個人的な話で恐縮だが、記者の趣味のひとつに “各地のマンホール蓋の写真を撮ること” がある。マンホール蓋にはその土地の特徴が表れていて、大変興味深い。そんなこんなで日々、マンホールチェックに勤しんでいるのだが、どうにも不思議でならないのが福岡市のもの。
何を表現しているのか、全く読み取れないのだ。三角や丸、四角などを組み合わせた抽象的過ぎるデザイン。予備知識なく、この柄について説明できる人がいるとは思えない。これほどまでに難解なマンホール蓋が存在したとは、マンホーラーの血が騒ぐぜっ!! 謎を解明すべく、福岡市道路下水道局に問い合わせてみた。
・上下の区別さえつかないマンホール
実をいうと、福岡市道路水道局のサイトには、マンホール蓋の柄の由来について明記してある。しかし、マンホール蓋の魅力を追求し続けるマンホーラーとして、より詳細な情報を追求しなければと、問い合わせに至った次第。
まずはマンホール蓋の柄について、もう少し詳しく説明しておこう。上下の判別さえつかず、言葉で伝えるのがとても難しいが、まず目につくのがデザインの5分の1ほどを占める三角形だ。そして、その三角形を貫くようにして斜め線が入っている。
あとは四角や丸、長方形が周辺に散りばめられているのだが……すまん、伝わらなかったよな。しかし、コレを言葉で表現するのは至難の業であることを、ご理解いただきたい。「もう適当に幾何学模様を並べただけじゃないのか」とさえ思えてくる、そんな柄だ。
・福岡市のアクティブなイメージが形に
考えてもわからん場合は、教えてもらうしかない。さっそく水道局に連絡したところ、概ねサイトに記載されてある通りだったものの、いくつか新しい情報を得ることができた。対応してくれた職員さんによると、この不思議なマンホール蓋の由来は以下の通りだ。
1990(平成2)年3月末に下水道普及人口100万人を突破したことを記念して、マンホール蓋のデザインを公募しました。「下水道施設のイメージアップと市にふさわしい個性的なデザイン」というテーマの公募に対して、全国から735点の応募がありました。
その中から鳥・ヨット・街並みなどの抽象的なデザインの組み合わせが「人の都・福岡市のアクティブなイメージ」を連想させるという評価を受け、現在のデザインが選ばれました。またデザインの面白さや現代性がある、他都市にない斬新さなどもデザイン決定理由としてあげられています。
つまり福岡市をイメージさせる鳥や街並みなどが、その抽象的デザインに反映されているのだな。記者としたことが、全くわからなかったぜ。なんなら、鳥が隠れていたことにさえ気付けなかったぞ。どうやら、大勢の福岡に対する気持ちがこもったマンホールだったようだ。
・柄違いもあるよ
ちなみに福岡市下水道事業は、2018年で88周年を迎えたとのこと。記念して「FUKU 51 MANHOLE(フク コイ マンホール)プロジェクト」というプロジェクトを実施中で、活動の一環として、既存のマンホール蓋にハート柄をプラスしたものを市内51カ所に順次設置しているらしい。
残念ながら、記者は今のところハート入りバージョンは発見できていない。また折を見て、福岡市内をうろつき是非ともハート柄を写真に収めたいと思っているところだ。出かけるついでに各地のマンホール蓋を観察する作業、結構楽しめてオススメだぞ。
参考リンク:福岡市道路下水道局
Report:K.Masami
Photo:Rocketnews24.
▼ちなみに記者のイチオシは奈良県大和郡山市の金魚柄マンホール蓋
▼唐古・鍵遺跡の楼閣などをあしらった、奈良県田原本町のマンホール蓋も気に入っている