普段、音楽を聞く時にみなさんはどうやって聞いているだろうか? 大抵の人はスマホかパソコン、中にはテレビで聞くという人もいるかもしれないが、何かの形で音楽データを再生しているはず。

近年はレコードやカセットテープが見直され、家電量販店ではレコードプレイヤーやラジカセ(ラジオチューナーを内蔵したカセットレコーダー)を販売しており、カセットテープ専門店なども登場している。

そんななか東京の東急ハンズ渋谷店で、中古カセットテープが売られているのを発見した。その中古テープには元の所有者が書いたインデックスカードが付いていたのだ。テープの中身は空だけど、手書きのインデックスがとても良い。見知らぬ誰かと、思い出を共有している気持ちになる。

・整備品のラジカセを販売

中古テープの販売を行っているのは、東急ハンズ渋谷店1Bフロアの「DESIGN UNDERGROUND SHIBUYA-BASE」だ。ここは整備済みのラジカセ、中古ミュージックテープ、デッドストックになったカセットテープ(新古品)などの販売を行っているお店である。


お店を経営しているのは家電蒐集(しゅうしゅう)家の松崎順一さん。『マツコの知らない世界』(TBS)や『タモリ倶楽部』(テレビ朝日)に出演経験があり、『新装版 70年アナログ家電カタログ』『ラジカセ for フューチャー』などの家電本も出版している。勤めていたデザイン会社を退職し、2003年にラジカセをはじめとするレトロ家電の収集、整備、カスタマイズを始め、2020年6月末からハンズ渋谷にお店をオープンしている。

陳列されている製品を見ると、カセット世代の私(佐藤)はワクワクが止まらない! 古臭いデザインではあるけど、今見ると、とてもカッコよく見える。渋い~!


昔はどこの家庭にでもあった何でもないラジカセなんだけど、今となってはとても愛おしく感じる。スピーカーやボタンの形がカッコイイなあ。1台欲しいなあ~。


・中古のカセットテープ

キレイに整備されたビンテージのラジカセを買いたいところだけど、大事に扱う自信がないのでやめておこう……。せめてテープだけでも買っておきたい。ここには新古品の生テープもおいてあるんだよ!


さらに中身を消去した中古テープも多数置いてあるんだよ! インデックスカードがそのまま入っているところがイイ!! CDやレコードをダビングしたり、ラジオを録音したと思われるものもあるぞ。どんな曲が入ってたのかなあ? 聞くことはできないけど、想像しただけで胸がときめくよ!


・誰かにプレゼントしたのかな?

購入した中古テープは2本、いずれも税込110円だった。1本はカーペンターズベスト(CARPENTERS BEST)と記されたテープだ。1970年代に数々のヒット曲を生み出した兄妹ポップデュオ、その名曲がこのテープに収められていたらしい。


青いペンで綴られた文字を見るだけで、私の脳裏にカレン・カーペンターの美しい歌声が響いてくる。1曲目から「イエスタデイ・ワンス・モア」か~。もう泣ける……。


テープの所有者は律儀だったらしく、インデックスの内側に曲の邦題まで書いていた。もしかして、誰かにプレゼントしたテープだったのかな? 親切心で日本語タイトルを書いて手渡したのかもしれないなあ。


・どうして手放したのか……

もう1本のテープには、テープA面に「昭和31年集」、B面に「安井かずみ集」と書いてあった。


私(昭和48年生まれ)より少し上の世代の人が、このテープを作ったのかも。昭和歌謡の名曲集として編集したのかもな。ちなみに安井かずみさんとは昭和を代表する作詞家の1人である。アニメ映画『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』(1984年)のテーマ曲(歌:飯島真理)の作詞を手掛けた人物だ。


このテープの持ち主もかなりマメな人だったらしい。A面には「08年12月11日」、B面には「09年2月16日」と録音日が記載されている。日付まで書いているのに、なぜテープを処分したんだろうか? やむにやまれぬ事情があったんだろうか? 気になる……。


お店にはノーマルポジション・ハイポジションのテープだけでなく、なんとメタルテープまで置いてあるぞ! 中古の空テープだけど状態は良いそうだ。なお在庫は入荷状況により変動するので、購入したい人はお店で尋ねて欲しい。また価格も商品により異なるので、その点もご了承頂きたい。ちなみに私の買った「DENON」のテープは税込1100円だった。ネットオークションで買うよりも、ずっと安いはず。


・利便性以上のもの

最近は「Apple Music」や「Spotify」などの定額制音楽サービスが増えている。画面を押すだけで好きな曲を手軽に購入することができるから、とても便利だと思う。でもこのインデックスカードを見ると、利便性だけでは手に入れることができない何かがある気がする。カードの文字から、記された文字以上のものが伝わってくるのは、気のせいではないはずだ。

機会があれば1度、東急ハンズ渋谷店に足を運んでみて欲しい。テープ世代の皆さんは感動するはず。若い人たちは新鮮な驚きを得られるのではないだろうか。

・今回訪問した店舗の情報

店名 DESIGN UNDERGROUND SHIBUYA-BASE
住所 東京都渋谷区宇田川町12-18 1Bフロア
時間 10:00~21:00

参照元:DESIGN UNDERGROUND SHIBUYA-BASE
Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24