
ありきたりな問いだが、皆さんは「最後の晩餐」にどんな食事を望むだろうか。筆者は鶏の唐揚げと家系ラーメンと二郎系ラーメンを食べながら最期の時を迎えたいと思っている。来世で動物性脂肪に生まれ変わる気満々のギトギトの晩餐だが、大好きなので仕方ない。
今回はそんな大好物のうちの1つ、二郎系ラーメンについて皆さんと共有しておきたいことがある。あの有名ラーメンチェーン「一風堂」の運営会社が、二郎系ラーメンを提供する新業態を開始したというのだ。あまりにも「最後の晩餐」候補すぎるのでレビューしようと思う。
改めて説明すると、一風堂の運営会社「力の源ホールディングス」が開始した二郎系の新業態は、その名も「博多ジロー」という。2021年6月16日より、東京・中野にてデリバリー及びテイクアウトを専門としたゴーストレストラン形式で運営されている。
Uber Eatsで注文できるとのことなのでアクセスしたところ、「超絶極太背脂大蒜(ニンニク)ジロー」と名付けられた看板メニューを見つけた。一風堂で扱っているラーメンが「白丸元味」や「赤丸新味」といった上品なネーミングであるのに対し、こちらは良い意味で知性を感じられない。
とはいえ、この二郎系ラーメンはもともと一風堂の「福岡市 西通り店」で提供されていたメニューらしい。それゆえか、トッピングのラインナップにネギやニンニク増しといった定番の品目が並ぶなか、博多の辛子明太子という異色の選択肢が顔を覗かせている。
せっかくなので、今回はその明太子を追加して頼むことにした(価格はラーメン1180円、トッピング150円)。注文後、届いた料理には一風堂名物の辛もやしまでプレゼントで付け添えられていて、いよいよ賑やかになってきた。
問題は味である。1流ラーメンブランドの新業態なので大して心配はしていないが、弘法にも筆の誤りがあるくらいだから、一風堂にも二郎の誤りがあるかもしれない。実食に移るべく、中蓋で区切られていた麺と具材をスープに投入していく。
まもなく出来上がったラーメンは、どこに目を向けても魅惑的な出で立ちをしていた。食欲が急速に高まる。悩ましい気持ちになりつつ、まずはスープをすすってみる。
と、そうして1口飲み込んだ時点で、一風堂に誤りなどないということをもはや完全に悟っていた。こってりとした脂やパンチのあるニンニクの香りをふんだんに含んだテイストは、間違いなく二郎系に属しているものだった。
本家・ラーメン二郎よりはクリーミーさが薄く、醬油の成分が鋭く出ているスープだが、それでも大枠を外れてはいない。そのスープと密に絡んだ太麺も、柔らかくも歯ごたえのある、いわゆるワシワシとした食感において二郎の流儀をきちんと踏襲している。
一方、具材の量はやや控えめで、二郎そのままのボリュームを期待したなら肩透かしを食らう可能性は否めない。が、モヤシやキャベツといったメンツの中にキクラゲが紛れ込んでいたりして、多少の不服があってもオリジナリティが丁寧に埋め合わせをしてくれる。
何より忘れてはならないのが辛子明太子だ。ひとしきりラーメンの濃厚な味わいを堪能した後に箸を伸ばせば、ピリ辛の刺激が口の中を小気味良く引き締める。食欲にいっそう弾みがつき、再び麺とスープと具材に埋没して止まらなくなる。
おまけに憎らしいのが、この明太子が食事の終わり際まで遺憾なくポテンシャルを発揮することだ。残すところスープだけという状態になっても、そこには明太子の粒と唐辛子がたっぷり溶け込んでおり、最初に飲んだ時より旨味が増している感覚さえもたらしてくる。
正直、「博多ジロー」のラーメンで最も惹かれた部分はこの「明太子入りのスープ」である。尋常ではなく美味しい。明太子をトッピングではなく標準搭載にするべきではないかと思ってしまう。もしラーメン界のフィクサーがこの記事を読んでいたら、「博多ジロー」に伝えてほしい。
ともかく総括すると、二郎イズムを確かに継承しつつ、しかし単なる二郎系にとどまらない独特の魅力を見せてくれた一品だった。最後の晩餐にふさわしい。このラーメンを食べながら地球最後の日を過ごせたなら格別だろう。
地球最後の日にUber Eatsが機能しているかはわからないが、要はそう感じるほど鮮烈なラーメンだったということだ。皆さんにもぜひ味わってみてほしい。きっとあなたのラーメン観に新たな風を吹き込む、「一風」変わった存在となってくれるに違いない。
西本大紀









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