突然だが、あなたは『銚子丸』という回転寿司チェーンを知っているだろうか? 私(中澤)は、名前だけはぼんやり知っているけど入ったことはない。それもそのはず、東京では結構行きにくい場所に店を構えていたりする。
実は、この店、千葉県民からすると「最強の回転寿司チェーン」なのだとか。「千葉で回転寿司と言えば銚子丸」というほど有能で有名らしい。そこで実際に行ってみることにした。
・千葉県民からの情報
そんな情報を教えてくれたのは今井貴雅という男だ。私のやっているバンド『フリサト』と『si,irene』の2つともでドラムを叩いている彼は、千葉県に約20年住んでいる大阪生まれの千葉県民。「千葉県民にオススメの回転寿司を聞いたら大体この店をすすめる」という。千葉県民『銚子丸』好きすぎだろ。
この銚子丸愛が県民の総意かどうかは定かではない。が、確かに『銚子丸』は千葉市や船橋市など都市部を中心に39店舗が展開されているようだ。そこで、魅力を聞いたところ「行けば分かる」と今井。とにかく最強らしい。
ただ、彼が言うには「初心者は平日の14時までに行った方が良い」とのこと。初心者って何だよ。
・とりあえず行ってみた
というわけで、平日のランチタイムに銚子丸に行ってみることにした。調べてみると、東京にも35店舗あるのだが、三鷹、大泉、立川などなど、都市部を外したような展開である。そこで、新宿のオフィスから最も近いと思われる経堂駅の『銚子丸』に行ってみた。
時刻は平日の12時30分頃。ベッドタウンである経堂の駅前はのんびりしたものだ。北口を出て線路沿いを豪徳寺方向に歩いていくとすぐに『銚子丸』を発見。こちらものんびりした雰囲気だ。昼時なのに時間がゆっくり流れている。まあ、経堂の平日昼間だしな。
・衝撃の展開
入店すると、直通で席を案内され、店員さんがシステムを説明してくれる。注文はタッチパネル形式で、今日は「いさき(300円)」と「まぐろ5貫セット(1160円)」がオススメなのだとか。結構高めか? と思っていたところ、店員さんから衝撃のひと言が飛び出した。
店員さん「あと、14時まであら汁が無料で、お替わりも自由になります!」
あら汁は無料でお替わり自由……?
そんなことあんの? いや、ないでしょ! いかんいかん、疲れてるのかもしれない。空耳が聞こえるなんて。あら汁が無料なわけがない。そんな夢みたいなことがあるわけがないのだ。
だって俺、回転寿司チェーンであら汁結構頼むよ? もう1杯いきたくて我慢する時とかあるよ? だが、念のため、店員さんが指さした場所を確認してみたところ……謎の鍋が2つ置かれている。
おそるおそる鍋を開けてみると、ガストのスープバーみたいにあら汁が入っていた。「ご自由にお取りください」オーラをビンビン放っているではないか! いやいやいや!! これ茶碗についだ瞬間怒られたりするヤツじゃないの……?
怯えながら茶碗につごうとしたところ「お客様!」と後ろから声がする。はいすみません!! あら汁飲み放題なんてそんなわけないっすよね! 夢見てサーセン!! まだギリついでません!
店員さん「こちらの鍋の方がたくさん入っているのでこちらからお取りください」
──天使か!? 天使がいるってことはここは天国か!? そっかー天国だったか。平日ランチタイムはあら汁無料も天国なら頷ける。そこで、茶碗にあら汁をついで席で飲んでみたところ……
OK、OKだ。いったん落ち着こう。
分かったよTAKA(今井貴雅)。お前の伝えたかったことが。
つまり、お前は俺にこう言いたかったんだ。
ロックってこういうもんだろ? とね。
確かに、ふんだんにぶち込まれた鮭ハラスやブリは激ウマだ。
出汁が出まくった味には感動すら覚える。
正直、こんなにウマイあら汁を飲んだのは初めてだ。
これが無料なんて全くどうかしてるとしか思えない。
俺の負けだよ。確かにお前が言う通り『銚子丸』は最強だったさ。
──少し泣いた。
店を出て空を見上げると月が見えた。青い空にポツンと浮かぶ白い月。まるであら汁に浮かぶ煮魚の目玉のようにひとりぼっちだ。
いつだって俺たちはひとりぼっちで生きてきた。だけどTAKA……ロックを教えてくれたお前を俺は忘れない。ありがとう。
<完>
参照元:銚子丸
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
▼もちろん寿司も新鮮で激ウマ。車海老(580円)
▼白子軍艦(580円)
▼130円皿でも十分ウマイ
▼180円皿
▼300円皿
▼10皿食べて2882円だった