2022年4月10日に開催されたオリックス・バファローズ戦で、プロ野球28年ぶりとなる完全試合を達成した千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希(ささき ろうき)投手。完全試合のみならず「13者連続三振」の日本新記録に加え「19奪三振」の日本タイ記録も同時に打ち立てた、まさに快挙であった。

千葉県市川市出身、千葉ロッテマリーンズファン歴28年の私、P.K.サンジュンも我を忘れて大喜び! ……だったのだが、佐々木朗希の偉業に対する「ロッテファン」と「プロ野球ファン」の微妙な温度差が気になったので思うところを書き綴っていきたい。

・とてつもない偉業

佐々木朗希のプロフィールや完全試合の詳細につてはあえて触れないが、1つだけ挙げるとするならばオリックスの吉田正尚を3連続三振に打ち取ったことは「マジでヤバいな」と思った。吉田正尚はとにかく三振をしない選手で、今シーズンも昨日の試合が始まる前までは1度しか三振していない。

ノーヒットノーランならばともかく、まさか自分が生きている間に「完全試合」を目の当たりにしようとは。しかもそれが贔屓チームの選手なのだから、18連敗に象徴される暗黒時代を知るロッテファンとしては非常に感慨深いものがある1日でった。サンキュー、朗希。サンキュー、松川。


それはさておき、試合後からインターネットを駆使して佐々木朗希の完全試合情報に入り浸っていたが、気になったのが「ロッテファン」と「プロ野球ファン」の温度差である。もちろんロッテファンにもプロ野球ファンにも様々な考え方があると思うが、いちロッテファンの意見としてご覧いただければ幸いだ。

・気になった温度差

今回の完全試合に対しケチをつける人は滅多におらず、ネット上は “祝福の嵐” だったと言っていいだろう。だがしかし、私が引っかかったのはかなり多く見受けられた以下のような反応である。


「佐々木朗希すごすぎる! 早くメジャーに行って欲しい!」
「なるべく早い段階でメジャーで活躍する佐々木朗希が見たい」
「今すぐメジャーに行っても通用する。ファンのためにもロッテは柔軟に考えて欲しい」


いやいやいや──。


待て待て待て──。


そう簡単に行かせねえよ?


もちろん、遠くない将来に佐々木朗希が海を渡ることは承知している。これだけの逸材を抱えきれるほどの資金力がある球団は日本にはないだろう。それは平均年俸がぶち抜けて高い、福岡ソフトバンクホークスですら無理なハズだ。

また私自身、メジャーで活躍する佐々木朗希を見てみたい気持ちもある。……が、それはまだまだ先の話。具体的に何年とは言えないが、少なくとも佐々木朗希には「ロッテ黄金期の礎を作ってからメジャーに行ってくれ」と思っている。

・メジャーメジャー言うな

冷たい言い方に聞こえるかもしれないが、私にとって佐々木朗希は千葉ロッテマリーンズの1プレイヤーに過ぎず、他の選手も同じくらい大切な存在だ。もちろん佐々木朗希に対する期待はとてつもなく大きいものの、佐々木朗希の成績だけが良ければいいワケでは全くない。


一番の望みは私が1度も味わったことがない「勝率1位のリーグ優勝」であり、先述した「ロッテ黄金期の到来」だ。佐々木朗希がそれらを力強く引き寄せてくれる存在であることは疑っていないが、現時点で「メジャー♪ メジャー♪」といった声については「ハ?」と思わざるを得ない。

冷静に考えると、完全試合を含めても佐々木朗希はまだ5勝しかしていない投手である。個人的には少なくとも100勝近くしてからメジャーに行って欲しいし、佐々木朗希の勝ち星がロッテ黄金期への確かな1歩だと確信している次第だ。

それでも佐々木朗希がロッテの宝ではなく “野球界の宝” であることは理解している。ただ本人すら大っぴらにメジャー志向を公言していない中で、周囲が「メジャーメジャー」言うのはいかがなものか? まずはプロ野球に、パ・リーグに、そして千葉ロッテに「佐々木朗希伝説」を刻み付けて欲しい。

執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.