肉が好きだ。そして砂糖も大好きだ。私は「野菜を食え」と言われたら、オリーブオイルをぶっ掛けて「野菜だ」と言い張るレベルの肉食主義者。人類が新たなステージを迎えるための鍵は「MAXコーヒー」にあると考えているほど甘いものが、つまりは砂糖が好きである。
そんな具合なので、ヴィーガンたちは実に味気ない食生活を送っている……そう思っていた。肉だけじゃなく、卵も白砂糖もNGだというのだから。しかし、世の中にはそんなヴィーガン向けのアイスがあるというではないか。果たしてちゃんとウマいのか食ってみることに。
・ウマかった
ぶっちゃけ最初は期待していなかった。例えば、肉を使わないハンバーグというのがある。あの手のものは結局どこかで植物チックな味がして「あ、肉じゃないわコレ」となってしまう。それと同様に、卵も白砂糖も使わないアイスなど、どこかで「何か違う」と感じるのだろうと。
そんな感じで食べてみたが……結論から言うと、ウマかった。コンセプトやフレーバーについては実に独特だと感じたものの、少なくともアイスに関しては、ヴィーガン向けでもそこまで違和感は無いなと。
・青いソフトクリーム
ちなみに、今回ヴィーガン向けのアイスを食べに行ったのは、渋谷の「Super ice Creamery」というお店。そこの「ブルーアーモンド(税込み518円)」なるソフトクリームである。
牛乳を使ってないので厳密にはソフトクリームではないのだと思うが、見た目的にはソフトクリーム。面倒なのでソフトクリームと呼ばせてもらおう。
色が青ということで、インパクトがある外見をしており、その方向で突っ込んでもいいのだが……やろうと思えば、昨今は何でも青くできる。今回は色について特にリアクションしないでおこう。
それよりも興味深いのが、青い色の出どころである。この色は、ある細菌……シアノバクテリアを使って着色したものらしい。ちまたでは「スピルリナ」とか呼ばれているヤツだ。きっと、何か青色1号とかではダメな理由があるのだろう。
ヴィーガン向けなので牛乳も白砂糖も入っていないが、看板を見るにココナッツミルク、アーモンドミルク、そしてbrown rice milk……つまり、玄米の粉乳的なものだろうか? そのあたりを使ってソフトクリーム的なものにしているらしい。
たとえヴィーガンとて、ソフトクリームが恋しくなるものなのだろう。まあ赤ん坊の頃からヴィーガンだった人はいないだろうし。動物由来の食い物を完全に排除して人間が健全に成長できる保障は無い。母乳すら動物性なのでNGになってしまうし、倫理的にどうかとも思う。
つまり、ヴィーガンとて人生のどこかで甘いソフトクリームを食った記憶があるわけだ。そしてヴィーガンとなってからも、食べたいという欲求が出てくるのだろう。この青いソフトクリームには、それを叶えるための創意工夫を感じる。
味のほうは「ちょっと変わったウマいソフトクリーム」である。やはり牛乳が無いからだろうか。クリーム部分のこってり感やコクのようなものは控えめだし、甘さも控えめ。
かなりライトでサラっとしている。しかしちゃんと甘いし、結構ウマい。個人的にアイス関連はクリーム系よりもシャーベットとかの方が好きなので、このあっさり感はむしろ好ましい。
「牧場絞りたてで超絶こってりハイパー濃厚ソフトクリーム」的なものが好みの人からすれば物足りないかもしれない。でもそういう濃厚過激派じゃない限り、「普通にソフトクリームやん」となるクオリティ。よくできている。
・炭のジェラート
そしてもう一つ好奇心をかき立てられたのが、ケースに入っている真っ黒なジェラート。なんやこれ……とメニューを見るとCharcoalと書いてある。Charcoal、すなわち……
_人人人_
> 炭 <
 ̄Y^Y^Y ̄
一体何の炭なのかは分からないが、とにかく炭である。どういう思考の果てに炭をジェラートにしようなどと思ったのか全く分からない。分からないが、炭ジェラートなんて面白そうではないか。
程なくして提供された、炭ジェラート。ジェラートの上に、細切り的なココナッツやら、大豆などがふりかけられていた。
食ってみると……
_人人人人人_
> 甘い炭 <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y ̄
甘い炭とか何を言っているのか分からないと思うが、私も何を食っているのかよく分からない。炭と聞いてイメージするであろう、苦い感じは微塵も無い。今までに味わったことの無い炭である。
ココナッツはともかくジェラートに大豆というのも珍妙に感じたが、なるほど炭に大豆は良く合う。スイーツというよりは、むしろサラダみたいな感じがする。そして根拠は無いのだが、なんだか意識が高い系の味な気がする。
悪い意味じゃなく、ガチに素直に「変わったもの食うんだなぁ……」というのがトータルでの感想。ウマいかマズいかで言えば、確かにウマい。よくできている。特に、好奇心が満たされる感は半端無い。
ただ味そのものについては、別に炭じゃなくてもいいんじゃないかなぁと思わなくも無い。まあ炭の味は炭にしか出せないのだろうし、唯一無二なのだろう。あるいは……ヴィーガン食には全く詳しくないのだが、もしかして炭はわりとその界隈じゃメジャーなのだろうか?
・興味深いです
なんとなくこれらの味は、非ヴィーガンであればまず行き着くことの無い世界のモノな気がする。ソフトクリームも炭ジェラートも、制約の中で色々と試行錯誤しまくった果てに生み出された的な。
ヴィーガン向けの食べ物……好奇心を満たすという方向においてはかなり強い気がする。まだまだ非ヴィーガン的に未知のものが沢山あるのではなかろうか。ヴィーガンになる予定は全く無いが、新しい食体験が待っていそうな気がする。