選ぶとは捨てること。仏と会っては仏を斬り、鬼と会っては鬼を斬る。1つの道を極めんとするならば他のすべてを捨てる覚悟が必要だ。
レトルトカレーにおいてもこれは同じなのかもしれない。そう思わされるほどに修羅の道を征くレトルトに出会った。その肉比率は43%以上! カレーと呼べるギリギリのラインまで肉を入れたという『やりすぎビーフカレー(600円)』である!!
・牛肉…入れすぎました
まさしく肉の道を極めんとするこの商品。Amazonの商品説明には「製品中の 約43%が牛肉になっております。肉好きの皆様に喜んで頂きたく、採算度外視の肉量に仕上げました」「肉好きの肉好きによる肉好きのためのビーフカレー」などと書かれている。ならば私(中澤)も肉好きの1人として食べてみなければなるまい。
Amazonで取り寄せてみたところ、パッケージでシェフと牛が「牛肉…入れすぎました」と涙している。くッ、なんだこのふざけたパッケージは。シェフどころか牛まで涙するなんてどれほど肉を入れすぎたと言うんだ。さっそく5分湯煎してご飯にかけてみた。
・積みあがる牛肉
黒カレーと共に、パウチの中からゴロゴロと牛肉の塊が転がり出てきてご飯の横に積みあがる。ちなみに、1人前が230gで、そのうち100gが牛肉であるようだ。肉がソースに浮くのではなく、積みあがっていく重量感は『やりすぎビーフカレー』ならではと言えるだろう。
パウチのため具の分量が絞られるレトルトカレーにおいて、この肉比率は正気の沙汰と思えない。だが、ここまで極端に肉を選んだからには何か捨てたものがあるはずだ。そこで食べてみたところ、肉はホロホロしていてウマイ!
の・だ・が……
カレーではない……!
牛肉の旨みとデミグラスソースの甘みが強い味は、カレーと言うよりはビーフシチューに近いように思う。誤解なきように言っておくと決してまずいわけではない。ただ、シェフが「牛肉…入れすぎました」と嘆くのも分かる味だ。
・カレーであることを捨ててた
肉を極めんとするあまりカレーであることを捨てる姿勢は、まさに肉の修羅。その背中に教えられた気がした。「極めるとはこういうことだ」と。
ちなみに、商品説明によると本商品のメーカーは『築地わだつみ』で、「その他にも “やりすぎ” なシリーズを開発中」とのこと。その修羅道はどこに続いていくのか。今後も思い切った商品を期待している。
参考リンク:Amazon
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.