オミクロン株騒動のさなかで海外から帰国し、始まった私の自主隔離生活も早3日目。日本のホテルやコンビニの素晴らしさに感動していたら、毎日あっという間に日が暮れてしまう。ひょっとすると私が海外へ出かける理由って、日本の魅力を再確認するためなのかもしれないな。
……とはいえ、さすがに3日もホテルにいると少し飽きてきた。何か変わったことが起きそうな予感はゼロだが、それでも記事を書かねばならぬ。あ、そういえば今気づいたけど、かの有名な『成田山』ってここから近いんじゃないかな? 行ってみたいなァ。
とりあえずフロントで「成田の雰囲気だけでも感じたい」ってお願いしてみるか……。
・脳内成田旅行
私が宿泊しているのは『アパホテル 京成成田駅前』。アパホテルに関する記事を書くのはこれで何度目かになるが、いつも「好きなように書いてもらって構わない」と言っていただいている。今どき珍しい融通のきく企業だ。好きです、アパ。
そんなアパホテルの方は親切に成田エリアの観光マップをくれ、この辺りは『うなぎ』が名物であることを教えてくれた。
なるほど、アパホテルを出て正面に進むと “表参道” なる通りがあるのか。沿道には約150もの店が並び、人気のスイーツ店も多いらしい。目を閉じれば脳裏に浮かぶ子供たちの笑顔、うなぎのはじける音、そしてお線香の香り……。
そうして食べ歩きなどをしながら参道を進むと、有名な成田山新勝寺に突き当たるというワケだ。駅前の雰囲気からするとさほど人通りも多くなさそうだし、これはなかなか穴場かもしれない。成田って空港のイメージしかなかったけど、改めて観光に来てみたいなぁ……。
・半径300メートルの世界
さて脳内で成田観光を終えると、またヒマになってしまった。
ゲームやYouTubeなどを見ていればあっという間に時間は過ぎるが、せっかく成田にいるのにネットで潰すのも惜しい。
昨日の記事でもお伝えした通り、自主隔離者には「生活に必要なものを購入する場合、往復30分ほどであれば外出してもよい」というルールが定められている。ホテル付近のローソンと松屋へ行く時だけが、私の束の間の息抜きだ。
おっ、なんだなんだ……「千葉で一番安い店」だって!? 健康麻雀系の雀荘だろうか。千葉の相場については全く明るくないが、「一番安い」とは一体おいくらほどなのだろう? クソッ、入店してみてぇなぁ!
数日前にオープンしたばかりだという『大衆朝〆ホルモン酒場 カリスマ』も非常に気になる。「朝〆ホルモン」とは “朝まで飲んだシメにホルモンを食べる” という意味だろうか? それとも “朝シメた(さばいた)ホルモン” ということ? あぁ、謎多き成田の街並みよ……!
・下界は誘惑が多すぎる
イカン、外を歩いていると色々なものに興味をひかれてしまう。今日はもうおとなしく部屋に籠るとしよう。
アパホテルでは朝刊を無料で配布している。そういえばここ何年も新聞なんて読んでいないな。1部もらおうか。
なにっ、「自民党・石破派が解消へ」だと!? あまり政治の話をするのは好きじゃないが、石破さんに関しては我が地元・鳥取県の出身である。政党とか政策とかいった問題はこの際ヌキにして、私は同郷出身者の活躍を素直に嬉しく思っているのだ。石破さん……幸あれ。
それから……へェ〜! 今夜の金曜ロードショーは『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』なのかァ。ムムムッ!? 今月から成田空港に “動くねぶた” が登場とな!? クソッ、これほど近くにいるのに行けないとは!
……いやはや、久々に読むと新聞もなかなか面白いな。大人のたしなみとして定期購読してみようかな?
新聞も熟読したところで、部屋備え付けの元谷芙美子氏(アパ社長)のエッセイ『強運 : ピンチをチャンスに変える実践法』を読み進める。「この本を手にとったあなたはラッキーです!」という書き出しで始まる本書は、アパ社長の超ポジティブなシンキングをお腹いっぱい感じられる一冊だ。
53歳にして大学生になったのだというアパ社長。会社の広告塔として活躍する中では誹謗中傷なども経験したというが、「全く傷つきません」と言い切る豪傑ぶり。全ての人が社長みたいに生きられるわけではないけれど、前向きな言葉には力付けられる部分も多い。
こうしてアパホテルで過ごす最後の夜は更けていったのでした……。
・帰宅も自力で
そんな感じでアパホテル3泊4日の自主隔離はあっさり終了。
「また改めて成田へ来よう」という気づきを得たことは非常に大きかった。
つぎ海外へ行く時も隔離が必要な状況かは不明だが、もしそうなったらアパホテルを利用したいと思う。
ちなみに私が次の待機場所(世田谷の知人宅)まで、一体どうやって移動するのかというと……
自分でレンタカーを運転して帰るのである!
なお帰国した空港からそのままレンタカーで帰宅することも可能。予約の際に「帰国者である」ということを告げる必要はあるが、特に面倒な手続きや追加の費用などは不要である場合が多い。隔離者が自分で運転して帰宅って……やっぱりちょっと不思議!
移動中「至急、待機場所にお戻りください」との警告が通知され怖くなるも、入国者健康確認センターから「とりあえず無視すればOK」との情報を得ていたため落ち着いて無視。次の待機場所にて “現在地報告” ボタンを押したところすんなり位置情報を更新することができた。
私は以前の記事で『擬似隔離体験』を敢行したことがあるが、 “意味もなく隔離される” のと “帰国隔離” では感じ方が全く異なる。何度も言うが「日本にいること自体が新鮮」という気持ちで臨めるので、ガチガチの強制隔離でなければ、ほとんどの人が楽しみながら過ごせることだろう。
とはいえ、私の隔離期間はまだ10日ほど残っている。この先「もう無理!」となるタイミングも訪れるかもしれないが……その時は「どんなことでもラッキーと捉えられたら、人生はどんどんよい方向に転がる」という、アパ社長の言葉を思い出したいと思う。ありがとうアパ。
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.