「いきなり! ステーキ」が、2021年2月20日と21日に、錦糸町駅からほど近いオリナスタワー敷地内にて、キッチンカーを出店した。この情報は前もって色々な所で報じられたため、ご存じの方もいるだろう。

ネット上では「近所に来てほしい」などの歓迎する声もあった反面、ステーキという料理自体や価格帯とキッチンカーによるテイクアウトという販売形式の相性を疑問視する意見も。何にせよ、それなりに注目度は高いようだ。どのような感じなのか、実際に利用してみたぞ!

・キッチンカー

ということで、ここは2021年2月20日の夜の錦糸町。スカイツリーからそう遠くない距離にある、オリナスタワーという商業施設。


この敷地内のどこかに出店しているということで、周囲をぐるっとまわってみたところ……


「ステーキ」と大きく書かれた旗をはためかせ


お馴染みの店名を掲げた


キッチンカーを発見! スカイツリーをバックに東京都道465号に面した、なかなか良さそうな場所に出店していた。


中には調理服を着た3名のスタッフが待機しており、注文を受けてから焼いてくれる仕組みのようだ。メニューによると、デフォルトでライスがついているのは「ステーキ重(税込み1080円)」のみで、他のステーキ系は肉単体での販売がメイン(一応コーンが添えられているものもある)なようす。ライスは税込み200円で追加可能だ。


店舗で注文するのと同じようなステーキ系は、確かにテイクアウトとの相性はあまり良く無さそうな気がしなくもない。しっかり腰を据えて食べる環境が欲しい。しかし「ステーキ串(税込み790円)」や「牛串(1本税込み324円~)」などの串系メニューは、キッチンカーでの販売形式に合っているように思う。


似たようなステーキ串は、お祭りなどに出ている屋台にて1本500円とか800円とかで売られているではないか。そう考えると「いきなり! ステーキ」はコスパが良い可能性もある。

肉の他にはビールやウーロン茶も販売しているため、花見や海水浴のシーズンに、人気のスポット周辺に出店したら好評を博しそう。多くの人がレジャーシートや食器などを持ち込むその手の場所なら、ガチなステーキ系も売れるのではなかろうか。まあ、新型コロナの問題が解決しない限り難しいと思うが。

ではいよいよ実際に購入して食べてみよう。今回はせっかくなので、買ったその場で焼きたてを食べる的なムーヴはせず、時間をかけて持ち帰り、一度冷めた後にレンチンなりして食べたらどう感じるのか試すことに。


・一度冷めてから

ということで、こちらが購入後にバックパックに仕舞われて持ち運ばれ、一度キンキンに冷えたものを軽くレンチンした「リブロースステーキ300g(税込み2400円)」だ。


実際にはもっとシェイクされて配置が崩れまくっていたのだが、レンチンする前に少し整えさせて頂いた。持ち帰りの弁当なので、その辺りは仕方ないものとご理解いただきたい。

内容物は、肉、コーン、ガーリック、赤いキャップ付きの容器に入ったタレとカップに入ったバターソース(念のためレンチン時にこの2点は取り出しておいた)。肉の表面はしっかり焼かれつつも、中は程よくレア


食べてみると、まあ……普通。相応に美味しいです。いかにも一般的なステーキ弁当に入っていそうなステーキという感じ。それなりの量の肉を食べた満足感はしっかり味わえる。店舗で焼きたてを食べた方がウマいのは間違いない。そこはさすがに勝てないだろう。レンチンで若干硬くなっているとも思うし。

ちなみに、レンチン前にソースをかけてラップなどで密閉し、少しずつ温めることで硬くならないようにすることもできるようだが、今回はその手の手間を省いた。手軽さもまた、テイクアウトに人々が求める重要な要素の一つだと思ったので。


・前向き

まとめると、肉自体に特別な感想は、ポジティブなものもネガティブなものも、どちらも湧いてこなかったというのが正直なところ。しかしタレとバターソースは、お馴染みの店舗の味のもの。「いきなり! ステーキ」の肉を食べたという感覚は確かにあった

ではキッチンカーである意味はあったのか……? そう聞かれると、少なくとも都内においてはあまり無いと思う。出店依頼を受け付けているが、都内は実店舗へのアクセスが比較的容易な上に、テイクアウトやデリバリーが可能だからだ。

今回はキッチンカー自体を宣伝するのが目的だったのではないかと思うし、そういう面では人の多い錦糸町の商業施設前というセレクトはアリだったとも思う。物珍しさからか、キッチンカーと自撮りしたり、スマホで撮影していく通行人をチラホラ見かけた。宣伝はできたのではなかろうか。

しかし本格的な運用について考えるなら、現状では店舗が全くない所に赴(おもむ)くくらいしかない気がする。そういったエリアにお住まいの方の中には、「いきなり! ステーキ」の味を食べてみたいという方もきっといるだろう。未開拓エリアへの進出用移動拠点としてなら、コロナ禍でも活躍できる余地はあると思う。

あとは先に述べたような、コロナ後に行楽地での屋台的な出店とかだろうか。筆者では今のところ他にアイディアが出てこないが、なんにせよ可能性を感じさせる前向きな挑戦だと思う。最近は業績に関していいニュースを聞かない「いきなり! ステーキ」だが、はたして状況を打破できるのか? 今後に注目したい。

参考リンク:いきなり! ステーキ
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.