出だしから唐突ではあるが、読者のみなさんに問いたい──。「まるごとバナナを最後に食べたのはいつですか?」と。そう、まるごとバナナとはバナナをスポンジで丸っと1本包んだあの洋菓子、ヤマザキの『まるごとバナナ』のことである。
正直に申し上げると、つい1週間ほど前にまるごとバナナを口にするまで、私(P.K.サンジュン)は少なくとも10年ほどは『まるごとバナナ』を食べていなかった。だからこそ提言したい。「たまにはみんな まるごとバナナ食おうぜ」と。久々に食べて悟った……まるごとバナナはもっと評価されてイイ。
・昔、めちゃめちゃハマっていた
思えば私は1日1本ペースで『まるごとバナナ』を食べていたのは、高校生の頃だったように思う。当時はコンビニスイーツが今ほど充実していない時代。当時から甘党だった私を満たしてくれたのは『まるごとバナナ』と『ミニストップのソフトクリーム』くらいであった。
少なくとも、まるごとバナナは1990年代初頭から店頭に並んでおり、およそ30年の歴史を持つスイーツだ。バナナ・スポンジ・生クリームの3つの食材だけで構成されたシンプルなスイーツなのに、この息の長さ……。この事実だけでも『まるごとバナナ』のスゴさがわかるというものだ。
もう1つ昔話をすると、当時『まるごとバナナ』に感動していたのは私よりも上の世代の人たちだったように思う。冷蔵庫を開けると高確率で丸ごとバナナが入っていたから、私の母世代の人たちにとっては、衝撃的なスイーツだったのだと推測される。
・コンビニスイーツの先駆け的存在
さて、そのまるごとバナナだが、考えようによっては「コンビニスイーツの走り」と言えるのではなかろうか? 今でこそスイーツはどのコンビニも専門店さながらのクオリティと充実度を誇っているが、少なくとも25年ほど前に今ほど自社製品は存在しなかった。
定番のプリンですらメーカー品がほとんどで「プッチンプリン」がメインストリームをいっていた当時。わずか200円ほどでケーキ屋クオリティの『まるごとバナナ』が、どれほど革命的なスイーツだったかは想像に難くない。
とはいえ、大切なのは今この時──。カール、ポポロン、森永チョコフレークの例を挙げるまでもなく、売れないものは姿を消すのが資本主義の大原則である。それでも10年以上ぶりに まるごとバナナを食べた私はこう思った。まだまだ第一線で戦える、と──。
・今でも十分にウマい
支えるだけで指の形が付くほどフワッフワのスポンジと、軽やかな口当たりの生クリーム。それらとねっとりとした食感のバナナが織りなすコンビネーションは相変わらず絶妙だ。これ以上なくシンプルなスイーツなのに、ここまでウマいとは……。しばらく食べてなくてごめんよ、まるごとバナナ。
このクオリティでコンビニ価格が税抜き200円なのだから恐れ入る。ボリュームを考慮すればコスパも非常に高く、数あるコンビニスイーツと比較しても上位に来るのではなかろうか? 久しぶりに食べた私が言うのもなんだが、まるごとバナナはもっと評価されてイイ。
やや難しいのは、今回まるごとバナナを求めて数軒のコンビニを回ったが、取り扱いのある店があまりなかったこと。体感ではあるものの、準絶滅危惧種くらいには感じた次第だ。だからこそ、かつてハマった経験があるは久しぶりに まるごとバナナを食べてみて欲しい。ホント、今でも全然戦えるから。
参考リンク:ヤマザキ「まるごとバナナ」
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.