今週末の東京競馬場では競馬の祭典・日本ダービーが開催される。コロナウイルスの猛威にさらされ暗い話題も多かった今年の春だが、まずは無事にダービーが行われることにファンとしては感謝したいところだ。
さて、レースの勢力図としては皐月賞で激戦を繰り広げたコントレイルとサリオスが人気の中心になりそう。本稿では2頭の信頼度を改めて検証するだけでなく、割って入る可能性のある伏兵にも注目。穴が開くほど出馬表を見つめて発見した、意外なダークホースとは……!?
・「2強」は鉄板なのか
日曜東京のメインは芝2400mで行われる東京優駿(日本ダービー)。3歳馬の頂上決戦であり、クラシック3冠の第2戦。そして言うまでもなく、全てのホースマンにとって最高の栄誉とされるレースである。
人気を集めそうなのは、皐月賞1着の⑤コントレイルと同2着の⑫サリオス。その皐月賞は2頭のマッチレースとなり、3着以下には決定的な着差がつく結果となった。まずは「2強」の取捨から検討していきたい。
⑤コントレイルは皐月賞で想定外のレース展開に見舞われた。それまでは先行してそつなく抜け出すパターンが多かったものの、スタートから加速が付かず道中は後方。結果的には大外を回って追い込み、最後は力でねじ伏せた。
これが予定していたプランでなかったことはレース後の福永騎手のインタビューでも示唆されている。しかし「本来の競馬」ではない内容で勝利したことで、改めて能力の高さを証明したとも言えるだろう。つまりスムーズなら皐月賞以上に走る可能性もあり、文句なしに強いということだ。
一方の⑫サリオスにも上げ幅はある。マイルでデビューから3連勝したあと、皐月賞(2000m)で初黒星。さらに距離が伸びる今回はどうか……と不安視する声もありそうだが、注目したいのは血統。
⑫サリオスの父はハーツクライだが、ハーツクライ産駒は2010~2019年の皐月賞で1頭も馬券に絡んでいない一方、ダービーでは3頭が馬券圏内に顔を出している。ディープインパクトが皐月賞でもダービーでも変わらず最大勢力であるのとは異なり、ハーツクライはダービー寄りの種牡馬といえるのだ。
以上のように「2強」は皐月賞であれだけの強さを誇示したにも関わらず、いずれもダービーでパフォーマンスを上げてくる可能性を秘めている。配当的な妙味はないが、馬券を組むうえではマストな存在といえるだろう。どちらかを完全に消してしまうのは得策ではないと筆者は考える。
・ヴァルコスは適性ピッタリ!
そこで狙いたいのが、人気2頭を押さえつつヒモ荒れを狙っていく戦法だ。では割って入る馬はどこにいるのか。前述のとおり、皐月賞では2着と3着に大きな差が付く結果となった。このことを踏まえて「2強」との対戦経験がない馬から候補を探してみたい。
今回の出走馬のなかで⑤コントレイルとも⑫サリオスとも対戦したことがない馬は、①サトノインプレッサ、⑯マンオブスピリット、⑰ヴァルコスの3頭。この中に穴を開ける馬がいないだろうか。
順に検討していくと、①サトノインプレッサはデビューからマイル中心に使われており、今回いきなりの大幅距離延長。さすがに厳しいものがあるのではないかと思う。また⑯マンオブスピリットは皐月賞10着の⑬ディープボンドに京都新聞杯で負けており、こちらも力関係という意味では疑問符が付く。
しかし残る1頭の⑰ヴァルコス、これは面白い。なんといっても2着だった青葉賞の内容が濃い。走破時計は1着馬とタイム差なしの2分23秒0だったが、これは青葉賞のレースレコード。ダービーの過去の勝ちタイムと比較しても遜色なく、まず高速馬場への対応力が裏付けられている点が強みとなる。
そしてレースぶりも目を見張るものがあった。スタート直後は中団に位置していた⑰ヴァルコスだが、向正面で早めにスパート。先頭集団に取り付くと、そこからバテることなくゴールまで脚を使い続けた。
過去10年のダービーのレース結果を振り返ってみると、意外にも上がり最速の馬は2勝しかしていない。このことから一瞬の切れ味よりも長く脚を持続させる能力が要求されるレースとも考えられる。ずばり⑰ヴァルコスの青葉賞は適性を感じさせる内容だったのではないだろうか。
よく青葉賞組はダービーを勝てないと言われることもあるが、これは単なる巡り会わせではないかと筆者は考えている。ローテーションの厳しさが本番で勝てない要因になっている可能性はあるが、それだけでは同じく短期間での出走となる京都新聞杯から勝ち馬が出ている事実が説明できない。
したがって青葉賞経由だからといって必要以上に割引く必要もなし。今回は前哨戦での走りが光った⑰ヴァルコスを本命に推したい。馬券はワイドで勝負。⑰ヴァルコスを軸にして、相手に③⑤⑧⑪⑫⑮。