子供のころ、母に「耳かき」をしてもらうのが楽しみだった。すぐ終わってしまうのが悲しくて、こっそり耳に鼻くそを詰めておいたら1秒でバレたっけな。「耳かき」は自分でやるのも悪くないが、人にやってもらうと100倍イイ。でも友達や同僚にはなかなか頼みづらいもの。
さて都内在住の人ならJR中央線・御茶ノ水駅を通過する際、窓の向こうに「ひざまくら みみかき」の看板を目撃したことがあるはずだ。ココ、なんとな〜く「成人男性しか行けない店」っぽい雰囲気があるのだが、実は女子でも利用OKということをご存知だろうか?
ちなみに私は全然知らなかった……ってことで、さっそく初体験してきたぞ〜!
・興味本位OKも!
JR御茶ノ水駅ホーム北側に流れているのは神田川。その向こうに『山本耳かき店』の看板が見える。
文字を眺めているだけでヨダレが出そうだ。
『山本耳かき店 秋葉原総本店』は各線・御茶ノ水駅から徒歩3分ほど。最寄りが御茶ノ水なのに「秋葉原店」なのは、かつて秋葉原駅前から移転してきた経緯があるためらしい。まぁ御茶ノ水と秋葉原は歩ける距離だから、ここも秋葉原の一部と言えよう。
神田川沿いをまっすぐ進むと……
さりげなく「受付は2階」の看板が。正直、初心者には少し勇気がいる佇まいである。
しかしココは正真正銘の明朗会計(30分コース3200円 ※指名なし)なので、各自どうにか勇気を振り絞っていただきたい。オズオズと階段を登ると受付があり……
和テイストな個室へ案内された! なんかいい匂いがする〜♡
・俺の悩み
この日、施術を担当してくれる女子はツバサさん。こう見えて結構オタクらしく、今オススメのアニメは『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』とのことだ。今度見てみよう。いや、そんなことより……
メッチャ美女やん!
しかもメッチャ細身やん! このような美女に対してチト言いづらいが、私はどうしても彼女に打ち明けておかねばならぬことがある。
それは私が “生粋のネチャ耳” であるということ。ネチャ耳とは「あめ耳」「じく耳」などとも呼ばれる、耳垢がネチャネチャと湿ったタイプの人のことだ。日本人でネチャ耳は全体の2〜3割とされ、少数であるがゆえ非常に肩身が狭い。
実は竹や金属製の『耳かき棒』は本来ネチャ耳に適しておらす、私はいつも綿棒でセルフ耳かきをしている。だがしかし……ネチャだって本当は耳かき棒でカキカキしてほしい! そんな気持ちを正直に話してみたのだ。
すると……「全然気にしなくて大丈夫ですよ」との答えが! な、なんて優しいんだ! ネチャ耳の同志たち、どうか引け目を感じることなくこの店を訪れてほしい!
ってことで……
遠慮なく膝へコロン!
・究極の癒し
お店の基本コースは30分 or 60分。今回私が予約した30分コースは、まず3〜5分ほど耳のマッサージ。続いて耳かきが約10分(片耳5分ずつ)、目元・頭・肩などのマッサージ……という流れ。
ただし「肩多めで」「耳かきマシマシ」など、あらかじめ希望を伝えておけば変更可能(耳かき無しは不可)。リピーターの中には耳かき中毒者が多く、耳垢がなくなっても「かき続けてくれ」という猛者もいるのだとか。その気持ち、分かる。
10年以上セルフ耳かきをしてきた私の耳には結構な量のアカが溜まっているらしく、ツバサさんの方から「耳かきを長めにしていいですか?」と提案してくださった。この頃になれば不思議と恥じらいは消え、「どうぞやっちゃってください」という気持ちに。
それにしても彼女はプロの中でもかなり腕が良いほうとみえる。痛くないギリギリの箇所をイイ感じにカキカキしてくださり、控えめに言って極楽だ。このまま眠りたい。でも寝たらもったいない。でも寝そう……………………すると突然……
原田「ワ、ワーーーーーッ!!!!!!」
カメラマンとして同行していた当サイトの原田記者が近所迷惑な大声を上げたではないか。えっ、何!? 聞けば私の耳から「あまりにもジャンボな耳アカ」が出現したためらしいが……彼は少し大げさなところがある。念のため耳かきを中断し、自分の目で確認してみよう。
私「これは、セミの抜け殻ですか?」
長年のセルフ耳かきにより奥深くへ押し込まれた耳アカは、カチカチに固まってセミの抜け殻のような姿に成長していたらしい。読者の皆さんにもご確認いただきたいのだが、お食事中の方もおられることを考慮して記事の最後にそっと貼り付けておくことにする。
客の中にはアカで耳にフタができてしまっている者や、ロクに耳も聞こえなくなった状態で来店する者もいるらしい。「耳かき」は別にやらなくても命に関わるわけではないが、あまり放っておきすぎるのも考えものである。
・振り返ればアイツが
さて夢の30分はアッという間に終了し、私はここ数年で最大の「来てよかった感」を噛みしめていた。この天国がタッタの3200円とは、日本の物価は大丈夫だろうか。ちなみに私の耳アカは今回の施術では取り切れなかったとのこと。また近いうち来店できそうだ。
心の底から御礼を申し上げるワタシ。
…………と、その時だった。
何やら背後にネットリとした視線を感じたのは。
振り返ると…………
うらやましそうにしている男。
・待ちわびていた男
聞けばカメラマンとして同行した原田記者も大の耳かき好き。お腹を空かせた犬のような顔で「ボクも……」と待つ中年男の姿はとても切ない。お店にお願いしたところ、ついでに施術してもらえることになったぞ。申し訳ないッス!
光の速さで横たわる原田記者。
彼の耳アカは「カサカサ」と「ネチャ」の中間とのこと。耳アカにもいろんなタイプがあるんだな……。耳の側面に耳アカがこびりついた状態らしく、想像しただけで汚らしい。
遠慮なくマッサージまでしてもらう原田記者。
うわごとのように「いいですね」「ナイスですね」などと繰り返す男。気の利いたコメントをする気はないらしい。
だらしなく薄笑いまで浮かべて……!
・日本に生まれてよかった
欧米諸国には「耳かき」という習慣そのものがない地域も多いそうだ。そのためアメリカやヨーロッパから来る客は、初めての耳かきに感動して帰っていくのだとか。いや〜、俺たち日本に生まれてマジラッキーだったな。
女性客の来店は全体の3%程度と少なめだが、毎月一定数は利用があるとのこと。つまり「ひざまくら耳かき」の魅力を知れば、男女関係なくハマっちゃうということである。むしろ一般的に “ひざまくらをしてあげる側” になりがちな女子こそ、してもらった時の感動は大きいのではないだろうか。
ってことで、耳かき嫌いでないなら一度は『ひざまくら耳かき』へ行ってみることを強く強くオススメする。恥ずかしかったら友達と一緒に予約してもOK!
気力が満タンにみなぎった私と原田は、スキップで御茶ノ水駅へ向かったのだった。めでたしめでたし……あっ、最後に我々の “取れ高” を公開しておくので、汚い画像が苦手な方はここで画面を閉じていただけますよう!
・今回ご紹介した店舗の詳細データ
店名 山本耳かき店 秋葉原総本店
住所 東京都千代田区外神田2-1-2 東進本館ビル2F
時間 12:00~22:00(土日祝日は11:00〜)
定休日 無休
基本料金 30分 3200円、60分 5200円(その他コースは公式HPをご覧ください ※ 風俗店ではありません)
取材協力:山本耳かき店
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.
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▼原田の耳アカ(片耳ぶん)がコチラ。パラパラとして汚い。
▼そして私(亀沢)の耳アカがコチラ。ところどころに耳毛もくっついているようだが……言っとくけど耳の中って、全員こんな感じだかんね!?