Sonyが新しいフルサイズミラーレスを発表しました。「α7C」です。CはCompactのCということで、小型軽量が特徴。パッと見た感じだと、同社のα6000シリーズみたいなサイズ感と形状をしています。
カラーバリエーションが2種展開というのもα7シリーズとしては初。今までは黒一色でしたが、今回はシルバーも選べるようです。他にも新しいキットレンズと、新しいストロボも発表されたということで、それを見て感じた正直なところを述べていこうかと。
・α7C
詳細なスペックはすでに製品ページが公開されているので、そちらを見て頂ければと。一番のポイントはやはり軽さでしょう。
筆者(江川)は初代α7Rが出た時に、それまで使ってた他社の一眼レフを売ってミラーレスデビューし、それからずっとR系列のユーザー。最初の7Rは本当に軽かった(バッテリー込み465g!)。
メモリーカードのスロットは1枚分しかないし、シャッター音はうるさいしと細かい不満があったのも事実。ですが、軽さは時にあらゆる不満に勝ります。特に筆者のような体力が無く、手首を痛めがちな中年にとっては。
それから月日が経ち、Rシリーズ最新のα7RⅣは機能が充実した結果、初代よりも200グラムくらい重くなりました。他の無印とSシリーズも、α7Ⅲは650グラムで、α7SⅢは699グラム(バッテリーとメモリーカード込み)。このように現行の最新のα7シリーズはどれも600グラム越えですが、α7Cは509グラム!
そして中身の性能はα7Ⅲと同じような感じ。有効画素数は約2420万画素で、AFカバー率93%。人間と動物の瞳AFに対応し、ISO感度はISO100-51200で(拡張したらISO50-204800まで)5段階分のボディ内手振れ補正に対応。そして嬉しいバリアングル液晶。
予想価格はボディのみだと約21万円で、レンズキットなら約24万円とのこと。記事執筆時(9月15日11時45分)の価格.comによると、ボディのみのα7Ⅲの値段は約20万円と、α7Cの予想価格とほぼ同じ。まとめると、α6000シリーズのサイズ感で使える、軽くてバリアングル液晶なα7Ⅲってところでしょうか。現行のα7シリーズのサイズ感や重さがネックだった人にとっては、良い選択肢になるかもしれませんね。
・Vlogger向けか
軽さの次に良さを感じたのは、「最大220分の連続動画撮影時間」という部分。動画の6分あたりを見てください。
本体だけでこれだけ撮れるとなれば、特にVloggerにとってはかなり魅力的なのではないでしょうか。ジンバルに乗せて、外付けでマイクやライトなど追加で色々装備することも考えれば、カメラ本体の軽さがなおのこと輝きます。
上から見ても、動画撮影用ボタンとシャッターのみというα7シリーズ史上ぶっちぎりなボタンの少なさ。α6000シリーズのユーザーからすると、動画撮影用ボタンが独立したのは嬉しいことではないでしょうか。
・静止画メインな人は
動画的にはそこそこ良さそうなα7Cですが、静止画メインな人にとってはちょっと物足りないスペックな気もします。まず、シャッター速度が最高で1/4000秒。これは遅すぎる。晴れの日に屋外で明るいレンズを使用して撮影するなら、NDフィルターが必須になる気がします。
そしてフラッシュ同調速度が1/160秒というのも微妙です。ここは1/250秒まで欲しいところ。そして従来のα7シリーズと比べて少ないカスタムボタンの数と、背面のジョイスティック的なボタンが無くなっている点も静止画メインにとっては不便かと。
そして何より致命的なのが、グリップ前のダイヤルの消失です。初代α7からお馴染みの、グリップ前面と背面の親指の来る辺りに1つずつ搭載されたダイヤルは、α7のデザインの中で最も優れた点の内の一つだと思っている筆者。この2つのダイヤルに絞りなりシャッタースピードなりを割り当てることで、素早く直感的にマニュアルで撮影することができました。
α7Cにはグリップ前面のダイヤルが無いため、マニュアルでの使用感はかなり悪くなるでしょう。一方でα7Cでも搭載され続けている露出補正のダイヤル。これには「お前まだいなくならないのか……」という感じ。あってもいいんですが、それなら何か別の機能に割り当てさせてくれと。
静止画メインなら、不要なダイヤルが残っていて、有用なダイヤルが減った感じで微妙な感じがします。スペックだけではなく、公式HPでチラっと写っているメニュー画面的にもα7Cはα7Ⅲとほぼ同じ中身っぽいので、きっとUIもテコ入れはされてないんじゃないかなぁと。α7SⅢと同じ洗練されたUIとタッチパネルを期待してたのは、きっと筆者だけじゃないはず。
・キットレンズ
静止画はともかく、動画メインなユーザー向けとしてはコンパクトで中々良さそうなα7C。本体と合わせて、新しいズームレンズが発表されました。FE28-60mm F4-5.6で、ソニーによると世界最小・最軽量なフルサイズ用標準ズームレンズなのだそう。
レンズキットを買えば最初からカメラについてくるレンズです。ただ正直このレンズは、動画だろうが静止画だろうがちょっと中途半端なスペックかなぁと。28㎜スタートというのがまず狭い気がします。
静止画よりは動画向き(詳しくは後述します)という印象のα7C。中にはレンズキットを買って、そのままYouTube向け動画を撮影しようと考えるユーザーもいることでしょう。そうなると、手持ちで自撮りする場面もあるかと思います。動画内にもそれっぽいカットありましたし。
28㎜でこれをやるなら、結構腕を伸ばさないと被写体と背景のバランスがいい感じにならないと思うんですよね。そして、F4からというのが暗い。屋内や夜に撮影するなら少し厳しいのではないでしょうか。そしてズームしても60㎜までという、これまた中途半端な感じ。
軽くて小さいのは何よりですが、個人的に有効な使い道が思い浮かばないレンズかなぁと。動画撮るならSEL20F18Gという、20㎜でF1.8で軽くて小さくて写りのとても良い単焦点レンズがソニー純正であります。個人的には、これ使ってる動画マンめちゃくちゃ多い印象。Vloggerを意識したようなカメラを作るなら、キットレンズもSEL20F18Gの廉価版的なものを出した方が、いわゆる「蒔き絵レンズ」的な感じにもなって良かったんじゃないかなって。
・ストロボ
そして純正の新しいストロボ HLV-F28RM も登場。ガイドナンバーは28。希望小売価格は2万7170円ということで、ソニー純正ストロボらしい値段です。買うかどうかはあなた次第。個人的に純正ストロボはコスパと性能的に買わないのですが……1つだけ、このストロボの発表でちょっと良かった点が。
それが「サイドフレーム補強構造金属シュー」
ソニーのホットシュー関連がとにかく貧弱なのは、ユーザーならご存じのことでしょう。ストロボのシューは純正でも樹脂。サードパーティ製のストロボでも、他社用は金属製なのに、ソニー用だけは樹脂製みたいな。
撮影時に負荷がかかってバッキバキに砕け散ることもよくありました。しかし、ここにきて純正でついに金属で補強されたシューが! サードパーティもこれに続いてほしいところ。個人的には、今回一番興奮したポイントだったりしました。
ということで色々と良さそうな点と物足りなさそうな点を書いてみましたが、Vlogger向けのエントリーモデルといった感じでしょうか。動画向きな性能と価格帯から、ライバルはLumix S5やSigma fpといった辺りになりそう。
参照元:Sony、YouTube、価格.com、Instagram @sony
Report:江川資具
ScreenShots:YouTube
▼公式動画。外見等は、この動画と公式HPを見てください。
https://youtu.be/t7Gff9V_l8s