部屋の片づけをしていたところ、無地の段ボール箱が出てきた。
「なんの箱だっけ?」
開けてみると、以前工作にハマっていた時に買い集めていた樹脂粘土がたくさん詰まっていた。そうだ、使わないまま放っておいたんだった。
懐かしくなり、何か作りたくなってしまった。しかし何を作ろう……? 悩みながらも自然と粘土をこねる手が動き始めたのだった。
・そもそも樹脂粘土とは
粘土というと紙粘土を思い浮かべる方が多いかもしれないが、我が家にあるのは樹脂粘土。乾燥させると樹脂のように固く、水にも強くなるという工作用の粘土だ。
紙粘土と同様、こねて形成して乾かすだけという手軽さから愛用者は多い。アクリル絵の具や塗料で着色しやすいというのも魅力だ。
残念ながら一番工作に使いやすい粘土である『モデナ』は、長期間の放置に耐えられずカチカチに固まってしまっていた。それも3つ! 合計すると2000円分ぐらいだろうか、もったいない……。
固まると半透明になる特殊な粘土、『すけるくん』は開封済みであるにも関わらず無事であった。
モデナに比べると価格の高い粘土なので遊ぶにはもったいない気もするが、他につかうアテもないので今回はこれを使おう!
ねりねりねり……
なんとなく手が勝手に細長い紐を作り、とぐろを巻いてしまった。
あぁ、これは──
ウンチだ
せっかくだし、表面にひび割れがたくさんあるのもキレイにしよう。どうせ作るならツヤツヤのピカピカなウンチを作りたいじゃないか。
・材料を紹介するぜ!
部屋をひっかき回して探してみたら良さそうな物があったので使っていこう。もはや片づけは一切していない。
モデナペースト
ペースト状の柔らかい質感を持つ樹脂粘土だ。樹脂粘土同士の接着剤として使ったり、フェイクスイーツ用のチョコレートやソースを作ったりできる。
ミラーネイル用の金色のパウダー
チップでパウダーをこすりつけることで、まるでメッキのような質感のネイルを作れる不思議なアイテムだ。
おゆプラ
80℃以上のお湯に浸けることで柔らかくなり、冷えると固まる粘土のようなもの。型取りに使える。
レジン液
ロケットニュースでも過去に登場している、UVライトの光を当てることで硬化する樹脂。直接触るとレジンアレルギーの発症原因となるので、手袋などをした上で使おう。
ジェルネイル用のトップコート
ジェルネイルの最後の仕上げにツヤ出し・ネイルの保護のために塗るもの。これだけは現役で毎月使用しているアイテムである。
以上だ!
・ウンチを整えよう
あとは淡々と作業をこなしていこう。
まずは冒頭でとぐろを巻いたひび割れウンチを一晩乾燥させ、翌朝よりモデナペーストでひびを埋めつつ形を整えていく。
裏側も埋めていく
ウンチで一番大切なのは頂点ではないだろうか。ここがチョンときれいに尖っていると職人感が一気に増す。
丁寧にモデナペーストを盛って整えたところ、かなり納得のできる形になった。
トップコートを塗り、表面のガタつきをなくして滑らかに整える。丸みと段差をつぶさないよう、かなり慎重な作業だ。
この作業、元々は やすりで削って滑らかにしようと思っていたが、粘土が柔らかすぎるためうまく出来なかった。樹脂粘土ではなく石粉粘土(固まると石膏のような硬い質感になる粘土)を使用しておけば楽に加工することができたはずだ。
試行錯誤の3日を経て、納得のいくウンチが完成した!
丸み、段差、頂点とこだわり抜いた理想のウンチだ!!
・ウンチを量産しよう
せっかく丁寧に作ったので、このウンチを量産できるようにしてみたい。ここで活躍するのが、おゆプラとレジンだ。
まずはおゆプラを熱湯に浸け数分。柔らかくして、
ウンチを半分埋め込み、
反対側からもおゆプラを押し付ける。
冷えるまで待ち、半分に割れば型の出来上がりだ!
この中にレジン液を流し入れ、UVライトで照射する。
割ってみると……
ウンチができた!!
バリがたくさんついているが、樹脂粘土と違い、レジンは削って加工することが可能だ。
しかし――
真ん中に大きな隙間ができてしまった。どうやらレジン液をケチってしまったのが仇(あだ)となったらしい。とは言え、初めてにしては十分うまくできたのではないだろうか。
レジン液を増やして再び作り、バリをとったものがこちら。
さらにトップコートを塗れば――
やったー!! クリアウンチだぁぁぁ!!!!!!
ということでコイツを金ピカのウンチにしていこう。方法は驚くほど簡単。
ウンチの表面に金のパウダーをこすりつけるだけ。
ツヤっと金色になったのがわかるだろうか?
上からトップコートを塗り、その上から更にパウダーを塗り重ねること数回……
ついに金のウンチ、爆誕だ!!!!!!!!
・課題は残っている
今回、素人がイチから型を作ってレジンを成型してみたことでいくつか課題が分かったのでまとめておこう。
・原型は硬い粘土で作るべき
・レジンはもったいぶらずにたっぷり使うべき
・型取りの際、おゆプラにシワができないように気を付けて原型を押し付けるべき
おゆプラにシワが入っていると、レジンにまでそのシワが転写されてしまうのだ。
・金のパウダーを塗る際、透け感が出ないように下地の色を塗っておくべき
透かして見るとわかるが、金のパウダーだけでは光が通ってしまい、完全な金にすることはできなかった。
次回への課題はこんなところだろうか。
せっかくなので1作目の失敗ウンチは茶色に塗装してみた。ツルツルテカテカのウンチが3色並んでいるのは非常に愉快である。
――あなたが落としたのは、何色のウンチですか?
執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.
▼金のウンチがUVライトに照らされている様子、サイケで良い。
▼日常の中に溶け込むウンチたち
▼回転するウンチ