最近、ローソンストア100の弁当が注目を集めている。具材がウインナーとスパゲティのみの「ウインナー弁当」や、それと酷似した構成の「ミートボール弁当」が、そのあまりのシンプルさ、見惚れるほどの凝らなさ具合によって世間に与えた衝撃は大きい。

そしてつい先日、2022年5月11日に、シンプルシリーズの新たな一員とも呼ぶべき商品が発売されたのを皆さんはご存知だろうか。その名も「さけ茶づけ」である。実はこの商品、永谷園とのコラボで生まれたものなのだが、驚くべきはコラボの仕方だ。

というのも、永谷園の有名ブランドである「お茶づけ海苔」の鮭味が、言わば「生(き)」の状態のままダイレクトに商品に添えてあるのである。

これがただの白米とのセットであったなら大いなる物議を醸していただろうが、ご飯部分には鮭フレークが振りかけてあるので、一応の体裁は整っていると言える。だがそれでも、少なくとも筆者は、この商品を目にした時に衝撃を受けずにいられなかった。

永谷園と共同開発したにせよ、傍目には永谷園の既存商品に大胆なまでに重心を預けているようにしか見えない。そのあまりのシンプルさ、息を呑むほどの凝らなさ具合に心を揺さぶられた。こんな形のコラボもあるのかと驚嘆した。

なので、買った。買わずにはいられなかった。価格は216円だった。

調理方法に関しては容易に予想がつくと思うので詳細は省きたい。ちなみにローソンストア100の公式HPには「お茶を注ぐだけで完成!」と大々的に書かれてあるのだが、「まあそれはそうだろう」という思いである。僭越ながら補足しておくと、お湯でも可である。

数分ののちに完成した「さけ茶づけ」は、やはりと言うべきか、目の当たりにした者に強烈な既視感を抱かせる外見だった。果たして味の方はどうなのか。妙な好奇心に押されつつ、箸を差し入れてみる。

すると、意外にも筆者の舌が最初に感じ取ったのは、永谷園の「お茶づけ海苔」以外の要素だった。つまり鮭フレークである。しっとりと柔らかな食感をしており、鮭の旨味も存分に備えている。

加えてアクセント程度に混じっている胡麻も良い風味付けの役割を果たしていて、もっと言うなら、米も炊き立てのものとほぼ遜色がないほどふっくらしている。嘘偽りなく、上質な鮭茶漬けだ。これは美味しい。

美味しいのだが、やはり根本の土台となっているのは永谷園の「お茶づけ海苔」である。当然である。永谷園の「お茶づけ海苔」が入っているのだから、永谷園の「お茶づけ海苔」の味がするのは道理である。なんだかんだ言って永谷園由来の出汁が見事に支配的なのである。

しかしながら、「でも美味しいからいいじゃん」と言われれば、ぐうの音も出ない。美味しい。それは揺るぎない。結論としては「永谷園のお茶漬けのややグレードアップ版」という感じで、そんなもの、魅力的でないわけがないのである。

ちなみに公式HPには、「ちょっと小腹がすいた時や温かい汁物をお腹に入れたい時にサラサラと召し上がっていただけます」と書かれてあり、「まあそれはそうだろう」という思いが湧くと同時に、「このクオリティの鮭茶漬けがコンビニで手に入るのは確かに嬉しい」とも思わされる。

皆さんも興味があったら、ぜひ入手してみてもらいたい。最終的にはこの「普通ならありえない潔さ」がクセになるはずだ。0か100か、そこで迷わず徹底的に、100のシンプルさを叩きつけてくるのがローソンストア100である。

参考リンク:ローソンストア100 公式HP
執筆:西本大紀
Photo:Rocketnews24.