豊富なバリエーションと確かな味で人気を博す「無印良品」のレトルトカレーが、全部で何種類あるかご存じだろうか? 答えは53種類である。繰り返す、53種類である。それはもうほぼカレー屋だろう。そう、無印良品とはカレー屋だったのである。
で、ふと思った。無印のレトルトカレーをすべて混ぜたら、無印カレー王が誕生するのではないかと。そこで今回、無印のカレー全53種類をネットで購入し、それらを一つの鍋にブチ込んでみることに。王が生まれる瞬間を、どうか見逃さないでほしい。
・無印カレーをコンプリート
今回、カレーはすべて無印良品のネットストアにて購入した。サイトに掲載されているカレーは2022年4月14日の時点で58種類あるが、『バターチキン(大容量)』のように単純に量が違うだけの商品は除外したため、本稿では全部で53種類としている。
それらをすべて並べた結果が……これだ!
こんなにあんのかよ……というのが正直な感想である。『バターチキン』や『キーマ』といった定番カレーだけでなく、『マサレマ』『ビーフルンダン』『パニールマッカニー』など、あまり聞きなれない海外のカレーも多い。
何なんだ『パニールマッカニー』って。ポール・マッカートニーの親戚かよ。
数量限定でジビエのカレーなんてのもあったぞ。もはや何でもありだな。いよいよ混ぜた味の想像がつかなくなってきているのは私(あひるねこ)だけではあるまい。
・カレーリスト
参考までに、今回用意した無印カレー53種類をカテゴリー別にまとめてみた(順不同)。冒頭で無印のことを「ほぼカレー屋」と書いたが、実はあながち間違っていないことがお分かりいただけるはず。
【素材を生かしたカレー】
・ケララチキン
・チキンペッパーフライ
・チキンと野菜のスパイシーカレー
・マトンのキーマ
・バターチキン
・クリーミーバターチキン
・グリーン
・牛ばら肉の大盛りカレー
・プラウンマサラ(海老のクリーミーカレー)
・プラウンモイリー(海老のココナッツカレー)
・キーマ
・サグチキン(ほうれん草とチキンのカレー)
・トマトのキーマ
・マッサマン
・ごろごろ野菜と豚ひき肉の大盛りカレー
・ごろり牛肉のスパイシーカレー
・おうちのこだわりビーフカレー
・スパイシーチキン
・牛すじカレー
・おうちのこだわりポークカレー
・ジンジャードライキーマ
・チキンの大盛りカレー
・フォン・ド・ヴォ―のスパイシービーフカレー
・シチリアレモンのクリーミーチキンカレー
・マトンドピアザ(マトンと玉ねぎのカレー)
・チキンとごろごろ野菜のスープカレー
・3種の唐辛子とチキン
・ゲーンパー(森のカレー)
・ダール(豆のカレー)
・根菜のスパイシースープカレー
・プーパッポン(蟹と卵のカレー)
・大豆ミートのチーズキーマ
・イエロー
・大豆ミートのスパイシーキーマ
・パニールマッカニー(カッテージチーズのカレー)
・レッド
・ビーフルンダン
・カリアヤム
・マサレマ
・辛くない グリーンカレー
・辛くない 国産りんごと野菜のカレー
・辛くない 国産玉ねぎと豚肉のカレー
・辛くない ほうれん草のキーマカレー
・辛くない スパイシーチキンカレー
・辛くない ジンジャードライキーマカレー
・素材を生かしたジビエのカレー 鹿肉とマッシュルームのカレー
・素材を生かしたジビエのカレー 猪肉と3種の豆のカレー
・小さめカレー パラックパニール(ほうれん草チーズカレー)
【糖質10g以下のカレー】
・チキンとトマトのカレー
・欧風ビーフカレー
・チーズときのこのカレー
・キーマカレー
・チキンの豆乳クリームカレー
・創造スタート
さあ、それでは全カレーをひとつの寸胴鍋にブチ込んでいくぞ。さすがに53袋を湯せんするのは手間なので、中身を鍋にあけた後、かき混ぜながら弱火で温めることにする。
同じ無印のカレーと言えども、色や固さ、具の量などは種類によってバラバラ。途中、鍋の中をのぞいてみると、いくつものカレーが重なり合って何やら前衛絵画のような光景が繰り広げられている。まさに混沌(カオス)。
あとは全体がしっかり混ざるよう、焦げ付かないよう、お玉でゆっくりかき回していく。こうして最初のカレーを投入してから約1時間……。
さあ目覚めよ……! 無印カレー王……!!
53種類を混ぜた結果、生まれたのが……
前人未踏の完全未体験カレーが……
これだァァァァァァアアア!!!!!!!
ただのカレーやないかッ!
・想定外
待って、めっちゃ普通にカレーなんですけど。ザ・レトルトカレーなんですけど。給食に出てきてもおかしくないくらい平凡なルックスである。『パニールマッカニー』やら『ゲーンパー』やら『プーパッポン』やらはどこへ行ったのか?
だが一口食べてみると、これは……
_人人人_
> 王 <
 ̄Y^Y^Y^ ̄
・想像以上
マジかよ……! 何だか分からんけど、このカレー……めちゃくちゃウマいぞ!! サラッとでもドロッとでもない中庸なルーだが、通常のレトルトでは考えられないほど味の情報が折り重なっている。ノートの端から端までぎっしり文字が書かれている感じだ。
カレーの系統自体は明らかに「洋」。チキンとビーフのイイとこどりとでも言おうか。しかし、その途中でちょいちょいアジアが顔を出す。それも唐突にというよりは、あらかじめデザインされていたかのように無理なくカットインしてくるのだ。
それぞれまったく違う方向を向いているのにケンカせず、不思議と統一感があるのは、やはりベースに無印良品がいるからだろう。しっかりした土台の上でなら、多少ヤンチャをしても場は大きく乱れない。53種類も混ぜてなおコントロールが行き届いているのはさすがである。
ただね、まだあと52人前も残ってるんですわ。一人じゃとても消費しきれないぞ。というワケで……
よーし、みんな並べェェェエエエ!
はい慌てないでねー。
たくさんあるからねー。
そら、しっかり食え。
(まだかなー)
ウマい! ウマい!
おれ、こんなウマいカレー初めてだ!
あの……
おかわりか? もちろんいいぞ。
わーーーーい!
みんな大絶賛の無印カレー王。編集部屈指のカレー好きで、無印のレトルトカレーもよく食べるという御花畑マリコはこう語る。
「タイカレーとかマレーシアのカレーとか色々あるのに、最終的に洋風カレーっぽくなるのは意外でした。この味、嫌いな人はいないのでは? 後から辛さがじわじわくるのもナイス。究極の無印カレーって感じですね。これ、無印で売ればいいのに。しばらく食べ続けたいです!」
・鳴り止まない賛辞
「究極」いただきました! ありがとうございます!! それでは最後に、今回の検証にかかった費用を発表しよう。無印のレトルトカレー53種類の合計金額は……なんと!
税込1万9390円!!
いや高ェェェェェエエエエエ! しばらくカレーの名店を食べ歩きできそうな金額であるが、しかし王を誕生させたと思えば安い買い物なのかもしれない。「私も自宅に無印カレー王を呼び出したいよ」という方は、ぜひ参考にしていただきたい。
参考リンク:無印良品
執筆:あひるねこ
Photo:RocketNews24.
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▼あまった王は小分けにして……
▼おみやに! こぼすなよ!!