
こんにちは。売れないバンドマンの中澤星児です。2019年でバンド活動は14年目に突入しましたが、全然売れる気配がありません。本当なんともならないもんですね。
そんな僕(中澤)が、ひょんなことからイギリスの夏フェスに出演することになったのは以前の記事でお伝えした通り。というわけで出演してきたのでレポートします。
・私がイギリスでライブすることになった理由
サラッと言いましたが、自分でもイギリスでライブしたことが信じられません。夢だったんじゃないだろうか……と、今でも思います。
なぜなら、アジアでライブしたりフェスに呼ばれたミュージシャンは知り合いにもいますが、イギリスでライブしたという話はインディーズではまず聞かないからです。では、なぜ僕がイギリスに行けたのか? その理由を1行で説明すると……
──イギリスツアーの決まっている友達のバンド『si,irene』のギタリストが抜けたから。
詳細については以前の記事をご参照いただければと思います。ぶっちゃけ、凄いのは普通にイギリスツアーが決まってた『si,irene』なんですが、ひょっとしたら僕がこれまで積み重ねてきた結果として結びついた部分もちょっとはあるかもしれません。
・不安
というわけで、途中参加の僕ですが、リハを重ねるごとにバンドサウンドになってくる『si,irene』。人事を尽くして天命を待つ。最後のリハでは、もうステージに立ってみないと分からないというレベルに達しました。僕が渡英する2日前のことです。次にメンバーと会うのはイギリス。
正直、不安がないわけじゃありません。フェスに人が集まったとして、はたして僕たちを見てくれるのか? 例えば、日本のフェスにやって来た全く名前すら聞いたことがない外国人バンドをどれだけの人が見に行くでしょうか。
もちろん、お目当てとカブってなければ見に行く人もいるでしょう。僕もそっち派ですが、見に行ったらガラガラなこともあります。しかも、僕たちはそういったバンドより余裕で無名。どういう雰囲気になるのか……マジで現地に着くまで分かりません。
・期待も
一方で、音楽が起こす奇跡を信じているからこそ、まだバンドをやっている僕。多分他のメンバーにしてもなんだかんだ言ってこれに尽きると思います。
つまり、イギリスで『si,irene』の音楽がどう評価されるのか? それは純粋に興味がありました。そんな不安と期待を抱えつつ、ついにフェスが開催される地ブライトンに『si,irene』のメンバーが集結!
ちなみに、ギターとエフェクターも持っていったため、航空会社は30kgの荷物を預けられるキャセイパシフィックにしたのですが、その判断が後に悲劇を招きます。この詳細は以前の記事「【実録】帰国前日に「香港デモ」で飛行機が全欠航! 問い合わせもパンク状態に → そのまま香港入りした結果」をご参照ください。
・出演するライブハウス入り
それはさて置き、話を戻すと、出演するフェスは『AT THE EDGE OF THE SEA』。UKバンド「ザ・ウェディング・プレゼント」が主催して今年10年目になるフェスで、ブライトンの海沿いにあるライブハウス「Concorde2」で開催されるようです。
ライブ当日に機材を搬入すると、「Concorde2」のステージは日本で言うクワトロくらいの広さ。海沿いの壁には窓がついていて自然光が入ってくるのが良い感じ。日本にはあまりない地上のライブハウスでした。音漏れしまくりなのがイギリスっぽい。
・迫る出演時間
裏口の廊下の壁には『TEENAGE FANCLUB』や『Asian dub foundation』など、日本でも知られているバンドのポスターも。『si,irene』が出演するのは、サブステージのようで、入り口入ってすぐのバーカウンター前にステージが作られていました。
出演時間はイベントが始まって3バンド目の16時30分。ライブハウスのオープン時間が迫ってくると、外で待つ人の姿が目立つようになってきました。この人達の前で演奏するのかと考えると、背中を緊張が駆け上がります。なんか赤いモヒカンの人いるし……。
徐々に干上がっていくノド。そんな中、1バンド目の『Flower of Hell』がサブステージで演奏を開始しました。ファンファーレ的な音楽が雰囲気に合ってるなあチクショー!
続いて2バンド目には、主役『ザ・ウェディング・プレゼント』のフロントマンであるデイヴィッド・ルイス・ゲッジのソロプロジェクト『シネラマ』がメインステージに登場。ハァ……ハァ……あと30分……。
・ライブ開始
この頃にはメインステージはほぼ客で埋まっている状態に。そんな時、ついに準備のお声がかかりました。フェスなので音響リハは本番前にちょっとやるくらい。水は良し。カポどこいったっけ? っていうか、やたら握力が弱くなってるの何コレ?
そうこうしているうちに『シネラマ』が終了しメインステージから流れ出てくる客たち。うわぁぁぁ! 始まっちゃう……!!
脱力して自分のものではないように感じる手足。はたして、本場に受け入れられるのか。考えて考えて考えて考えてずっと出なかった答えを出すのは今! ブチかませ!! これまでの全てを!
バンドで一音目を出した瞬間、広がる視界。
考えるより早く指が動く。
その指の動きで頭が鮮明に思い出していく。下北沢の小さいスタジオに通い詰めたこの2カ月のことを。
──曲が進むごとに膨れ上がっていくお客さんの輪。その中には、あの赤いモヒカンの姿も。おいおいマジかよ! 赤モヒ頭振ってる! 見知らぬオッサンも踊りだしたァァァアアア!!
そして、最後の一曲が始まる。
この曲が終わったら奇跡みたいなこの時間も終わってしまう。
あと8小節……あと1音……
──終わった瞬間、巻き起こる拍手喝采。やっぱりこれは夢じゃないだろうか? ボーカルのデビット・リードが「We are si,irene!!」と叫ぶとさらに高く鳴り響く指笛。「we」の中には僕も入っているのです。「We are si,irene」、良い言葉だなあ。
・バンドマンガかよ
ライブ終わり、色んな人に話しかけられ、サインを求められました。僕の人生で1番「英語話せたらなあ」と思った瞬間です。その中には、ライブで踊っていた見知らぬオッサンもいたのですが、スコットランド人ということしかわかりませんでした。
そんなライブ終わりの反応で1番テンションが上がったのは、イカついスタッフさんにグッと親指を立てながら「You guys are fuck’in rock!!」と言われたこと。マンガ『BECK』のワンシーンかよ!
音楽の持つ力を体感できた『AT THE EDGE OF THE SEA』。今考えると、あの30分間は、あらゆる壁を越えて音が響いていた時間だったように思います。まぶしすぎる一瞬の出来事。そして、僕たちの夏は終わったのでした。
バンドというのはすべからくこの一瞬を求めているものだと思います。どんなにしみったれたステージでも、どんなにお客さんが少なくとも。孤独を感じる夜はぜひライブハウスに足を運んでみてください。そこには、輝きを求めてもがくバンドマンが必ずいるはずだから。
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
▼「Concorde2」の裏口通路
▼日本でも知られているバンドのポスターも
▼ライブ終わりにめっちゃ話しかけられました。英語勉強しとけばよかった……
▼ライブの動画
▼si,irene – awful pop song(Official Video)
中澤星児



















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