君と夏の終わり♪ 将来の夢♪ 大きな希望忘れない♪ 『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』から11年。秩父は私(中澤)の心の故郷と言えるだろう。むしろ、身近に感じすぎて飯能くらいの距離感で考えていたので、思っていたより遠くてビビッた。池袋から行ったらほぼ旅である。
なぜ10年後の8月ではなく、11年後の6月に秩父に向かうのか? それは編集長のGO羽鳥と待ち合わせしているからだ。
・朝日射し込む西武秩父線
土地勘の全くない人のために説明すると、西武秩父駅は西武鉄道西武秩父線の終点であり、西武鉄道最西端および最北端の駅である。乗れば乗るほどに、電車は街を越え丘を越え山に分け入っていく。渓谷でいちいち騒がなくなるレベル。
それゆえか、平日の朝早くから西武秩父へと向かう各駅停車の車内はガラガラだった。私以外は中年カップルが1組いるだけ。ガタンゴトンという揺れにうつらうつらとしていると、酒を飲んだ中年カップルの痴話喧嘩が遠くに聞こえる。静寂以上に静寂を感じる味わい深さ。これがワビサビというものか──。
・なぜか上司ブチギレ
という話を西武秩父で合流した上司のGO羽鳥にしてみたところブチギレられた。
GO羽鳥「各駅停車でうつらうつらと来ただと……? 各停乗ってる場合じゃないだろ!? おいおい勘弁してくれよ頼むよホントおいおい~」
──え!? キレてます?
GO羽鳥「キレちゃいないよ。でも、キラさない限りは勝てないよな多分。俺の勝負はそっからだから。うん。まあ、キレていいのか悪いのか、うん」
──なんか知らんけど明らかにキレている。しかし解せない。各駅停車で来ることの何がそんなにいけなかったのだろうか。
ちなみに、遅刻はしていない。むしろ、私の方が先に着いている。ではなぜGO羽鳥は写真すら撮る暇もないほど突如としてキレだしたのか。そこで本人に聞いてみた。なんでキレてるんですか?
GO羽鳥「西武秩父来るのに特急ラビュー乗ってないってどういうことだよ!」
──すみません、特急ラビューって何ですか?
GO羽鳥「おいおい頼むよ~! 特急ラビューを知らずによく池袋から秩父まで来れたな? 椅子はふわふわで超快適だし枕もついてて、池袋から4駅しか止まらないから遠さも感じない。まさに、池袋~西武秩父間の新幹線なのに特急券710円ってコスパ良すぎな有料特急だろおいおい~」
──それは確かに安い気がしますね。
GO羽鳥「何よりヤバイのは窓だ。窓が超デカくて、壁が足元くらいまで窓になってるから、景色がめちゃくちゃ広いんだ。椅子に座った状態でも上半身がすっぽり窓になるから、渓谷の上を飛んでるみたいな気分が味わえる。なんなら今日、西武秩父で待ち合わせたのもこの電車に乗るためだぞ」
──僕、そのために6時起きだったんですが……。
GO羽鳥「特急ラビューに乗っていれば、もう少し眠れていただろう。秩父来るのにラビュー乗らないバカいるかよ!」
──ラビューの魅力にやられすぎて、もはや、ラビューなしでは秩父ではないと訴えるGO羽鳥。というわけで……
一緒に特急ラビューに乗って帰った。
最高の思い出を──。
<バイバイ。>
参考リンク:特急ラビュー
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
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