コロナ禍で外出がままならず、運動不足を感じている人や、ジムに行けず自宅で筋トレをしている人も多いと思う。このたび森永製菓による衝撃の実態調査が明らかになった。
おうち筋トレを行っている2人に1人に、せっかくの筋トレが逆効果になってしまう食品ロスならぬ「筋トレロス」が起きているというのだ。調査対象は「週3回以上トレーニングを行っている人」で、ガチ勢まではいかなくても、わりと真面目に筋トレに取り組んでいる人たちだ。どういうことか見てみよう。
・まずはチェックリスト
さっそく結論からいくが、もしあなたが週3回以上筋トレをしているならば、以下のチェックリストで当てはまるものがいくつあるだろうか。
1. 毎日、同じ部位の筋力トレーニングをしている
2. 筋肉痛を感じている状態で筋力トレーニングを続けている
3. 筋トレをするときは、毎回、限界までやっている
4. 毎日激しい運動(競技)をしている
5. トレーニングしていても筋肉がつかない(成果が出ない)
6. トレーニングによる疲労が回復しない
7. 筋肉痛がなかなか治らない
8. 競技のパフォーマンスがあがらない
9. トレーニングにより体調がすぐれない
これは「酸化ストレス度チェック」の9項目で、3つ以上当てはまった人が「筋トレロス状態」とされる。森永製菓の調査によると、対象者の約半数が該当。
トレーニングの経験年数に関係なく、初心者でも10年以上のベテランでも、2人に1人が当てはまっているという結果だ。「俺は慣れてるから大丈夫」ではないということ。
そして当てはまる項目が多くなればなるほど、「トレーニングしても効果が出ないと感じる」人が、きれいに正比例するように増える。9項目のうち6〜7個つくような人はオーバートレーニングに近い状態だという。
チェックリストは森永製菓が立命館大学スポーツ健康科学部の後藤一成教授の協力を得て作成。トレーニングが無駄になる原因の「酸化ストレス」とは以下のようなものだそう。
「活性酸素の発生によって人体に起きる有害な作用のこと。筋トレによって筋力アップや筋肥大を目指す場合、筋肉に強い負荷をかける必要がありますが、筋肉に強い負荷をかけると、活性酸素が発生します」
「活性酸素が抗酸化能(人体の酸化に対する防御システム)を上回ると酸化ストレス状態になり、筋肉のたんぱく質が酸化され、筋肉がもともと持っている力を出しにくい状態になります」
後藤教授は、良質のたんぱく質や抗酸化成分を摂ることや、無理のないトレーニング戦略を推奨。少し専門的な話になるが、強い抗酸化作用をもつ「Eルチン」という成分の研究を行っているという。
アスリートなどではない一般的な健康維持のためには、とりあえず上記9項目に「当てはまらなく」なるよう心がけるとよいのではないだろうか。
・多くの人が効果を実感できていない
順序が逆になったが、前提となる調査結果を見ていきたい。コロナ禍の外出自粛により約6割の人が筋力低下を実感しているという。
調査でも、もとからではなくコロナ禍以降に「筋トレ・運動を開始」したと回答した人が14.2%いる。さらに、コロナ禍を機に8割以上の人が自宅でトレーニングをする「おうち筋トレ」の頻度が増加したという。
人気の筋トレは腕立て伏せや腹筋、背筋運動、スクワットなどの「自宅や屋外での自重筋トレ」が最も多く、「ウォーキング」「体操」が続く。
その一方で「しっかり効果を実感」できている人はわずか19%で、トレーニング歴の長短は関係ない。トレーニングする人の7割が、自身の運動やトレーニングに「悩み」を抱えていると答えている。上位にあがった悩みは以下の通り。
第1位 自分に合ったトレーニング量がわからない
第2位 自分に合ったトレーニング方法がわからない
第3位 トレーニングの成果を感じることができない
トレーニング不足で効果が出ないならともかく、一生懸命やっているにもかかわらず筋肉がつかない、と感じているなら1度「筋トレロス」を疑ってみてもいいかもしれない。
・「筋トレロス」を減らす
このような悩みは、ジムやフィットネスクラブでトレーナーの指導を受けることができれば、容易に解決できるだろう。しかし当面は、すべてを自己管理する「おうち筋トレ」が続くはずだ。後藤教授も「栄養素や休息の取り方などの様々な知識が今まで以上に必要」とコメント。
「筋トレロス」とはまたインパクトのある呼び名だが、森永製菓では「酸化ストレスを減らすことの重要性を啓発していきたい」という考えから名づけたという。せっかくの努力が無駄になるなんて悲しすぎる。知識を味方にして筋トレに取り組もう。