今朝のことです。私、P.K.サンジュンは秋葉原から車に乗り、新宿の職場まで送ってもらいました……0円で。もちろん運転手付きで車は高級車として知られるアルファード。私はただ広々としたシートでゆったりとした時間を過ごしていただけです。もう1度言いますが……0円でした

「そんなハズはない」「何か裏があるに違いない」──。そう思う気持ちはわかります。ただこれは特別な体験ではなく、もしかしたら今後は当たり前になるのかもしれません。そう、無料配車サービス『nommoc(ノモック)』がね。

・0円……だけじゃない魅力

「無料タクシー」なんて呼ばれ方もするが、正確にはノモックは「無料配車サービス」である。超簡単に概要を説明すると、アプリで現在地と目的地を入力し、nommocの車とタイミングよくマッチングさえすれば、あとは目的地に連れていってもらうだけ……というシンプルなサービスだ。

何度でも言うが料金は0円、つまり “タダ” である。強いて言うならアプリを利用するので、通信費がかかるくらいだろうか? そ・れ・な・の・に! 


アルファードが迎えに来てくれて……


運転手さんが運転してくれて……


目的地まで運んでくれるのだ。


・社長に話を聞いた

なんとお得で有能なサービスであろうか? ぶっちゃけ、最初は私も怪しいと思った。車内で宗教の勧誘でもされるのではないかと疑った。だが今はそんな自分を恥じたい。全ての疑惑は同乗した社長に話を聞いて明らかになったのだ。


──社長、これはスゴいサービスですね。本当に0円だとは思いませんでした。

「ありがとうございます。まだ本格的なサービスを開始して間もないですが、1日400人くらいの方にはご乗車いただいています」

──400人! それはスゴイですね。しかも無料だから軽自動車とかが迎えに来るんだと思っていました。

「ノモックでご用意させていただいている車両は、全てアルファードです」

──え! 全部ですか? てっきり取材用に1番いい車が来たんだと思いましたよ。

「我々は “上質な空間と時間を提供する” ことを、ノモックのコンセプトの1つにしています。その結果がアルファードということですね」

──いや、スゴイ。ところで社長。ズバリお伺いしてしまいますが、どこで儲けているのでしょうか? もしくは石油王レベルの資産家とか?

「いえ、違います(笑)。一言でいえば広告ですね。今回ご乗車いただいているのはJTさんに提供いただいている車両で、車内ではJTさんのプロモーション動画が流れています。またご希望があればプルーム・テックをお試しいただけます」



──あー、だからJTの動画が流れてたんですね。なるほど。ちなみにプルームテックを絶対に試さなくてはいけない、なんて縛りはあるのでしょうか?

「いえ、ございません。あくまでお客様のご希望があれば、となっています」

──任意なんですね。ディスプレイもタクシー乗れば普通に流れていますから特に気になりません。ちなみにコレはJTの車両だと仰ってましたが、他にもテーマが決まった車両があるのでしょうか?

「現在のところはJTさんの車両と、我々ノモックがご用意している車両の2種類になります。ノモックの車両ではJTの他に、映画やモバイルバッテリシェアリングサービスなどの広告映像10社分がご覧いただけます」

──なるほど。ビジネスモデルはわかりました。でも広告主にとってはどんなメリットがあるんですかね? 普通にネットに広告を出した方がいいような……。

「おそらく移動中って、今はみんなほとんどスマホで時間を潰していると思うんですよね。その中に広告を出すことも、もちろん効果があると思います。ただ我々が求めるのは質です。上質で落ち着いた空間の中で提供する広告には、また別の価値があると考えています。広告体験とでもいうか……」

──広告体験ですか、なるほど。そのためのアルファードでもあるんですね。

「仰る通りです。例えば、現在のところノモックをご利用いただけるのは、大きく分けて渋谷中心・丸の内中心のエリアの2カ所です」

──ふむふむ。

「JTさんからご提供いただいている車両は、各エリアの中で走っております(※今回は特別にエリアをまたいでもらいました)」



──なるほど。ある程度の属性を判断して広告が出せるんですね。

「そうです。アプリに登録していただく際、アンケートにお答えいただいたかと思うんですが、そのアンケートはもちろん分析しています。また今後は乗車記録も解析し、お客様の趣向にあった車両を配車することも可能だと考えています」

──すごいですね。未来感がパないです。

「例えばアルコールがお好きなお客様が乗車されるなら、ビール会社さん提供の車両でビールが飲めたり……といったサービスもいいのではないでしょうか」

──それ最高ですね。

「まだ本格的なサービスを開始したばかりですが、2020年中には車両を500台まで増やしたいと考えています」

──500台あったら、こちらとしても乗れそうな気がしますね。ちなみに時間指定などは出来ないんですよね?

「はい、そちらには対応していません。また現在のところサービスは10時から22時までとさせていただいております。」

──ということは、あくまで流動的に利用するのが美しいサービスなんですね。例えば、歩くと20分かかるけどノモック探してみよう……あった! ラッキー!! みたいな。

「そうですね」

──いや、計画的には利用できなくても、このクオリティなら十分です。お得感ありますし、また利用したいと思いましたよ。

「ありがとうございます」

──というか、こういう発想自体もそうですが、実現させたことが何よりスゴイです。失礼ですが、社長お若いですよね?

24歳です



──キャーーーーーー! これ完全に時代の寵児コース乗りましたね。大金持ちになっても無視しないでくださいね。


というわけで、マジのマジで有能なサービスだったノモック。ハッキリ言って、今後ブレイクする予感大だ。真面目な話、ロケットニュース24ではなく「ワールドビジネスサテライト」や「東洋経済」的なメディアに取り上げられるべきサービスである。なんか……さーせん!

とはいえ、まだ始まったばかりのサービスなので、これから先 様々な障害やトラブルがあることだろう。なので仮にあなたがそのトラブルに遭っても、ある程度は目をつむって許してやって欲しい。0円だからじゃない。いいサービスは、いい客が育てるからだ。

取材協力:nommoc公式サイトAppStore「nommoc」
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.

▼アプリの使い方は超簡単。お迎えの場所と目的地を入力して……

▼あとはマッチングすればOK。もちろん、マッチングできないこともある。

▼今回の乗ったのはJTの車両。せっかくなのでプルームテックを吸っておいた。

▼JTの車両以外では他のプロモーション動画が流れている。

▼順調に車両が増えればマジで流行ると思う。注目だ。