突然だが、皆さんは「そば寿司」というものをご存知だろうか。その名の通り、そばを使った寿司……だと思う。こういう言い方になってしまうのには理由があって、実は私(中澤)は今までその存在を知らなかったのだ。この老舗そば屋に入るまでは。
入ったそば屋は浅草にある『尾張屋本店』。老舗のメニューには当たり前の顔して「そば寿司(税込1200円)」と書かれていた。名前からカレーうどんみたいなものであることは容易に想像がつく。だがしかし、そばと寿司は組み合わせ方が2種類あると思うが、どちらのパターンなのだろうか?
・パターン1
まず思いつくのは、米をそばに置き換えるパターンだ。これはポジション的に一見正しいような気もする。だがしかし、問題はこの方法だと巻物しか成立しないこと。バリエーションが作れない気がする。
・パターン2
では、ネタをそばにした場合はどうか? これならば、巻物でも対応できるし、芽ねぎみたいに短く切って海苔で留めればにぎりも可能だ。
さすがに寿司と言って巻物だけなのは寂しいのでパターン2の可能性が濃厚である。と、その時、そば寿司が運ばれてきた。米と酢飯は一体どんなハーモニーなのか? と思いきや……
パターン1的太巻き……!
まあそれは良いとしても……
いなり寿司パイセンがいるだとォォォオオオ!?
ここで寿司の中でも異端児的な存在であるいなり寿司パイセンが出てくるなんて……盲点だった。しかし、パイセンならば、パターン1の方法でバリエーションを作ることができる。さすがだ。
食べてみたところ、そばの甘みと、かんぴょうや玉子などの具の甘みが合わさって思っていたより豊潤な甘さがあった。これにめんつゆの旨みがぴったりで、味もさすがである。
・王者のクロスオーバー
後味の印象としては、寿司よりスッキリしているイメージ。そばよりも手軽なため、軽食から酒のつまみまで幅広く使えそうだ。
そばと寿司という和食界の王者がクロスオーバーしたこのメニュー。カレーうどんほど流行ってなくて、そば屋ですらあまり見かけないものではあるが、もしメニューに書かれていたら後学のため食べてみるのもいいかもしれない。
・今回紹介した店舗の情報
店名 尾張屋本店
住所 東京都台東区浅草1-7-1
営業時間 11:30~20:30
定休日 金
Report・イラスト:中澤星児
Photo:Rocketnews24.