やよい軒。それは白米をたらふく食べたい者が集う場所。いわば白米ラバーの聖地である。ゆえに、やよい軒に行ってご飯おかわり自由の権利を行使しないとしたら、それは やよい軒の価値を自ら半減させるに等しい。
──と考えていた15分前の自分自身に対して、私は殴りながら言ってやりたいことがある。「お前ーーーー! ご飯おかわり自由に目を奪われすぎて、大事なことを見失っているぞぉぉおおお」と。もっと言うならば、「丼を試す勇気を持たなかったこと、大いに反省しろーーーーー!!」と。
・「ご飯おかわり自由」を放棄したきっかけ
私が反省するに至ったきっかけは、やよい軒の “中の人” が送ってくれた1通のメールである。当サイトの連載企画「飲食店の “中の人” に お気に入り のアレンジを聞いてみた」で やよい軒に質問したところ返事をくれたのだが、その際に教えてくれた方法の1つが……
親子丼に生たまごを乗せるアレンジだったのだ。
このメールを見た瞬間、正直いって私は困惑した。なぜなら、やよい軒といえば定食を頼んで白米をたらふく食べる場所と思っていたから。そもそも、やよい軒で丼ものを頼んだ記憶がない。っていうか、丼ものでもご飯おかわりって出来るのかな? 気になって調べてみたら……
「丼メニューはおかわり対象外」だという。はい、終了〜! ……という声が頭の中に響いたものの、まぁ“中の人” が教えてくれたのだから1度は試してみるか。そんな気持ちで、店舗へと足を運んだ。
・大盛りを選べる
券売機の前に立ち、今まで見向きもしなかった「丼」のジャンルを探す。その直後、私の目に飛び込んできたのは朗報以外の何物でもなかった。
「ご飯大盛り」も選べる……! 気づいた瞬間、心の中を覆っていた黒い雲が薄くなっていくのを感じたが、まだ快晴とは言えない。気を引き締め、ご飯大盛りと生たまごをチョイスして席で待つ。
ちなみに、親子丼の正規名称は『地鶏親子丼 ~阿波尾鶏~』といい、味噌汁つきで税込み680円。ご飯大盛りにすると100円アップになり税込み780円だ。また、トッピングの生たまごが税込み60円なので、今回のアレンジにかかったのは840円ってことになる。
さて、しばらく待ってやってきた『地鶏親子丼 ~阿波尾鶏~』。見たところ普通の親子丼であり、特に変わったところはない。
味も普通……かと思いきや、そこはさすがやよい軒。一部どんぶりチェーンが出している親子丼より、こちらの方が1枚も2枚も上だ。ダシのしみ加減が絶妙で、鶏肉のサイズもちょうどいい。手作り感がしっかりと伝わってくるというか、実家がフラッシュバックするほど家庭的な味である。
これはもう追加の生たまごなんて必要ないんじゃないか? と思わずにはいられなかったが……ここであえての生たまご崩し。
十分に美味しいところへ、さらに卵を絡ませるという贅沢。何のためにするのか? と問いかける気持ちをねじ伏せながら、トロトロの卵が絡んだご飯をひと口運べば……文句なしに味がグレードアップしている。心の中に残っていた雲が一瞬で消え、同時に気づいた。
これは親子丼のアレンジでもあるが、TKGの最強アレンジでもあるということに。そう、見方を変えれば、これは最高のTKG(卵かけご飯)であり、親子丼とTKGのいいとこ取りなのだ。
結論を簡潔に言うと、アリである。やよい軒の親子丼に生卵追加アレンジめちゃくちゃアリである。味を考えたら、コスパ的には決して悪くないように思う。必要なのは、800円前後のお金と「ご飯のおかわり自由を放棄する勇気」だけなのだから。
参考リンク:やよい軒「地鶏親子丼 ~阿波尾鶏~」、「よくある質問」
Report:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.