みんな! 漫画、読んでるかい? 昨今、あらゆる公的手段を使って漫画を読めるようになった。ありがたい限りである。年末年始も近いことであるし、この場で記者が独断と偏見で選んだ激推し漫画を紹介する。
個人がチョイスしたものなので、ある一定方向に趣味嗜好が寄っていることは認識している。がしかし、どれもこれも面白いことは確実だ。保証する。まあまあ、とりあえず覗いてっておくんなせえ……ってことで、いっくぞー!
【2020年に紙の単行本最終巻が出た漫画】
(あいうえお順)
・銀の匙(荒川弘、以下敬称略)全15巻
ご存じ『鋼の錬金術師』の荒川弘さんによる漫画だ。ハガレンも大大大好きな作品であるが、それはこの場ではさて置き。『銀の匙』は北海道の農業高等学校を舞台としている。
高校に通う多数の生徒の家が農業に従事している中、主人公・八軒勇吾は一般家庭の出。そうした中で八軒が悩みもがきながら成長し、また己の道を切り開いていく様は必見だ。
実家が酪農を営んでおり、また自身も農業高校卒である荒川さんによるエッセイ漫画『百姓貴族』と併せて読むのがベスト。
・トクサツガガガ(丹羽庭)全20巻
なんと言うか、個人的にひどく身につまされる作品だった。本作は、特撮オタク女子の仲村叶を主人公とする。彼女は普段、女子力高めのOLに擬態しているが、実は……という話だ。
子どものころ大好きだったものを、大人になるまでずっと好きでい続ける人は、どのくらいいるのだろう。好きなものは年も性別も関係なく、ずっと好きでいいじゃない。改めてそんなことを感じさせられる作品だ。
・鬼灯の冷徹(江口夏実)全31巻
地獄を舞台に、登場人物たちがワチャワチャするコメディ漫画だ。特に大きな事件が起きたりするわけではないが、そこが良い。こんな地獄だったら行ってみたいなと思うのは、記者だけではないはずだ。
いやはやしかし。まさか、この漫画に終わりと言うものが存在するとは思わなかった。国民的某アニメ、サ〇エさん的な感じで続いていくものだと思っていたのだ。
しかしながら最終話を読むと、またいつでも帰って来てもらえそうな雰囲気ではあった。時折戻ってきてくれることを、淡く期待している。
・パパと親父のウチご飯(豊田悠)全13巻
シングルファーザー同士がシェアハウスし、悪戦苦闘しながら子どもたちにご飯を作るお話だ。自分のためだけでなく、誰かのために作る料理は大変だな……でも楽しいことも多いよなと思わされる。
「真似してみたい」と思わされるメニューが多く、レシピ本としても重宝する。酒飲みさんにはスピンオフ『パパと親父のウチ呑み』もオススメだ。
“チェリまほ” こと『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』のドラマがヒットしているが、同じ作者さんだぞ。
【2020年に紙の単行本が発売、もしくは連載開始したばかりの漫画】
・アキはハルとごはんを食べたい(たじまこと)
作者・たじまことさんの描く料理の “美味しそう感” といったらほかにない。登場する料理の数々は、読んでいて思わずよだれが出て来る美味しそう感であるし、それらを食べる登場人物たちの顔からも美味しそう感がにじみ出ている。
こちらも比較的作りやすいメニューが多いため、記者も実際に試してみることが多い。しかしどうしても、あの美味しそう感を越えることができない。いつの日か越えてやるぞと、挑戦する日々である。
ちなみに過去に『水曜日のトリップランチ』より、ホットケーキミックスで作る豚まんを紹介したが、こちらも同じ作者さんだ。
・すみれ先生は料理したくない(大久保ヒロミ)
料理が思ったようにできないという人のポイントを的確についているのが、こちらの作品だ。誰もが憧れるピアノ教師・白雪すみれが主人公なのだが、彼女はとにかく料理が苦手。
毎度必要に迫られ四苦八苦しながら挑戦してみるものの、なかなか思ったようにいかず。その結果を歌にするのだが、その曲がまた素晴らしくてとにかく面白い。
一生懸命取り組むすみれ先生が可愛らしく、心の中でエールを送ってしまうこと必至。そのほか、作者・大久保ヒロミさんによる別作品『エア彼』も、なかなかにパンチが効いたギャグで好きだ。
・鬼の子(ながしまひろみ)全2巻
ほんわかした主人(?)公・オニくんにほっこりする作品だ。ある日突然現れたオニくん、成り行きで福田家のみなさんと一緒に暮らすことになるのだが……。
記者が勝手に想像していたエンドとは大きくはずれ、良い意味で裏切られた。優しさだけではなく時折辛さも交り、大人が読むとジワりとくることだろう。全ページフルカラーでありながら、お手頃価格でボリューミーであるところもすごい。
・月に吠えたンねえ(清家雪子)
タイトルから察せられるように、近代詩に興味がある人は必読な『月に吠えらんねえ』。なんとも不思議な幻想空間「詩歌句街(通称□街)」を舞台とする。近代の詩人や歌人、俳人らの作品からイメージされたキャラクターが、その街で生活する様が描かれる。
最後の最後までモヤっと霧がかかったような、まさに夢の中にいるような世界感に脱帽だ。苦しさとほんのちょっとの幸せと、感情がぐちゃぐちゃになりながらも、読む手が止まらなくなることだろう。
『月に吠えたンねえ』は、そんな『月に吠えらんねえ』のリブートだ。登場人物たちはほぼそのままでノリとしては軽くなり、また違った面白さがある。アプリ「Palcy(パルシィ)」や「Pixivコミック」にて連載中で、2021年1月に単行本化されることが決まっている。
・ケイ×ヤク(薫原好江)
こちらもアプリ「Palcy」で連載中の作品なのだが、毎週更新されるや否や見に行ってしまう程にはハマっている。はじまりこそBL展開だが、これは最良のバディものであると認識している。
かなりザックリ説明すると、警視庁公安部に所属する公安捜査官・一狼とヤクザ・獅郎が手を組み、ある事件の真相を追っていくストーリー。ハラハラと手に汗を握る展開が続くと思えば、合間にほっこりエピソードもありで緩急が素晴らしい。今後の展開もとても楽しみだ。
・BURN THE WITCH(久保帯人)
数年前に週刊少年ジャンプで読み切りが載った時から、これはクルぞと思っていたが、やはりきました。『BLEACH』の久保帯人さんによる新作だ。
ジャンプにて2020年8月に短期集中連載が開始し、並行してそのストーリーが中編アニメとして公開されている。ロンドンの裏側に存在する街リバース・ロンドンを舞台に、魔女たちが異常の存在ドラゴンを対処する話だ。
ストーリーの面白さは言わずもがな、登場するキャラたちがこぞって可愛くカッコよく、さすがとしか言いようがない。これから、ますます盛り上がっていくことが約束されているといっても過言ではなかろう。その始まりの瞬間を、見逃すことなかれ!
・紹介しきれなかった
──以上、2020年という括りで10作品を選んでみた。本当はまだまだ……まーだまだ、たぁぁぁぁ~~~~くさん、好きな作品があるのだが、長くなるので別の機会にお伝えしたい。
残念ながら年末年始は、外出がままならなさそうだ。しかし、これはある意味チャンス。引きこもって、じっくり漫画を読む絶好の機会ではないか。こちらの記事が、あなたのお気に入りの1冊を見つける一助となれば幸いだ。
Report:K.Masami
Photo:Rocketnews24.
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▼2020年という枠を取っ払って……ここ数年気に入っている作品(のほんの一例)はこのあたりです! 読んでみて!!