2019年9月20日から開幕するラグビーW杯。ファンからすると「待ってましたぁ!!」と狂喜乱舞しながら過ごす約1カ月が始まるワケだが、一方で世間はどこか盛り上がりに欠けている……ように感じる。しかし、思い出そう。今から4年前、日本列島が五郎丸フィーバーで湧いたことを! ラグビーのルールがよく分からないにもかかわらず、盛り上がったことを!!

その歴史が証明しているように、実のところラグビーはルールを詳しく知らなくても問題ない。なぜなら……ド直球で理由を伝えるならば、そもそも経験者でもルールを完璧に把握していないからだ。筆者(私)みたいな経験者、意外といるはず!

・3年やっていても分からないルールがある

「別に入らなくてもいいから! 名前を書くだけだから!!」と入部届を書かされたことで、私のラグビー人生は半ば強制的に始まった。それからなんだかんだ高校3年間プレーしたが、今でも100%完璧にルールを言えるかと問われたら「NO」。確かこうだったかなぁ〜レベルだ。

実際、テレビの試合中継で丁寧に入れてくれるルールの説明を見て、初めて「えっ、こんなルールもあったのか」と驚くこともある。そんなことを言うと「ほ〜ら、やっぱり難しいんじゃないか」と思うかもしれないが、逆に捉えればルールを知らなくても3年間プレーできることに繋がるから安心して欲しい。

・絶対に覚えておくべきルール

もちろん、ルールの勉強はした。今から10年以上前、インターネットもそんなに普及していない頃だったので本を読んだり、ごくごく稀に放送される試合を見て学んでいた。しかし、いざ試合になるとどうだろう。

高校ラグビーというのもあったかもだが、使われるルールは決まったものが多く、中にはほとんど使わないものもチラホラ。つまり、細かいところまで把握する必要なんてどこにもなかったのだ。私の経験上、覚えておくべきことはたったの2つだけ。

「ボールを前に投げない」「ボールを前に落とさない」。これだ。あとはちょっとした反則なら基本的にはスクラムで再開すること、悪質な反則だと相手に有利な状況からプレーが始まると覚えておくと他の人とちょっと差がつく。

・キックに関して

そしてフォワードとバックスの役割、キック、得点の仕方をちょこっと覚えたら、もう楽しく試合を観戦する準備はできている。フォワードは巨漢や長身選手が務め、ゴリゴリの重戦車タイプと思ってもらえたらいい。一方、バックスはパスやラン、キックで前へと進む役割を担う。

キックに関しては「ワンバウンド」するかなどで少し複雑になるが、ラグビーは陣取りゲームであることを思い出そう。自陣深いところであれば、危機を脱するためにバウンドを考えずに蹴ってOKくらいで問題ない。一度蹴ると相手にボールを渡すことになるので、基本的にキックは陣地を取り返したい手段と考えよう。

ちなみに上空高く蹴り上げるキック(ハイパント)は、戦略的なもので競り合ってもう一度マイボールにしようとする手段でもある。細かいルールは存在するものの、覚えていなくても試合を観戦する上ではそんなに気にするポイントではない。

・とにかくトライの価値が高い

最後に難しく思いがちな得点についても、超簡単に説明しておこう。先述の陣地を考えたら、トライの価値が上がるのは自然と分かるだろう。ここでなぜトライが重要視されるかだが、トライ後にはコンバージョンキックという2点チャンスがもらえるから他ならない。トライの5点にキックも決まれば最大7点をとれる。

試合中でもキックでゴールを狙うこともできるが、こちらはその代わり3点。もし2本決めたとしても、トライの最大7点に及ばないからどのチームもトライを狙って戦うのだ。ここまで覚えるべきことは2つと言いつついろいろ説明してしまったが、難しいことは何1つない。

得点の説明をさらに分かりやすく言うなら、南アフリカ戦であそこまで熱狂したのはトライにある。残り1プレイで3点ビハインド、無難にキックを蹴って同点で試合を終えることは難しくなかったが、日本代表はあえて「勝利 or 敗北」の2択を選んだ。そして見事、歴史的な1勝をもぎとったからだ。

勝たなければあれほど騒がれなかっただろうし、歴史を塗り替えることもなかった。あれから4年──冒頭でもお伝えしたが、ここ日本で開催されるラグビーW杯まであとわずか。経験者でも分かっていないルールを細かく覚える必要はなく、初心者でも楽しめるのでまずは試合を見て欲しい。

執筆:原田たかし
Photo:RocketNews24.