あの袋麺を手に取ったとき、私の気持ちは相当チャラかったように思う。なにせ、購入の決め手になったのは見た目の “イケてる感” のみ。袋麺だから味が重要であるにもかかわらず、私は何味かもよく分かっていなかった。
袋麺のデザインだけを見て、「おまえイケてんじゃん!」ってな感じで買い物かごに入れたのだ。そして、いざ食べようとしたら……辛っっつつつつ!!
・名前もイケてる
その袋麺の名前は、『乙女麺 OTOMEN』という。どうだろう? 名前からしてイケてる感じが漂ってはいないだろうか? 少なくとも私はバリバリにイケてると思った。
唯一気になったのは、表のパッケージをパッと見ただけでは何味かがよく分からないこと。醤油とか味噌とかトンコツとか、そういった記述が見当たらないのである。手がかりを挙げるとしたら、吹き出しのセリフだろうか。
「辛いときに誰かに甘えられ る人間になりたかった」を見ると、どうやら辛い系のラーメンらしい。しかしながら、一般的にオシャレな世界の “辛い料理” なんてたかがしれている。それはいわば、都会の進学校にいるヤンキーみたいなもの。
尖ってるとは言っても、せいぜい隠れてタバコ吸ってる程度であって、毎日のように木刀を振り回して喧嘩に明け暮れているようなヤンキーじゃないだろう? というナメた気持ちから、味のことはほとんど気にしていなかった。しかし、いざ調理すべく袋麺を開封したら……
あれ?
メリケンサック出てきたんですけど?
──なんということだろう。実は乙女麺、唐辛子パウダーという名の凶器を隠し持っていたのだ。この調味料自体は必ず投入するものではなく、「量はお好みで」的なヤツらしいが……
実際のところは、凶器を使う・使わないの問題ではなかった。唐辛子パウダー(辛激王)なしでも十分に辛いからだ。どうやら麺に唐辛子が練り込まれているらしい。もはや武闘派ヤンキーというよりサイボーグである。
・パウダーをぜんぶ入れてみた
これはあまりにも凶暴な代物。よって本来なら、凶器ナシで味わいたいところなのだが、読者のみなさんは気になっているに違いない。唐辛子の調味料(辛激王)を全部入れてフル装備にしたら乙女麺はどうなるの?
──と。その疑問に対する答えを確かめるべく、辛激王をぜんぶ投入すると……
火山からマグマが溢れたような感じになってしまった。パウダーの量、多すぎである。
まぁ当然ながら、そんなラーメンをすすると辛いに決まっている……が、「蒙古タンメン中本の象徴・北極ラーメンほどではないな」ってのが正直な印象であった。凶器を装備した乙女麺は野獣のようだが、なんとかイケる。
というのも、乙女麺はそもそも山椒のような痺れる系の辛さではなく、あくまで唐辛子メインの鋭角的な辛さ。なので、蒙古タンメン中本のファンである私としては比較的食べやすく、美味しくいただけたのかもしれない。
……そうは言ってもだ。乙女麺が袋麺の中で最高レベルの辛さであることは変わらない。なにより、素手(パウダー無し)で十分に辛い。よって、「辛さ調整すれば問題なし」とナメて考えない方がいいだろう。デザインに惹かれる気持ちは分かるが、覚悟を持ってジャケ買いすべし。
ちなみに、この乙女麺は大阪のご当地袋麺ながら、オンラインでも購入可。公式サイトでの価格は1つ360円(送料別)だ。
参考リンク:やかん亭「乙女麺(OTOMEN)」
執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.
▼素手(パウダー無し)でも、スープの色などから凶暴さが垣間見える。
▼カロリーは結構なもの。
▼余談だが、「餃子の王将」が “史上最辛” といった期間限定メニューと比べたら、乙女麺は素手(パウダー無し)で圧勝してた。