松屋のカレーは美味い。この点に関して異論はほとんど出ないだろう。カレー専門店ではないかというレベルで仕上がっている。基本的にはオリジナルカレーのみだが、時折「ごろチキ」なり「バタチキ」なり、違うフレーバーが出るため、バリエーションも充実している感がある。
一見するとパーフェクトな松屋のカレー。しかし、1つだけ重大な問題を抱えている。もう長いこと解決されないままの重大な問題だ。それは……
・王の不在
カツカレーが無い
トンカツとカレーという、単体でも強すぎる存在同士が合体することで生まれる、圧倒的戦闘力を持つカレー界の王。それが、松屋のカレーシリーズには無いのだ。
なぜだ松屋。同じ松屋フーズのトンカツ専門店「松のや」ではカツカレーを提供しているし、カレー専門店の「マイカリー食堂」にもカツカレーがある。それならば、松屋にカツカレーがあっても良さそうなもの。まあ、きっと何か事情があるのだろう。
ちなみに、「松のや」のカツカレーは普通に美味い。しかし、松屋のカレーとは全く別物だ。そして、食べたいのは松屋のカレーを使用したカツカレー。「松のや」のカレーでは、松屋のカレーを求める気持ちは満たされない。
・DIY
どうしたものか……せや! 「松のや」のカツカレーのカレーを、松屋のカレーと入れ替えたらいいやんけ!! ということで、「松のや」でカツカレーを、松屋ではカレー単品をテイクアウト。
「松のや」のテイクアウト用の容器に全てブチ込む予定だったが、微妙に溢れそうな気配を察知。予定を変更し、別に用意した皿に全てを投入して完成。
松屋のカレーと「松のや」のトンカツを使用した、松屋(グループ)のカツカレーがここに爆誕。味も、まさに思い描いていた通りの理想のカツカレーだ。松屋のカレーをそのまま使っているので当然と言えば当然かもしれないが。
余っている松のやのカレーもちゃんと食べたが、やはり松屋のカレーとは完全に別モノ。辛さだけは松のやの方が上回っている気がするが、深みやコク的なものは松屋のカレーの方が圧倒的な感じがある。
どちらも美味いが、はっきり言って松屋のカレーの方が美味い。トンカツとの相性をふまえても、松屋のカレーの高すぎるポテンシャルの前では、「松のや」のカレーの美味さは霞んでしまう。
・テイクアウトの限界
トンカツにカレーを浸して食べれば、複雑で奥深い松屋のカレーのスパイシー感によって、トンカツの肉の甘さがいつもより上品に感じられる。そこにガツンと来る、お馴染みのガチめな辛さ。
完全に願望は満たされ、これにてハッピーエンド……といきたいところだが……悲しいかな、美味いからこそ残念な点も目立ってしまう。
「松のや」のトンカツから、テイクアウトゆえの時間経過で、出来立てのトンカツ特有のサクサクでジュワっとした感じが失われているのだ。温度的な問題ならレンチンでどうにでもなるが、レンチンでは出来立ての美味さには戻らない。
テイクアウトの限界である。それなりに願望が満たされたと思いきや、サクサクでジュワジュワでアツアツな出来立てのトンカツを、松屋のカレーに浸して食いたいという新たな願望にさいなまれる結果に。
ああ、松屋でトンカツを出すか、松のやで松屋のカレーを出してくれないかなぁ。ちなみに、レトルトではオフィシャルに存在するもよう。