2021年12月17日から発売となった、SONYの新しいカメラ「α7Ⅳ」。αシリーズの中で、一般的にベーシック機とかスタンダード機と呼ばれていた「α7Ⅲ」の後継となるモデルだ。

12月8日に予約が開始されたが、筆者は争奪戦に敗北。予約完了時に表示されていたステータスは「入荷次第出荷」。

届くのは来月かそれ以降かなぁ……と思っていたら、いつの間にか発売日の17日に届くようになっていた。無事にゲットできたので少し弄ってみたが、マジで最高だ!!

・開封の儀

ということで、まずは開けるところから。箱の中身は非常にシンプルで……


恒例の、モデル名が入ったストラップ。わりと丈夫で長持ちする。今は社外品を愛用しているので、こいつの出番は無い。


そしてUSB Type-CオスとType-Aオスのケーブル。


USB Type-Aで使える電源アダプター。出力は5V、1.5A。さっきのケーブルで本体をつないで充電してね♪ ということなのだろう。初めて買う方は注意しないといけないポイントなのだが、α7Ⅳに充電器は同封されない。純正なり社外品なりを買っておこう。


そして、バッテリーが1個と……


本体。この他には説明書や保証書のみという、かなりシンプルな内容だ。


・静止画 / 動画独立設定

とりあえずゲットした初日から週末までの3日間で軽く使ってみたが、これは良いカメラだ! 従来のモデルでそれぞれあった些細な不満が一通り解消され、静止画と動画の性能がほど良いレベルで搭載されているという感じ。使い勝手がマジで良すぎる。

ちなみに普段筆者は自前の初代α7Rかα7RⅣか、あるいはレンタルでα7SⅢを使っている。α7Rは当サイトの記事の大半(食レポ等)で使い、α7RⅣはその他の撮影のみの仕事で主に使い、α7SⅢは動画も必要な時にレンタルしているという感じ。

そんな筆者がα7Ⅳで気に入った点をいくつか述べていこう。まずは「静止画 / 動画独立設定」だ。その名の通り、静止画と動画の設定を個別にできるというもの。同様の機能を筆者が初めて体験したのは、富士フィルムの「GFX100」の体験会でのことだった。


メチャクチャいいなぁ、この世の全てのデジカメに実装されないかなぁと思っていたら、SONYでもα7SⅢに実装された。静止画を撮影していて、ふと動画も撮っておきたくなる場面に出くわすことがあるのだが、そういう時にこの機能の有無はデカい。

基本的に、静止画でありがちな数百~数千分の1秒というシャッタースピードで動画を撮ることはレアだ。

設定が共有なカメラの場合、動画のために50分の1から125分の1あたりまでシャッタースピードを下げ、それに合わせて絞ったりISO感度を下げたりしないといけない。その手間から解放される


・フレキシブル露出モード

そんな「静止画 / 動画独立設定」と共に、さらに静止画 → 動画の切り替えをスムーズにでき、なんなら動画撮影中の操作の利便性も上げてくれるのが「フレキシブル露出モード」だ。これもα7SⅢに搭載されているもの。


α7Ⅳでは「静止画 / 動画 / S&Q切り替えダイヤル」で「動画」にした状態で、設定の撮影 → 撮影モード → 露出制御方式から設定できる。αSⅢやα1以外のα7シリーズを所持していて、新しくα7Ⅳをゲットした方は、きっと感動すると思う。

この機能を使えば、モードダイヤル(P / A / S/ Mを切り替えるダイヤル)を操作することなく、自分で選んだ任意のボタンを押すだけで、絞り、ISO感度、シャッタースピードの好きなものをオートに切り替えられる。

設定が大きく変わる静止画から動画への変更時だけでなく、例えばマニュアルで動画を撮っていて、急にマニュアル操作では露出設定が追い付かないようなシーンに出くわした時にもメチャクチャ優秀だ。

「静止画 / 動画独立設定」と「フレキシブル露出モード」、そして「静止画 / 動画 / S&Q切り替えダイヤル」の3つによって、α7SⅢ以上に静止画と動画の切り替えがスムーズでヤバい。ストレスフリーが極まって快適すぎる


・露出補正ダイヤル

これは人によるのだと思う。筆者は2013年に初代α7Rをゲットした時から今までの8年間で、どのモデルでも露出補正ダイヤルを使用したことが無い。ほぼマニュアルでしか撮らないため、この機能の出番が一切ないのだ。

でも、ずっと実装され続けてきたということは、必須だという方も多いのだろう。写真の撮り方、カメラの使い方は十人十色。全員が全て等しく正しい。なので、露出補正ダイヤルも、撮り方次第ではきっと便利なものなのだと思う。

ただ筆者のスタイルでは全く出番が無いので、何か別の機能を割り当てたかった。例えば絞りとか、シャッタースピードとか、ISO感度とかに。

α7Ⅳでは、ついに自由に割り当て可能に。しかもロック機構付きだ。ということで、さっそくISO感度にした


・バリアングル液晶

これも人によるのだと思う。従来のチルト式と比べて、静止画でもハイアングルや縦でのローアングルでの撮影時にはメチャクチャ便利になった。動画撮影時には言うまでもないだろう。しかし、パーフェクトに満足はしていない。

なぜなら、パナソニックが「LUMIX S1H」でぶっこんできた「チルトフリーアングル」こそ至高だと思っているからだ。ご存じない方は、是非パナソニックの公式HPを見て欲しい。

チルト式かバリアングル式かというのはかなり根深い問題だ。だが、S1Hの「チルトフリーアングル」を初めて弄った時に、もうこれで良いじゃんと感じた。もっと広まって欲しい。


・気になるところは

静止画での使用感や機能、性能については、ぶっちゃけ従来のモデルでも困ったことは無かった。ゆえに、α7Ⅳに関する感想が動画方面に偏ってしまった。

1つ気になる点を挙げるとすれば、設定を弄っている時の謎のバッテリーの減りの速さだ。初期不良な可能性もゼロではないが、なぜか設定を変更中のバッテリーの消耗が撮影中よりも早い。撮影時はα7RⅣと同じくらい持つので、別に困らないからいいけど。

また、動画撮影中の熱暴走もチラホラとSNSで話題なので試してみた。この記事の執筆中にずっと録画したまま放置したのだ。結果は、やや中途半端になってしまった。

筆者のやつでは入れているCFexpressカードの残量が1時間を過ぎたあたりでいっぱいになってしまい、それ以上の検証ができなかったのだ。熱暴走の前に容量不足と言う展開

室温は22度くらい。XAVC HS 4Kで記録し、フレームレートは60p。設定は200M 4:2:2 10bit。プロキシー記録はOFF。自動電源OFF設定は「高」。外部から給電しつつ、モニターは開けている。

容量切れになった時、ボディはそれなりに温かかったが、夏場の屋外での撮影時に往々にして陥る状態に比べれば余裕がある感じ。プロキシー記録をしたり、記録方式をXAVC S-I 4Kにした場合にどうなるのかはわからない。

それでも上記の設定で1時間撮れるなら、筆者としては十分すぎるので熱の心配はしていない。ということで、現時点ではα7Ⅳにかなり満足している。マジで買って良かった。

とはいえ、ハードにガチな撮影に持ち出したら、感想が変わってくる可能性は否定できない。数か月は品薄が続くだろうし、しばらくは買おうか悩む人も多いだろう。また何かあれば記事にしようと思う。

ちなみに発売日に銀座のソニーストアで聞いた話によると、発売日に予約した場合は来年の2月末に納品だとか。もう数日すぎてしまったが、参考までに。

執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.

▼MC-11を介してのシグマ製キヤノンレンズの動作もバッチリだった。


▼電源OFF時にシャッターを閉じる機能も嬉しい。が、シャッターユニットは超繊細。触ったりすれば壊れて修理代で5万とか6万は軽く飛びそう。個人的に、砂とか噛みそうなシーンではセンサーが汚れる方を選ぶかな。


▼モニター用のフィルムもお忘れなく。


▼L字プレートはこれを予約した。お馴染みSmallRigの新型だ。届くのはたぶん来年。