朝夕の寒さが身に染みる今日この頃。それもそのはずもう12月だ。陽が暮れると、マンションの窓から漏れ出る明かりすら温かく感じる。あいにく、独り身の私(中澤)には温かい食卓など家には待っていないが、そんな私を温めてくれるのが定食屋チェーンの鍋定食。
やよい軒ですき焼きが始まったら冬を感じる。割下と卵のハーモニーはもはや風物詩。一方、吉野家にも牛すき鍋膳という鍋があるが、この2つはどちらがコスパが良いのか? 食べ比べてみたぞ。
・価格
まず、価格を見ると、やよい軒の「すき焼き定食」は税抜き810円、吉野家の「牛すき鍋膳」は税抜き648円だ。価格としては吉野家が160円以上安いことになる。
が、やよい軒の「すき焼き定食」は価格ではなく味勝負なところが大きい。甘めの割下が非常にコク深く、その味が存分にしみ込んだ白菜やねぎは、卵につけない方がウマイレベル。
・2年前
2年前の11月、当編集部の和才雄一郎がこの点に触れている。そして、和才はやよい軒に軍配を上げた。にもかかわらず、私がこの記事を改めて書いた理由は和才と全く逆の結論に至ったからだ。そう、2020年冬のすき焼き鍋勝負は……
吉野家「牛すき鍋膳」の勝ち!
確かに、やよい軒の鍋が奏でるハーモニーは素晴らしい。割下は相変わらずウマイし、ネギなんて味が染みすぎて、それだけでご飯が進む。が、吉野家と食べ比べた時、私はこう思ってしまった。「肉少なくね?」と──。
やよい軒のすき焼き定食ってこんなに肉少なかったっけ? 吉野家の牛すき鍋膳を食べた後に食べるとそう思ってしまう。それほどに肉量に差があるのだ。和才はこれを「ソロが長すぎる」と表現していたが、私はソロが好きなのである。ギタリストだから!
・割下
さらに、割下も直に飲んでみるとそこまで味は変わらない。ただ、味の染み方としては、やよい軒が1枚上手であるように感じた。吉野家も決して染みていないわけではないのだが、やよい軒の素材の味と割下の黄金比までは至っていない。ここは素直にやよい軒に拍手だ。
・吉野家の成長
だが、吉野家の定食には2年前から明らかに変わった点がある。吉野家の成長と言っても過言ではないその偉大なる一歩とは……
そう、ご飯がおかわり自由になったことだ。
肉が多く、そこそこウマくて、ご飯おかわり自由。これで160円以上安いのだから、私が吉野家に軍配を上げたくなる気持ちも分かるだろう。コスパの観点から見ると、今の吉野家に死角はない。確固たる地位を築きながらも、さらに進化を求める吉野家。私はその姿勢を評価したいのだ。
とは言え、やよい軒のすき焼きのクオリティーが相変わらず高いこともまた事実。ご飯もふっくらしており、おかわりしたくなる味である。そういう意味では、“ご飯のやよい軒” もまた健在だ。今年も群雄割拠の定食チェーン鍋。心温まるその味で冬を乗り切ろう。
Report:中澤星児
Photo:Rocketnews24.