JR博多駅の屋上に小さな神社があり、そこで謎のブロンズ像が電車ごっこをしている──という、何だか不思議な話を聞いた。しかもそのブロンズ像が、奈良県の大人気マスコットキャラクター「せんとくん」の兄弟らしい。もはや不思議を通り越して怪談である。
博多駅の屋上か……そういえば行ったことないな。というわけで今回は、噂の真相を確かめるべく、JR博多シティの屋上へ。そこで見た衝撃の光景とはッッ!
・JR博多シティの屋上へ
博多駅直結のJR博多シティといえば、知る人ぞ知るトレインビュースポットが9階にあると以前の記事でお伝えした。映画館のすぐ近く、薄暗い廊下を抜けた先に優雅な木目調の休憩室があるぞ。高級列車で過ごすプレミアムな時間を再現しているのだとか。
今回はさらに上、舞台は屋上である。エレベーターの案内によると「つばめの杜(もり)ひろば」なる屋上庭園が待ち構えているらしい。庭園内に “小さな神社” があるのだろう。
庭園は駅ビル施設内とは思えない、とても開放的な空間だった。植物園レベルで草木が植えられている。なんでも四季を通じて色とりどりの草花が楽しめるらしいぞ。ぶらぶら散策していると……
鳥居が現れた。
こちら『鉄道神社』の「一の鳥居(星門)」とのこと。そう、博多駅の屋上には、旅の安全を祈願する鉄道神社があったのだ。
んで、どうやらこの先に「二の鳥居」「三の鳥居」と参道が続き……せんとくんの兄弟と噂されるブロンズ像がスタンバイしているもよう。 “せんとくんの兄弟” というワードが怪談めいているが、気にせず進んでいこう。二の鳥居には「福門」と書いてある。
続いて三の鳥居は「夢門」か。後から知ったことだが、星門で厄除けをして、福門で福を招き、夢門で良縁を結ぶ……そして最後に旅の安全祈願ができるのが鉄道神社の特徴なのだとか。なるほどなるほど。で、で、で、3つの門をくぐるとサークル状の空間がある。
さあ、手水舎で心身を清めてから神聖なサークル内へ。中央に何かがいるような……
………………
え、九州?
チョ待て待て待て。
怖い怖い怖い。
説明板等は設置されていないため、ぱっと見、UFOを呼ぶ儀式のような怖さを感じてしまう。こちらも調べたところ、やはり「せんとくん」を手掛けた彫刻家の薮内佐斗司氏が制作したもので、『縁結び七福童子』なる作品らしい。兄弟と言ってもいいのかも。
白い砂利は海、童子らの電車ごっこは九州7県がつながるイメージを表現したそうだ。そういえば、博多駅の隠れキャラ「金のカエル」も薮内氏の作品だった。なるほど、だんだん可愛らしく思えて……きましたよね?
・見どころは他にも
──さて、鉄道神社と屋上庭園の見所はまだまだある。たとえば、ドイツの鉄道技術者で、九州鉄道建設に貢献したヘルマン・ルムシュッテルのレリーフがあったり……
博多停車場(2代目博多駅)1番ホームで使用されていた支柱も展示されている。1世紀を生き抜いた支柱は威厳と風格が漂っていた。最高にカッコイイ。
博多駅ビルの屋上庭園、緑が多く居心地もいいので休憩にも良さそう。立ち寄った際には、旅の安全と良いご縁を……そして元気なブロンズ像からパワーを授かってみてはいかがだろうか。穴場スポットとして覚えておこう。
参考リンク:JR博多シティ「つばめの杜ひろば」
執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.
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