働き方改革が叫ばれるようになったと同時に、地方移住や都心と地方を行き来する「二拠点生活(デュアルライフ)」も注目されるようになった。転勤や家を継ぐという理由のほか、よりよいライフスタイルを求めて移住を考える人も増えてきたように感じる。
さて、私・沢井メグは少し前に東京から地方住まいになった。中国に住んでいた経験から「外国に行くわけじゃないし、何とかなるだろう」とユルくとらえていたのだが、これだけは準備しておくべきだったと猛烈に反省していることがある。こんな現実、住むまで知らなかったよ。
・見通しが甘かった
それは銀行! 銀行口座のことである。移住前、地方では都市銀行の支店が少ないことは知っていたが、
「お金はコンビニでおろせるから大丈夫でしょ!」
「Web通帳だから通帳記帳の必要もないし!」
「クレジットカードもあるし!」
など、漠然と考えていた。東京ではいつもネットバンキングを利用しており「銀行の窓口がない」ことに不便さを感じなかったのだ。そもそもネット銀行には実店舗すらないわけだし。
でもね、移住の際に注意すべきだったのは「店舗がない」なんて表面的な点ではなかった。
公共料金が引き落とせなかったのです!
そんなの聞いてねェよーッ!
・都市銀行やネット銀行では口座振替ができない
電気、水道、ガス、そして保育園の保育料……その全てで引き落としに都市銀行もネット銀行も使えなかったのだ。ちなみにクレジットカードも対応しておらず。うーそー! 毎月コンビニ払い? めんどくさい! そもそも保育料の支払い方法は口座引き落としのみだ。
これまで都心だけでなく郊外に住んだこともあったが、いずれも都市銀行の勢力範囲だった。都市銀行の勢力が及ばないエリアがあるとは考えたこともなかった。
一体どうすれば良いのか。対応している金融機関の口座を作れば良いといえば良いのだが、移住当初、永住するか見通しは立っておらず、引っ越しの可能性もあった。ゆく先々でローカル銀行の口座を作るのもなぁ……。
・1つだけ知っている銀行があった!
「こんな落とし穴があったとは……」とガックリしながら、もう一度、引き落とし可能な金融機関のリストを眺めていると、一番後ろに見覚えがある名前があった。
「ゆうちょ銀行」
ゆうちょ銀行!
ゆうちょ使えるのかー!!
そうだ、ゆうちょがあった。全国有数の支店数を誇るゆうちょ。郵便局がある場所に、ゆうちょありなのだ!
ああ、ゆうちょ、存在を忘れかけていたよ……振込の際に支店名がややこしいとか、他の銀行と比べて手続きが面倒とか、なんとなくゆうちょを使わなくなっていたが、こんなところで再会する日がくるとは。
こうして私は長らくしまいっぱなしだった通帳とハンコを手に、口座引き落としの手続きに行ったのであった。
ゆうちょ最高ーーーーッ!
こう思うのは私だけだろうか。他の地方はどうなのだろうかと、数年ごとに各地を転々とする転勤族に聞いても「ゆうちょがあれば、たいがい乗り切れる。ゆうちょ最強」と話していた。やはりか!
・ゆうちょの安心感
これはあくまで私の経験であり、地方によっては銀行事情が都心部と変わらない場所もある。また「PayPay」などキャッシュレス決済による公共料金の支払いもエリアを拡大しつつあるので、将来的には移住の銀行問題はなくなっていくのかもしれない。
だが、2019年11月現在ではそれもまだ未来の話だ。これから地方移住する人は、移住先にどんな金融機関があるのか、シェアはどれくらいなのかを確認しておくといいだろう。でも細かいところまでは実際に移住してみないとわからない。そんなとき、とりあえず ゆうちょ があれば安心だ。
【まとめ】移住するとき「ゆうちょ口座」があると便利な理由
・引き出しや振り込みだけなら、「都市銀行」や「ネット銀行」でもコンビニや提携銀行があるので不便はない。
・都市銀行では公共料金の支払いなどで、口座振替できない場合がある。ゆうちょは対象になっていることが多い。
・ゆうちょは全国にあるので、今後も転居がある場合は特に便利。
Report:沢井メグ
Photo:Rocketnews24.