水族館は好きですか? 海と共に生きる国・日本にはいま水族館が150以上も存在すると言われている。そのなかで今、もっとも注目の「水族館」と言えば……『桂浜水族館』を挙げた人、Twitter お好きですね!

そう、いま高知県の『桂浜水族館』の公式 Twitter が大注目、連日のようにバズっているのだ。中の人は何を考えているのか……突撃してみた!

・『桂浜水族館』のTwitterが話題 / 中の人が荒ぶりすぎな件

話題になっているのは、88年の歴史がある水族館『桂浜水族館』の公式アカウントだ。マスコットキャラ「おとどちゃん」がトド目線で更新しているのだが、その内容がいちいちヤバイ。

たとえばカワウソの寝顔……まではわかる。それがおとどちゃんに手にかかると「カワイスギギギィ………」と思いのたけを叫ばれてしまう。投稿は生き物の紹介だけではない。飼育員の写真をあげては「天使すぎる」「尊すぎて生きるのが辛い」と、萌えをバラまいているのだ。

そして、なかでも最もインパクトがあったのが、2019年9月2日のこのツイート。


「あのすいませんおはようございますお前ら人類、聞こえますか? また滅亡した系ですか?? 桂浜水族館開館していますよ?? 45分経つのにノーゲストって人類が滅亡した以外に考えたくないんですけど?????? 経営が氷河期ですか??????????????????? おおお????????? お???」(Twitterより引用)


このつぶやきがリツイート数3万5000件以上、いいねも7万件以上と大きな話題になったのだ。続けて

「『桂浜水族館がんばれ』ってコメントいただいてるの見てマネージャーが笑ってる。わろてる場合か。桂浜水族館88歳でご老体に鞭打って年中無休で今日もがんばる。わらうのをやめろ」(Twitterより引用)

とも。なんてオラついた……いや自由で奔放な発想だろう。とても公益法人が運営している施設のアカウントとは思えない。

おとどちゃんとは一体どんな人、いやどんなトドなのか。何を思ってこんなツイートを繰り返しているのか。勇気を出してインタビューを申し込んでみたところ、まさかのOK! おとどちゃん独占インタビューは以下へGOだ。

【おとどちゃん独占インタビュー】

──先日の開園45分経ってもノーゲストというTwitterでバズりましたね! どうしてあの投稿を? そしていまどんな気持ちですか?


おとどちゃん
「夏休み明けは来館者数ががっつり落ちることはわかっちょったけど、ただただ感情に任せて心の叫びを投稿しただけやのに、こんなに反響があると思わんかったき、不思議な気持ち。

開館45分経ってもノーゲストなんて多分閑散期とか田舎の施設やったらよくあることやろうけど、言ったもん勝ちやなって思った。世の中。そうや、言うてみるもんや!!」


──言うたもんがち(笑) おとどちゃんのキャラだからこそバズったようにも思います! Twitterでのバズりを受け、現場でその影響を感じられましたか? 来場者数が増えたなぁとか、ゲストから「ツイートを見てます!」って言われたりとか。

おとどちゃん
「ちょいちょい例のツイートを見て来てやったぜ! ってお客様はおります! でもファンの傾向として遠い県外に在住の方が多く、すぐに来館者数アップにつながることはないです! じわじわ~~って感じ」


──高知を飛び越え、いきなり世界に向けて発信してますもんね。桂浜水族館でバズったと言えば、2018年にはエクストリーム土下座ツイートが話題になっていましたね!


──過去の投稿と今の投稿を比較すると、最近はハジけてらっしゃるというか、雰囲気が変わったかと思うのですが、何かあったのですか?

おとどちゃん
「社会の荒波に揉まれながらおとども歳を重ね、心ない人にフルボッコにもされ、第三者の厳しい目で批判もされ……

だけど甘やかしてくれる多くの方、愛してくれるたくさんの方たちに精神衛生を守られながらいろんなことを経験する中で『自分はまだまだ妙なしがらみにとらわれゆうな』『もっと自由でえいがじゃないろうか』と好き勝手に生きることに決めました!」


──解き放たれた、と!

おとどちゃん
「それもこれも、それを認めて許してくれる飼育員、スタッフ、なによりどんなにやりすぎても「おとどちゃんやったなー!」って笑ってくれる館長の存在が心の支えになっています。なんか変わるで、桂浜水族館。昨日よりも今日、自分を更新して、常に「愛」を表現していくがで!」


──おとどちゃんの自由さを、館長さんも笑って見守ってくれてるんですね。見られているということは……逆にオラつきすぎて注意されたり怒られたことはないですか?

おとどちゃん
「言葉遣いで怒られたり注意されたことはないかも。むしろ大人しめでおると「最近丸くなった」って言われる。

でもやっぱりヒヤヒヤしたり、ドキドキすることはあるらしい。それでもおとどのことを受け止めてくれる館長はまっことでっかい女ぜよ」


──おとどちゃんの話を聞けば聞くほど、桂浜水族館に行きたくなります! 行けばおとどちゃんには会えるのでしょうか?

おとどちゃん
「おとどはいつも水族館におるわけじゃない。おっても地下でネットサーフィンしたりDVD観たり、おでかけするかまえしたりしゆう。

気が向いたら館内に出没するけど、気が向いたら。イベントは大好きやきぜったいおるで!」


──イベントチェックしておきます! 最後に水族館でのおとどちゃんの推し展示、観覧の推しルートを教えてもらえますか?

おとどちゃん
「推しルートなんてない!愛のままにわがままに好きなように回ったらえい!

全部が推しやき、ここが一番っていうのは決めれんし、その人によって合う合わんがあるき、自分に合ったメッカを桂浜水族館で見つけてください」

・『桂浜水族館』は愛に溢れていた、むしろ愛しかなかった

終始ハイテンション、可愛い土佐弁で答えてくれたおとどちゃん。実際に話を聞いてみて、彼女は、一見、メチャクチャやってるようで、実は根底には桂浜水族館を思う強い気持ちがあるということをひしひしと感じた次第だ。

そのうえで、ツイートを改めて読み返すと、やはり愛が……いや、むしろ愛しかない! 普段の水族館の仲間紹介、飼育員を愛でるコメントはもちろん、2019年7月に亡くなったコツメカワウソのコウメちゃんを悼む投稿は、もう涙なしに見ることはできないだろう。

そして、そんなおとどちゃんを支えているのも館長はじめとしたスタッフの愛だ。桂浜水族館への愛を軸とし、お互いに信頼があるからこそ、おとどちゃんは湧き上がる感情のままに叫ぶことができる。そして、その飾らない気持ちが多くの人の心に刺さっているのだ。


そんなおとどちゃんからTwitterフォロワーへのメッセージを預かったので、お伝えしたい。

「もっと愛して。ずっと愛して!!!!」

おとどちゃんの正体は愛の人……じゃなくて「愛のトド」だった。

取材協力:桂浜水族館
Report:沢井メグ
Photo:桂浜水族館, used with permission.
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▼おとどちゃん、たまにポエミィ

▼ときに深い

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