スペイン・オタクたちの勢いが止まらない。スペインにおいて「オタク」「マンガ」「カワイイ」といったワードはすでに常用語と化し、街を歩けば多くの不思議な日本語Tシャツに出会うことができる。日本人として心から「ありがとう」と伝えたい気持ちだ。

そんなスペインでは『ジャパン・ウィークエンド』なるイベントが定期的に各地方を巡業している。中でも最大の入場者数を誇るというマドリード会場へ潜入したところ、これまでの人生で見たことのないカオスを体験することとなった。全日本人に共有しておきたい。

・集結するオタクたち

9月25日(土)、26日(日)の2日間に渡って開催された当イベント。会場はマドリード郊外にあるため、慣れない地下鉄移動に不安を感じるが……

各駅のホームには「お前ら絶対コミケだろ」といった風体の人がたくさんいるので、彼らについていけばバッチリOKだ。

向かう先は『IFEMA』というイベント会場。大小様々なイベントが同日開催される、東京ビッグサイトみたいなところである。

厳重な体温チェックののち会場内へ入ると……


オタク!



オタク!!



オタクが大集結しているッ!!!


会場が複数のエリアに分かれているため画像では伝わりにくいかもしれないが、全てのブースを足早に眺めるだけでも2時間ほどを要する巨大イベントである。一体この美しいマドリードのどこに、これほど大量のオタクが潜んでいたというのか?


・炸裂するジャパン

まず入場して最初のエリアには、Tシャツをはじめとしたアニメ・マンガグッズが大量に売られている。

確証はないものの、なんとなく海賊版っぽい香りのする商品が多数。

販売しているのは業者とおぼしき非オタクたち。

珍妙な日本語が味わい深くて良い。

また来場オタクたちのファッションも見ていて飽きない。

他にも日本のお菓子が絶妙な値段で売られていたり……

「やおい福袋」が売られていたりする。果たしてスペイン腐女子はこの意味をご存知なのでしょうか?

レトロゲームも勢揃い!

この中にトンでもないお宝が紛れているのかも?

物販エリア周辺には痛車や痛バイクも展示されている。

トークイベントや講習会っぽいものも多数開催されていたが、スペイン語力ゼロの私には理解できず無念。

eスポーツコーナー、お絵描き実践コーナーなどもある。

爆音のK-POPが流れるブースでは、一般参加者の女子たちが飛び入りでダンスを披露。また韓流スターのグッズも売られているなど、芸能に関しては日本より韓国が人気の様子だった。

会場内はそれ以外の場所でも、時おり歌ったり踊り出すオタクが多数。日本だと人前で急に踊ったりしないのが一般的なオタクだが、さすがは情熱の国スペイン、である。

アニソンブースでは日本語のアニソンをオタクたちが大合唱する一幕もあり、なんだか泣きそうになってしまった。私は “外国の人が日本の文化を愛してくれるヤツ” にメチャ弱いのだ。心からありがとうございます……!


・ちょっと休憩

さて感極まったらお腹が減ったので、フードコーナーでひと休みするとしよう。

長い行列の先には日本の食べ物を売るブースが。

日本の自販機はボール紙に印刷して再現。

お品書きはインスタントラーメン6ユーロ(約779円)、たこ焼き5ユーロ(約650円)、たい焼き2ユーロ(約260円)など。ここはドラえもん印のどら焼き(3ユーロ / 約390円)いってみよう。

ん? コレはどら焼きというよりホットケーキを重ねたやつ……いやいや。細かいことは言いっこなしだ。クオリティはどうあれ、久々の「あんこ」が食べられるだけで嬉しいのだから。

…………チョコでした。


・別エリアはほぼコミケ

業者エリアを抜けて奥へ進むと、非常に既視感のある光景が広がってゆく。

コミケエリアである。

サークルさんが思い思いの二次創作を販売するという、おなじみのアレだ。

ただし「同人誌」を売っているサークルは皆無で、ぬいぐるみやアクセサリーなど実用的なグッズがメインに並べられている様子。小さなお子さんが買っていく姿も見られた。

どのブースもなかなかレベルが高いな〜。

売り子さんたち、みんなカワイイ♡


・ナゼここに日本人

その裏ではスペイン人たちによるカラテ披露や……

和太鼓の演奏なども行われているぞ。まさに日本文化の祭典! いっぱいありすぎて目がチカチカしちゃう!


…………ムムムッ?


あの方……ひょっとして日本人ではないだろうか? 貫禄あふれる風貌からお見受けするに、日本からゲストで招かれた和太鼓界の重鎮……?

ハッ! 目が合っちゃった!!!


思い切って話しかけてみたところ、この方は池ノ谷(いけのや)さんという正真正銘の日本人。ただし日本から招かれたのではなく、マドリードへ来て約40年のベテラン在住者であるようだ。えらくシブイなと思っていたが、なんと現地で俳優業をもこなす御人であられるとのこと。そりゃ和太鼓界の重鎮に見えるわけだよ……。

池ノ谷さんは埼玉県の小さな村の生まれ。約60年前、隣の家同士が遠く離れた山奥の村にあっては、祭りの開始を告げる唯一の方法が太鼓の音だったのだという。そこから太鼓に慣れ親しんだ池ノ谷さんは、趣味で作詞作曲を始めた。

池ノ谷さんが代表を務める『太鼓同好会』のメンバーは現在16名。「日本古来の太鼓の曲は同じリズムを繰り返すものが多く、スペイン人には若干うるさく聞こえる」と池ノ谷さん。よりスペイン人が好感を持てる “面白くて、楽しくて、短い曲” を彼らと共に作り上げ、太鼓の新しい使い方を模索している、とのことだ。

う〜む……まさかコミケの横でこんなにイイ話が聞けるとは。池ノ谷さんの作る楽曲には「わっしょい」「そーれ」といった日本語の掛け声が入り、観客たちも自然とリズムを刻んでいる様子。「太鼓ってイイな……」という気持ちになる。太鼓同好会の活動については公式Facebookをチェックしてみてくれ。

日本の様々な文化が闇鍋のようにゴチャゴチャと煮込まれたジャパンウィークエンド。日本人の私にとって、これまで気づかなかった日本の魅力を発見する機会となった。スペインではほぼ毎月どこかの都市で本イベントが開催されているので、訪れた際はぜひ足を運んでみてほしい。

執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.