
昨年10月。パリ中心部を歩いていると、突如目の前に大行列が出現した。時刻は13時30分。パリには何度か来ているが、これほどの行列を私は見たことがない。群衆が向かう先を見ると、コレがどうやら『ラーメン屋』らしいのだ。よく分かんないけど記者として並ぶしかねぇ!
しかし最後尾に並んで10分ほどが経過した頃、後ろからチョイチョイと私の肩をつつく者がいる。さてはナンパか? 「ノー!」とばかりに毅然と振り返る私。すると……あぁ、なんということだ!
不覚にも私が最後尾だと思っていたのは列の途中。歩道の向こう側には、さらに延々と行列が続いていたのであった。恥ずかしさのあまり逃げるように去る私。こうなったら出直すしかねぇ!!!
・謎のラーメン屋『こだわり』
ってことで数日後、17時ごろを狙って再び問題のラーメン屋『Kodawari Ramen Tsukiji(こだわりラーメン・築地)』を訪れた。パリのディナータイムは日本より遅い19時〜20時ごろにスタートするのが一般的。この時間帯であればお店が空いていると読んだのだ。
結果は的中! ほぼ待ち時間ナシで入店することができたぞ。行列が苦手な人は夕方を狙って来店するのがオススメだ。それにしてもこの外観、とてもパリとは思えないな……さっそく入店してみると……
完 全 な カ オ ス
パリにある謎のラーメン屋『こだわりラーメン・築地』の正体は……
“日本の市場(たぶん築地)を完全に再現したラーメン屋” だったのだ。
繰り返すが、ここは紛れもなくパリ。いくらなんでもやりすぎなうえ、パリの人が「市場 = ラーメンを食うところ」と誤解する危険性があるのでは……いや、すでに手遅れか。
・ “日本風” の向こう側へ
案内された席もまたカオス。
港の食堂……というより “市場のバックヤードで漁師がまかないを食う場所” といったほうがイメージと近いかも知れない。実物を見たことはないが。
『こだわり』のスゴイのは、細部まで手抜きのない店づくりだ。おそらく客のほとんどは日本語が読めないと推測されるなか、店内にレイアウトされたチラシやポスター類は全て築地と関連するものばかり。本物の築地でもこれほど築地っぽくはないんじゃないか?
手書きのメモ書きのようなものも多数見られるが、一体どこから持ってきたのだろう? 謎は深まるばかりである。
古ぼけた「片山さつきステッカー」が絶妙すぎて震える。
……おっと。インテリアに見入って注文を忘れるところだった。メニューを見ると『イワシ』か『タイ』を基調としたラーメンが選べるようだ。中でも異彩を放つ『鰯BOMB!!』なるメニューをチョイス。価格は13.5ユーロ(約1885円)と、パリの物価を考えれば全然高くない。
3.5ユーロ(約489円)でペットボトルのお茶が出てきたのも地味に嬉しい。実は私が日本を離れて最も辛かったのが “お茶が売っていない” という問題だったからだ。さすが分かってんな〜って感じ! ちなみに店内に流れるBGMは、ズバリ『市場のザワザワ感を録音したヤツ』。
ザワザワ……ガタガタ……マグロマグロ〜! 安いよ〜! キィ〜、キィ〜(カートを引く音)……へい、らっしゃい! ザワザワ……マグロだよ〜! ガタガタ……ザワザワ……
……といった感じの音声が延々と流れ続けているのである。引くほどこだわり強めだが、パリの人たちは一体どの程度状況を理解しているのだろう? ……とか考えてたらラーメンが運ばれてきました。日本の皆さんお待ちかね!
こちらが『鰯BOMB!!』になります!
・時空がバグっている件
う〜む、シンプルかつ大胆! 見るからに濃厚そうなスープをひと口飲んだ瞬間……
私の脳裏に「イワシは飲み物」という、一瞬でつぶれる居酒屋の名前みたいなワードが浮かんだ。マジでイワシそのものを飲んでるくらい濃縮され切ったイワシのスープ! 『イワシ爆弾』の名に恥じぬ逸品である!
ツルリとした中太麺には、外国だと滅多にお目にかかれぬ力強い “コシ” が。これほどオイルが浮いているというのに、ち〜とも油っこくない。
そして主役であるイワシの切り身は……なんと表面だけ炙ったミディアムレア状態! こんなもん “日本中のラーメン屋を制覇してしまった男が最後に辿り着いた至極の1杯” やないか!
そして麺を全部食べ切った後、底のほうからヌッ! と登場したのは大判厚切りチャーシュー!!! 日本のラーメン屋でもよほどの自信がなければ、これを丼の下に隠す勇気は無いだろう。これほどツウ好みのしそうなラーメンがパリで受け入れられているとは……恐るべし。
お店の方に「おいしかった」と告げると、日本語で「アリガトゴジャマシター!」と威勢のいい返事が返ってきた。こだわりが強すぎるあまり日本より日本っぽくなってしまったラーメン店『こだわり』。パリを訪れた際は必ず足を運んでほしい名店だ。
なお今回お伝えした『築地』の姉妹店『横丁』にも連日大変な行列ができており、こちらは地鶏をベースにしたラーメンが食べられるようだ。一体どんな横丁だというのか……? 次回のお楽しみにとっておこうっと。
・今回ご紹介した店舗の詳細データ
店名 Kodawari Ramen (Tsukiji)
住所 12 Rue de Richelieu, 75001 Paris
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.
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▼実はかなり広い『こだわり』店内。一部しかお伝えし切れなくて残念だ
亀沢郁奈



























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