先日、近所のカルディで買い物をしていたところ、何やら面白そうなものを見つけた。「シャインマスカットバター」である。筆者の買った店舗では税込み537円。売り切り価格とのことだった。
シャインマスカットのジャムならわかるが、バターとはいかに。そういえばレモンとバターや卵を混ぜて作るレモンカードというものがあるが、あれの葡萄版みたいなものだろうか? 気になってしかたがないので、とりあえず食べてみることに。
・ずっとセール
ちなみに公式HPをチェックしてみたところ、店舗同様に「SALE価格」で537円(2021年11月9日時点)。しかも2021年8月25日の10時からずっとセールとなっている。セール長すぎんだろ。
成分を見ると、シャインマスカットの果汁の他には、アロエの果肉やバター入りマーガリンなどが使用されているもよう。成分的には美味そうな雰囲気があるが、ずっとセールという点が引っかかる。
・葡萄版レモンカード
色々と試してみる前に、まずは単体で味見してみよう。
食べてみると……お? 普通にイケるやんけ。それなりにマスカットっぽい味がする。ただし、ジャムとは違う。シャインマスカットのフルーティーなフレーバーが通り過ぎたあとの余韻にオイリー感がある。
なるほど。ぶっちゃけ当初の予想通り、風味的にはレモンカードの葡萄版と言っていいと思う。ただし、シャインマスカット味と油分の相性は、ぶっちゃけレモンと油分ほど高くない気がする。
これは好みが分かれそうだ。筆者的にはわりと好きな味だが、強めの甘さとオイリー感がクドくなってくるので、単体で量を食べるものではないだろう。やはり何かにそえて食べるのがよさそう。
・美味いけれど
では何にそえるのか? お店の値札には「トーストやクラッカー、ヨーグルトに混ぜて」と書かれていた。ということで、パンやクラッカー、ヨーグルトを用意。
それぞれにシャインマスカットバターをほどよく盛ってみた。パンは焼きたかったが、筆者宅にはそのための道具も設備も無いのでそのまま行くことに。まあ、トーストに合うなら焼いてないパンでもイケるだろ。
食べてみたところ、普通に美味い。良くも悪くも想像通りの味だ。クラッカーはそれなりにそれっぽく、パンもまあ、それっぽい感じ。ヨーグルトがこの中では一番いい感じだったと思う。
だが、別にこれじゃなくてもいい感がなくもない。なんだろう……こう、カチッと嚙み合った感じがしないのだ。どれも、普通にジャムにした方が良かったんじゃないかと思わせる隙がある。こいつはまだ全力じゃない。
微妙に付与されているバター属性があまり活かされていないのだ。もっとシャインマスカットバターが輝ける、何か別の食べ方がある気がする。例えば、紅茶に入れたりとかはどうだろう?
いや、紅茶に入れる場合とて、やはりジャムの方が向いているだろう。紅茶とジャムは黄金のコンビ。しかし飲み物に入れるのは良い線いってそうな気がする。何か別の、バターと葡萄の両方に合いそうな飲み物と言えば……
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> 酒(ホット) <
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・酒
これだ! ということで、急遽その辺に転がっていた酒を用意。左から順に、「クセが強い美味いウィスキー」、「お手頃価格なバランスの良いウィスキー」、「あっさり気味な美味いバーボン」、前に何かの記事で使った「甘味の強いスパイスド・ラム」という感じ。
それぞれにシャインマスカットバターをブチ込み……
お湯を注いでよく混ぜ、ホットで飲もうというわけだ。それぞれ全く違うタイプの風味を持つお酒なので、きっとどれかしらが合うんじゃないかなって。
ということで、一通り試した結果をお伝えしよう。まず、クセが強いウィスキーと甘いスパイスド・ラムが、それぞれ全く違った方向ではあれど、シャインマスカットバターとの相性の良さはツートップ。次に高コスパなバランスの良いウィスキーで、最下位は元があっさり気味なバーボン。
・クセ強めなウィスキーか、ラム
ツートップのうち、無難に万人受けしそうなのはスパイスド・ラムとの組み合わせ。元から香りも味も非常に甘いのだが、そこにシャインマスカットフレーバーが加わって甘さが限界突破。
甘々でもはやスイーツ。オイリー感も、ホットなラムとよく合う。甘いものが嫌いな人とアルコールがNGな人を除けば、誰もが好ましく感じそうな味だ。寒い冬にキャンプなどしつつ飲めば、より美味しそう。
しかし個人的には、このクセが強い美味いウィスキーとの組み合わせをごく一部の方に推したい。ウィスキーそのものは非常に好みが分かれる風味。常温でも海辺で焚火の煙を飲んでいるような感じが強めにくるのだが、同時にそこそこフルーティでもある。
酒屋さんやメーカーの紹介文では「ピート香が強い」とか「強烈なスモーキー感」みたいな文言が往々にして並んでいるタイプだ。
それをホットにしてシャインマスカットバターをブチ込むと、スモーキーさと葡萄的なフルーティさが加速。従来のパワフルな風味はそのままに、若いフレッシュな甘さが同居してくる。
いい意味でサプライズ感のある面白い風味になって、鼻から脳に来る。ヘヘッ、クセになりそうだ。恐らく似た系統のウィスキーは、どれも新しい世界が開けるのではなかろうか。元々こういうお酒が好みの方だけでいいので、ちょっと1回やってみて欲しい。
分量など実験的な側面も強いため、手ごろなボトルで様子見すべきだと思う。Amazonや楽天などで1本2000円程度で買える「アイリーク」や「フィンラガン」あたりはどうだろう。
こんな感じでまだ検証の余地はありそうだが……この時点でクラッカーやらヨーグルトなどよりも、ホットにしたこの手のハードリカーとの相性の方が良いと筆者は感じた。
パンやヨーグルトでも美味かったのは間違いない。しかし、お値段的にも2回目を買うかとなると、踏みとどまる人は多いと思うので。でもホットの酒に入れて飲むスタイルなら(特に冬は)常備もアリだと思う。