おっさん世代の方はご存じないかもしれないが、若者たちに「いま1番おもしろい漫画ってなに?」と質問したら、高確率で『鬼滅の刃(きめつのやいば)』という答えが返ってくるハズだ。2016年から週刊少年ジャンプにて連載中の同作は、日本国内に留まらず世界中で人気を博しているという。

つい先日、その『鬼滅の刃』を読む機会があったのだが、おっさん的にもまあまあ楽しめた。だがしかし、それ以上に私、P.K.サンジュンが感じたのは「これ……男塾やん……!」ということ。そう、1980年代のジャンプ黄金期を支えたあの名作『魁!! 男塾』と『鬼滅の刃』には多くの共通点が存在したのだ。

・大人気! 鬼滅の刃

まずは当サイトをご覧のおっさん層たちに『鬼滅の刃』について軽く説明しよう。『鬼滅の刃』とは、大正時代を舞台に家族を鬼に殺された主人公が、鬼に復讐するため、そして鬼にされてしまった妹を人間に戻すため「鬼殺隊」と呼ばれる組織に入隊し、仲間と共に鬼と激闘を繰り広げる……といったストーリーである。

その人気っぷりは「ワンピースをも凌ぐ」という声もあるほどで、少なくともここ1年で最も人気を博した漫画であることは間違いない。アニメの主題歌「紅蓮華」を歌うLiSAさんが、アニメ人気に後押しされ紅白歌合戦初出場を果たしてしまうほど勢いのある漫画、それが『鬼滅の刃』だ。

・伝説の「魁!! 男塾」

一方で『魁!! 男塾』については今さら説明する必要もないだろう。全国から名うての不良が集まる男塾を舞台に、塾生たちの友情や死闘が描かれる同作は、80年代ジャンプ黄金期の一角を担った伝説的漫画作品である。そして何を隠そう、私が初めて全巻集めた漫画こそが『魁!! 男塾』であった。

つまり、私の “漫画脳” は男塾で育まれたと言っても過言ではなく、ある意味での男塾エリートと自負している。そんな私だからこそ気付けた「鬼滅の刃と男塾の5つの共通点」を以下で発表しよう。


・共通点その1: キャラのファッションが個性的

女性ファンが多いという『鬼滅の刃』だが、その大きな理由の1つが個性的なファッションのキャラクター達が多く登場することであろう。特に「柱」と呼ばれる猛者たちはその傾向が顕著で、ビジュアルだけでも絶大なインパクトを誇っている。

だがしかし、個性的なファッションと言えば「魁!! 男塾」を忘れてはならない。中でも卍丸(まんじまる)、独眼鉄(どくがんてつ)、男爵ディーノなどは、1度見たら忘れられぬほど強烈なインパクトの持ち主たちである。ズバリ、鬼滅の刃と男塾の共通点だ。

なお、大豪院邪鬼(だいごういん じゃき)や赤石剛次(あかし ごうじ)など、多くの主要キャラクターが無駄にマントを装着している時点で「ファッション以前の問題」という意見に関しては、あえてノーコメントとさせていただきたい


・共通点その2:「柱」など特有の呼称が存在する

鬼滅の刃には「柱(はしら)」なる階級が登場する。柱は全員が腕利きであり、主人公たちを助け、導き、そして最前線で戦うことを使命付けられた猛者の集まり。また敵にも「十二鬼月」「上弦」「下弦」などの属性及び呼称が登場する。

一方の『魁!! 男塾』でも「死天王」「三面拳」「鎮守直廊三人衆(ちんじゅちょくろうさんにんしゅう)」など、多くの階級及びチームが描かれた。「柱」も「死天王」もストーリーに必要不可欠な要素であることから、鬼滅の刃と男塾の共通点の1つと考えていいだろう。

ちなみに、それを言い出したら “NARUTOの火影” や “北斗の拳の南斗六聖拳” など、「ほぼ全ての漫画にそういうの出てくるんじゃね?」というツッコミに対しては、静かに目を閉じさせていただくこととする


・共通点その3: 主人公の名前が似ている

『鬼滅の刃』の主人公の名前は、竈門 炭治郎(かまど たんじろう)という。一方で男塾の主人公は剣 桃太郎(つるぎ ももたろう)である。1キャラクターではなく、主人公の名前が「三文字 〇〇郎」と設定されている事実を見過ごすわけにはいかない。

余談ではあるが「〇〇郎」なんて普遍的な名前だし、だったら「ゲゲゲの鬼太郎」「THE MOMOTAROH」「サラリーマン金太郎」も含めるべき、という冷静なお声には、そっと耳をふさがせていただく所存だ


・共通点その4: 主人公が日本刀の使い手

炭治郎も桃も、武器は日本刀である。「主人公が日本刀の使い手」という事実だけでも、『鬼滅の刃』と『魁!! 男塾』は同じ系統の漫画作品と見るのが自然である。むろん「るろうに剣心」を始め、主人公が日本刀使いの漫画は多く存在するが、ここはあえてのガン無視を決め込ませていただく次第だ


・共通点その5: 主要人物が次々に死ぬ

最大の共通点はコレだ。鬼滅の刃では割と早い段階から主要キャラが死に、そして主人公らがその想いを紡いでいく。さらに言えば死んだキャラクターも「生きてさえいればその後も見せ場があったろうに」と思える魅力にあふれている。

男塾でも激闘の末、雷電、飛燕、月光、富樫、影慶、センクウ、羅刹、そして邪鬼……などなど、多くの男たちが散っていった。もちろん、死んでいった男たちへの想いが塾生たちを強くしたことは言うまでもない。

なお、男塾では合計30回近くも主要キャラが死んでいるが、そのうちの8割ほどは後々生き返った(実は死んでいなかった)ことはこの際、考慮しなくていいだろう。逆に言えば “復活システム” を採用した時点で、鬼滅の刃は完全に男塾と化す。


いかがだろうか? おそらく、現時点でこの事実に気付いている人はほぼ皆無であろう。だがしかし、男塾に胸を熱くしたおっさん世代が本気で『鬼滅の刃』を読み始めたとしたら……? むしろ、鬼滅の刃の勢いに乗じて「第二次男塾ブーム」が到来する……可能性もちょっとはある。

とにもかくにも、『鬼滅の刃』にせよ「魁!! 男塾」にせよ、週刊少年ジャンプの魂「友情」「努力」「勝利」を描いた作品だ。そういう意味では共通点が多いのもある意味で当然なのかもしれない。現時点で男塾にはあって鬼滅の刃に足りないもの──。それは「復活システム」と「江田島平八」そして「民明書房」くらいである。

参考リンク:鬼滅の刃公式ポータルサイト
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.

▼なお、この記事に対するマジレスは一切受け付けません。