
私(佐藤)にもっとも縁のないお店は、ひょっとすると「ホストクラブ」ではないかと思う。近年はほとんど酒を飲まなくなって、飲みに出歩くこともない。そうでなくても、オッサンの私がホストクラブに行くきっかけは、日常にない。皆無だ。
当編集部は新宿にあり、毎日のようにホストの聖地とも呼べる歌舞伎町を通過している訳だが、ふと興味が湧いた。オッサン1人でホストクラブに行っても楽しいのか? 実際に行ってみたところ……様子を見て帰るつもりが楽しすぎてラストオーダーまで居てしまった! めちゃくちゃ楽しいじゃないかッ!!
何も手がかりがないなかで、飛び込みでホストクラブに入るのはさすがに怖い。そこで、以前取材した人間レストランを運営する、『Smappa! Group』に相談し、オッサン1人客で伺えそうなお店を紹介して頂いたのだ。訪ねたのは、「VANPS(ヴァンプ)」というお店だ。
・オッサン1人でホストクラブへ
入店すると、出迎えてくれたのは、お店の代表の佑哉(ゆうや)さんだ。お店やホストの世界について、彼にいろいろと教えてもらった。
佐藤 「オッサン1人で来てみました。あまり男性で1人のお客さんっていないですよね?」
佑哉 「そうですね、あまりいらっしゃらないですよね」
佐藤 「じゃあ、困りますよね、自分のようなオッサンが来ると」
佑哉 「全然そんなことないですよ! おもてなしするのに、性別は関係ないですから。むしろ、お付き合いで飲みに行く場合、年上の男性の方と接する機会も多かったりします」
佐藤 「そうなんですね。まあたしかに、お客さんは女性がメインでしょうけど、ホスト自体は男社会ですもんね。割と縦割りで先輩後輩の関係がしっかりしている印象はあります」
佑哉 「そうですね。男同士でコミュニケーションとってる時間が長いんで。昔ほど縦割りに厳しい訳ではないんですけど、やっぱり先輩後輩の良いつながりはありますよ。僕はそんなに厳しい訳ではないですけどね。後輩に怒られるようなことも良くあります(笑)」
・前もってフトコロ具合を告げる
ここまで私は1人で生ビールを飲み、佑哉さんと交代でついてくれているホストはお茶を飲んでいた。さすがに1人で飲むのは面白くないと思い、途中からホストのみんなにもお酒を飲んでもらうようにした。
佐藤 「あの、先にお伝えしておきます。最初にメニューを見せて頂いたんですけど、細かいことは面倒くさい方なので、あまりちゃんと確認しなかったんですが」
佑哉 「メニューをお持ちしますか?」
佐藤 「いやいや、飲む時にそんなに細かいことを気にしたくないので、メニューはいいです。その代わり、持ち合わせは3万くらいしかないですよ。言ってくださいね、そのくらいになったら」
佑哉 「こちらとしても、そう仰って頂いた方が助かります」
ということで、ここら辺から酒の席らしく飲みながら話は進んだ。
佐藤 「どうなんですか? 昔と比べてホスト業界も変わって来てると思うんですけど。40代の我々が若い頃は、成人したら「酒を飲む」ってのが当たり前だったと思うんですけど、近頃はみんな飲まなくなっていて、お客さんでもあまり飲まない方も増えているんじゃないですか?」
佑哉 「そうですね、自分が若い頃はもっとホストもガツガツしていたと思うんですけど、今は控えめかもしれないですね。飲まないホストもいますね」
佐藤 「へ~、でもまあ、それも時代かなあ。お客さんを楽しませることができれば、飲める飲めない関係ないですからねえ」
佑哉 「コミュニケーションスキルを磨きたいなら、ホストは最高の訓練になりますよ。やってみますか? (笑)」
佐藤 「いや、自分は絶対向いてないんで。やめておきます……」
・若者と話してテンション爆上げ!
当初、私は2時間くらいお話をしてサクっと帰るつもりでいた。入店したのが20時だから22時には出るつもりだった。ところが1杯2杯と飲んでいるうちに、段々気分が良くなってきて、気が付けば予定していた2時間を過ぎている。
佐藤 「お店のスタッフって何人くらいいるんですか?」
佑哉 「ホストは13名、内勤(テーブルについて接客をしないスタッフ)を入れて15名ですね」
佐藤 「13名が交代で出勤していると」
佑哉 「いえ、全員います。定休日(日曜)と希望休の日以外は、いつも全員います」
佐藤 「え! ホストってそうなんですか? 全員が常にお客さんについている訳じゃないですよね?」
佑哉 「指名のお客さんが入っていない場合は、他のホストのサポートに回ってますね。一応待機するスペースはあるんですけど、狭いので、ほとんどみんなフロアにいます」
佐藤 「平均年齢ってどれくらいなんですか?」
佑哉 「25歳くらいですかね。今来た彼は、23歳で入って3カ月。すでにランキングに入っている期待の新人です」
テーブルの向かいの席に着いたのは、新人にしてランキング3位に入るRyo-Maくんだった。
Ryo-Ma 「Ryo-Maです。よろしくお願いします!」
彼は、アーティストとして活動を続ける異色のホストで、入店3カ月にしてグループのホスト賞とスーパールーキー賞を獲得した、急成長株だ。彼には野望があり、2020年中に売上でも指名本数でも1位を獲得し、なおかつアーティストとしてもワンマンライブを実現するという。その真っすぐに野望を語る眼差しに、私の頭の中のネジが1本ぶっ飛んだ。
イイ! そういう威勢のいい話はとても良いぞ、青年!!
彼だけではない、その後に席についてくれた隼人(はやと)くんや輝刃黒(きばくろ)くんも夜兎(やと)くんも、20代前半で何を話すにも目を輝かせている! いや、実際は輝いていなかったとしても、40代後半のワシにはそう見えるんじゃ! みんなキラキラしとるんじゃあーーーッ!!
佐藤 「みんな! なんでも出来るぞ!! 自分のやりたいと思ったことは何でも出来る! 「お前には無理だ」と言うヤツの話は聞くな、そんなヤツの言うことは信用するな。ワシも言われとった、高校生の時に作家になりたいって言いよったら、「お前は自由でいいな」とか「そんなのなれる訳ないだろ(苦笑)」とか、散々やった。それが今、どうか? まだ作家ではない。自分でも夢の途中だと思っちょる。あんだけワシのことを批判したヤツらは、今のワシのことをどう思っちょるか、ワシャ聞きたい! だけん、みんなも「無理だ」と否定するヤツらの言うことを聞いたらイカン! 信用したらイカン!! 自分の道を行け!」
お察し頂けるかと思うが、この辺りからかなり酒が回ってきて、私のテンションはおかしなことになり始め、熱く語るむさ苦しい昭和丸出しのオッサンと化していた。それでも、この場にいることは間違いなく楽しかった。
なんて居心地がいいんだろう。彼らが接客のプロで、話を引き出してくれるのが上手であるからこそ、気兼ねなく話ができる。そして同性であるがゆえに、この場が中高の部室のような雰囲気にさえ感じてしまうのだ。オッサンは青春のきらめきの一部を思い出していた。とても過ごしやすい、これがホストクラブなのか!
・気づけば4時間
そこから話は仕事や趣味、酒を飲んだ時の失敗談や過去の恥ずかしい恋愛の話に至るまで、私は初めて来たお店と思えないほど、あけすけに話をしてしまった。その半分はすでに覚えていない。気が付くと……
「ラストオーダーになりますけど、おかわりお持ちしますか?」と尋ねられている。ハッ! もうそんなに時間が経ったのか? 時計は0時になっていた。すでに4時間、予定の倍の時間いたことになる。そこで不意に我に返った。予算は伝えてあったが、それに収まる料金だったのだろうか?
会計してもらうと料金は2万3000円だった。自分の想定よりもずっと安い。改めてお店のシステムを確認すると、男性は5000円で時間制限なく飲み放題(生ビール・焼酎・ワイン)。ホストのドリンクは1杯1500円(生ビールの場合)、それにサービス料27パーセントと消費税10パーセントが付く計算だ。私がカッコつけてドリンクを勧めなければ、ざっくり7000円くらいで時間制限なく飲めてしまう。
なお、女性の場合は初回は1時間2000円。2回目以降は指名料・テーブル・チャージ・セット料金込で1万3000円(2時間)となっている。男性客はかなりお得な気がするのは気のせいだろうか? いや、気のせいではない! オッサン1人で行ってみて良かった!! 帰る間際に佑哉さんとツーショット撮影したのだが、その写真の自分を見返すと、ビックリするくらい笑顔だ。相当楽しかったらしい。
という訳で、ホストクラブはオッサンになかなか縁のない場所ではあるが、行くと楽しいことがわかった次第だ。以上、レポッす!
取材協力:VANPS、Smappa! Group
Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
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▼時間を忘れてホストクラブを楽しんだ
佐藤英典


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