動すると、可愛らしい教育アニメーション調の昔話がスタート。おなじみのストーリーがテキスト表示されるのだが、穴埋め問題のように「人物」や「場所」を変更できる。すると物語が分岐し……
とんでもないドラマが繰り広げられていく。
「なんで桃なんだよ」「なんでいつも鬼ばかり迫害されるんだよ」といったモヤモヤが解消される。そう、それはある種のカタルシス。常識から解き放たれ、自分の殻を脱ぎ捨てていくような……
別に「おとも」が動物じゃなくたっていいじゃないか。そもそも人類が全生物の主人だという発想からして、時代にそぐわない。
動物が傷つく表現がいっさいダメというユーザーもいるくらいだ。筆者もコンパニオンアニマルを連れて歩けるようなアクションゲームでは、決してイヌやネコ科動物を選ばない。戦闘を補助してくれるシステムでも「待機」を命令する。ダメージ描写に耐えられないんだもの。
鬼が生まれてもいいじゃないか。可愛がって育ててください。
たまには大惨事を引き起こしたって構わない。周囲が期待する「あの人ってこうだよね」というイメージを、思いっきり裏切りたいときだってある。本当はいい人なんかじゃないんだ!
怒濤のストーリー分岐は、こんなもんじゃない。まだまだまだまだある。
野生に帰ってしまった。
小学生男子か。
話が変わっとるがな。
見つけたエンディングは記録され、ルートマップで確認できる。これサウンドノベルで全エンディングを見つけるために、自分でノートにメモするヤツ……
それぞれのエンディングにはタイトルがあり、「かえってこなかった おとこのこ」など不穏なものも。都市伝説……?
・謎のキャラも出てくるが……
一部、桃太郎とは関係のなさそうなキャラクターがいるが、テーマパーク「リトルプラネット」のマスコットだそう。
こちらはデジタルアトラクションを中心とした「次世代型テーマパーク」として、首都圏のほか大阪、名古屋など全国10カ所に常設パークを展開中。
「みんなの昔話」は、もともと同テーマパークで遊ばれていたタッチパネル遊具がアプリの原型なのだとか。2020年には「デジタルえほんアワード」で審査員特別賞を受賞。良質な教育コンテンツとして評価されている。
かなりの数のエンディングがあるが、「納得のいくストーリー」「いい意味で期待を裏切るストーリー」といった観点で吟味して残ったものだそう。
「物事には多様性がある」「結末はひとつではない」「常識にとらわれずに自由に発想してよい」といったメッセージが伝わってくる。子どもの成長を本気で考えて作られたアプリなのだ。
・続編希望!
アプリは「App Store」「Google Play」で無料ダウンロード可能。子どもが安心して遊べるよう、広告表示が入らない親切設計。対象年齢は3~8歳だ。
今回は「桃太郎」だが、いろいろな物語を見てみたい。とくに登場人物がささいな欲を出したばかりに不幸になったり、報復とはいえ悪者をひどいめに遭わせたり、といった不条理系が気になる。
たとえば「舌切り雀」「こぶとりじいさん」「花咲かじいさん」「さるかに合戦」「かちかち山」「耳なし芳一」……あれ、不穏な話が多すぎるな。日本の昔話、ちょっと怖……。
参考リンク:App Store、Google Play、リトルプラネット
執筆:冨樫さや
Photo:PR TIMES、RocketNews24.
ScreenShot:みんなの昔話(iOS)
冨樫さや














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