正直、とんでもないことが起きてしまったのだが、一切のウソ偽りなく、ありのままをお伝えしたい。
モノは2020年2月上旬から全国発売されるブリヂストンの最新電動クロスバイク『TB1e(ティービーワン e)』で、最大のウリは “1回の充電で走る最大航続距離が130km” であることだった。マジかよ。それ、相当な距離だぞ……。
となると我々がやることはたただひとつ。「本当に130km走れるのか、実際に130km目指して走ってみる」しかないだろう。そして、それをロングツーリング未経験の私(羽鳥 / 40歳)が実行した。そしたらなんと……というお話なのだが、先に結論から述べてしまいたい。
130km、余裕で行けた。
繰り返す。
最新電動クロスバイク『TB1e(ティービーワン e)』は、1回の充電で130kmもの距離を余裕のヨッチャンで走れてしまった……のである。
いや、余裕どころの話ではない。それが先に述べた「とんでもないこと」であり、この記事のタイトルにもある「想定外」の事態だったのである。以下に詳しく説明しよう。
職場のある新宿二丁目のド真ん中から130kmの距離にある場所をリサーチしたところ、最もスムーズに行けるのは、ひたすら東に進んでの「千葉県・銚子」ではないかという結論に。よって目的地は銚子とした。
そして迎えた実行日。
私はひとり寂しく早朝7時ごろに出社して、撮影機材のチェックなどを行いつつ、銚子に向けて8時ごろスタートした。もちろんこの時点でのバッテリー残量はフル満タンの100%だ。
そこからは……
交通ルールを厳守しながら……
安全にも気を使いつつ……
ただひたすら……
ペダルをこぐだけ……
ただひたすら……
ただひたすら……!!
ちなみにアシストのモードは最も省エネな「エコモード」。たま〜に「オート」や「パワー」のモードを試しては、「やっぱり電動アシスト最高ォッ!」と贅沢を満喫し感動していたが、基本は省エネのエコモードだ。なにせ目的地は遥か遠くの130km先、節約&節約せざるを得ない。
節約と言えば、ブリヂストンサイクル独自技術の「走りながら自動充電」についても触れておきたい。こちらの機能は、左ブレーキをかけるか、走行中にペダルを止めると……
手元のコントローラーが「充電されてます」的な動きに!
この間、なんと前輪モーターからバッテリーに電力が送られて充電されるというのだ! つまり、バッテリーを節約というか、むしろ電気を作りながら走っているわけで、恐ろしいほど充電が減らなったりする。
なお、こちらの『TB1e』は、モーターがペダルの部分ではなく前輪に付いている。よって、“アシスト感” も足元からではなく前輪のほうからで、何者かによってロープで引っ張られている感じがする。面白い〜!
あと旅中に助かったのは、地味ながら便利な「鍵」の存在。こういったスポーティーな自転車って、別途ワイヤーの鍵を使わなければならなかったりするが、『TB1e』には最初から鍵が付いているので楽チンだった!
……てな感じでサイクリングは順調に進み、新宿から53kmあたりで利根川の河川敷サイクリングロードに突入した。
この道……
信号もなければ……
人もおらず……
とにかく黙々と……
走り抜けるだけ……!!
そして90kmあたりで……
様子を見に来た相棒Yoshioと……
一時合流。
なぜここで待ち合わせたのかと言えば、もしもバッテリー残量が残りわずかだった場合、目的地である銚子ではなく、もっと近場の「海岸」をゴールに変更しようと作戦立てていたからである。
しかしバッテリー残量は……
なんと驚きの……
85%!(笑)
笑った。2人して、思い切り笑った。エコモードで90kmも走ってきたのに15%しかバッテリーを使っていなかったという事実にも笑ったし、「本当に銚子を目指さなければならない」という逃げられない状況にも力なく笑うしかなかった。とにかくその後も……
ひたすら……
走った。
そして出発から11時間25分後、ついに目的地である「銚子」の駅に到着した。走行ルートを記録できるアプリによると、出発から129kmであるとのことだったが、バッテリー残量は……
75%!(笑)
そこまで減ってねええええええええ!(笑)
もうここまで来たら、関東平野の最東端まで行ってやろうと、犬吠埼の灯台を目指すことにした。
そして……
ついに……
出発してから11時間47分後……
距離にして135.83km……
関東平野最東端、犬吠埼に……
到着!
バッテリーは……
75%〜〜〜〜〜〜!!!!(笑)
変わってねええええええええ!(笑) マジのマジで、充電が全然減らねええええええええ!(笑) こんな調子だったら、最初からエコモードではなく「オートモード」でも130kmイケたのではないか? 絶対イケたよ!!
なお、この驚愕の結果に対し、メーカーであるブリヂストンは、自社の製品が叩き出したあまりにもエコすぎる数値に本気でビックリしつつ、
「航続距離130kmというのは業界統一のテスト条件で測定された値で、条件に則り時速10~20kmで走行し算出しているのですが、今回は信号の少ない平坦路だったのでストップ&ゴーが少なく、また巡航速度が速いのでアシストの電力をそれほど消費しなかったため、距離が伸びたと思われます。ちなみに時速15km以上では速度が速いほど消費電力は少なく、道路交通法上、時速24kmではアシストが切れる仕様になっております。」
とのコメントを出してくれた。
あまりにもカタログの数値とはかけ離れた数値を叩き出してしまった今回の検証。おそらく勝因(要因)は「ノー信号の河川敷サイクリングロード」という絶好のコンディションだったと思われるが、それにしてもスゴすぎる。
だってだって、135kmも走ってバッテリー残量75%だよ? ずっとずっとサイクリングロードだったとしたら、一体どこまで行けてしまうのか? 宇宙かな?
なお、もうひとつ驚くべき事実がある。ロングツーリング未経験の40超えたオッサンが、まるまる1日かけて135kmも走ったというのに、翌日も、その翌日も、その数日後にも……なんと筋肉痛にならなかったのである。
もちろん作戦後の夜にはお風呂に入ったり、翌日にはマッサージ屋さんでケアをしたり、3カ月ほど前から運動を始めたってのもあるとは思うが、快適に運転できたからダメージも最小限で済んだのだと確信している。良い自転車だ、『TB1e』。価格は12万9800円(税別)だけど、こんなにタフなら安いもんだ。130km走った私が、太鼓判を押したい!
参照元:ブリヂストン『TB1e』
Report:GO羽鳥
Photo:RocketNews24