今年で発売50年を迎えた日清の『カップヌードル』は、累計販売食数が500億食を突破。これは日本だけの売上ではなく、世界累計の個数である。さすが世界のNISSIN。

ちなみに海外で売られているカップヌードルは、日本のものとはテイストが異なる。私が現在滞在しているスペインで入手できたカップヌードルは6種類。これはフランスやイタリアなど、ヨーロッパ諸国で売られているようだ。果たしてこの中に隠れたヒット作はあるのだろうか?

・アイツがいない

ヨーロッパのカップヌードルは『Beef』(牛肉)、『Chicken』(鶏肉)、『Duck』(鴨肉)、『Curry』(カレー)、『Shrimps』(エビ)、『Spicy』(スパイシー)の6種類。日本でも売られているのは『カレー』のみ。

日本でカップヌードルといえばおなじみなのが「謎肉」。あれは豚肉に野菜などを混ぜて作られるものだ。しかしどうやら、ヨーロッパのカップヌードルには豚肉が使われていない様子。鴨肉はあるのに……?

食文化や宗教の問題が関係しているのかどうかは定かでないが、要するに日本と完全に同じ味のものは存在していないということになる。スペインでの価格は各1.1ユーロ(約141円)。ちなみに日本から輸入されたカップヌードルは4.58ユーロ(約588円)。高級品である。


・①『Beef』


「AROMATIC SPICY SOUP」(芳香なスパイシースープ)と書かれた『Beef』。日本でいう「牛骨ラーメン」みたいな感じだろうか?

ポロポロとしたミンチ状のビーフに、ネギとパプリカ。肉肉しくておいしそう……


…………微妙!


なんだこれ? なんとも表現するのが難しい味だ。ビーフは硬く、ある意味とても肉らしい。スープは茶色だが、不思議なことに味のベースは日本の『シーフード』と近い。そこに中国の食堂で出てくる坦々麺みたいな、複雑な味が混ざっている。

そして少しのピリ辛と動物臭さ……これほど情報量が多いにもかかわらず、なぜか味はパッとしない。逆にそれが個性ともいえるだろう。なお個人的な好みによるものではあるが、今回実食した6種類にそれぞれ10点満点で点数をつけさせていただくこととする。


『Beef』……3点


・②『Chicken』


Beefでショックを受けたので、手堅そうな『Chicken』いってみよう。

日本だと『チリトマトヌードル』にチキンが使われており、「白い謎肉」と呼ばれているのだそうだ。「ASIAN STYLE SOUP』(アジア風スープ)と書かれているが、欧米のアジア風には注意が必要。


あっ!? おいしい!!


すっきりとした鶏ガラスープに浮かぶのはチキン、トマト、シイタケ。ピリリと舌に残るのはコショウかジンジャーか? ベトナムのフォーのような、台湾のお粥のような……とにかく万人受けするアジアンテイストである。スルスルいけちゃう。


『Chicken』……8点


・③『Duck』


ここらで今回最もヤバそうな気配のする『Duck』いってみよう。

野生に近いほどクセが強いとも言われるカモの肉は、濃厚なソースやスパイスで臭みを消しつつ食べることも。果たして世界のNISSINは、この難関食材をどのようにカップヌードル化したというのか……?


結論:マジでヤバかった


クセがスゴイ。全然隠し切れていない。逆にすごく野生のカモらしいともいえるので、興味のある人は絶対にトライしてみるべきだろう。オリジナルカップヌードルに動物エキスをドバドバ投入した感じ、とでも言おうか。お子様舌の私にはハードルが高すぎた。


『Duck』……1点


・④『Curry』


ここは6種類の中でド安牌といえる『Curry』の出番だ。「JAPANESE CURRY SOUP」(日本風カレースープ)と書かれている点も心強い。

口中に広がるダック臭を消しておくれ……!


結論:やはりカレーは偉大だった


日本の『カレーヌードル』と近いけど違う。日本のカレーヌードルを “茶色いカレー” とするならば、こちらは “黄色いカレー” といった感じだ。カレールウじゃなく、カレー粉と小麦粉から作られているタイプのカレー。とろみがあってまろやか。

そこにコンソメっぽい味も加わり、薄味なのでスープとしても楽しめる。まさか遠いスペインの地で近所の蕎麦屋のカレーを思い出すことになるとは。おかげでダック臭は完全に消えた。本当にありがとうございました。


『Curry』……9点


・⑤『Shrimps』


お次は今回のダークホースともいうべき『Shrimps』。オリジナル版では万年脇役のエビを、大胆にも主役に抜擢した一品だ。


……の割にエビ少ねえぇぇぇ!!!!!


今回の中では最も日本のオリジナル・カップヌードルに近い味なので、あの味が恋しくなった時にはコレをチョイスすべきではあろう。が、それにしてもクセがなさすぎる。エビ感ZERO。エビ好きとしてはもう少し、エビに頑張って欲しかった。


『Shrimps』……6点


・⑥『Spicy』


最後はあまり期待できない『Spicy』だ。

と、いうのも欧米の人は辛さに弱いのか、辛いものを食べられる場所が日本と比べて少ない。スペインで韓国料理やインド料理屋にも行ったが、痺れるほどの辛さには出会えなかったのだ。欧米スパイシーヌードル、お手並み拝見といこうか。


おっ! けっこう頑張ってるな!?


後からくるタイプのちょいピリカラ。唐辛子の辛さとトマトの酸味が爽やかでイイ感じ。すごく辛いわけではないが、欧米バージョンにしてはなかなか頑張っていると言っていいだろう。ベースは日本のオリジナルに近い。こちらでは高価なゴマが入っているのも嬉しい。


『Spicy』……6点


・カレー最強説

今回の個人的な採点をまとめると以下の通り。


『Curry』9点
『Chicken』8点
『Spicy』6点
『Shrimps』6点
『Beef』3点
『Duck』1点


ってことで日本人がヨーロッパを旅行した際、安定したおいしさを感じられるのは『Curry』か『Chicken』。海外ならではの変わった味を求めるなら『Duck』を食べておけば間違いないだろう。ところ変われば味覚も変わる。世界へ旅立つときは、その土地ならではのカップヌードルを探してみてほしい。

執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.
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