1、2、3……ヴィクトリィィーーー! イエスッ!! フゥゥゥーーーーー! 私(中澤)は『ビリーズブートキャンプ』が好きだ。ビリー隊長の掛け声と共に体を動かしているとテンションが上がる。嫌いな運動も楽しくできる。

日本で短期集中型エクササイズのDVD『ビリーズブートキャンプ』が流行ったのは10年ほど前。爆発的なムーブメントの後、すっかりその名を聞くことはなくなった。そんなビリー隊長、実は現在ヤヴァイことになっている

・N高等学校の運動カリキュラム発表会

ビリー隊長の姿を久しぶりに見ることができたのは、ネットを通じた授業やテストで単位が取得できる「N高等学校」の代々木キャンパスだ。この度、本校のオンライン授業の1つである運動授業を考案したのがビリー隊長なのである

2019年6月13日、その運動授業『ビリーズネットキャンプ』の記者発表会が行われ、私も取材に駆け付けたわけだ。もう少しで、さんざんDVDで見たビリー隊長に会える。

以前、毎日のように見ていた顔だ。目を閉じれば、ビリー隊長の声が聞こえてくるようである。ワンモア! ビクトリー! ……と、その時。司会がビリー隊長を呼び込んだ!!


奥のドアが開き……


ビリー隊長キターーーーーーーー


ガッチリした体型は全く変わっていない!! そのオーラに巻き起こる拍手。

が、生徒たちは、ビリー隊長をおそらく知らないのではないだろうか。それほどにみんな若い。通常の通信制学校は年代にバラつきが大きいイメージもあるが、N高等学校は現役で入学する人が多いのだとか。

おそらく、『ビリーズブートキャンプ』が流行った頃は5歳くらいだったはずだ。そのためか、話を始めたビリー隊長をポカンと見つめている学生も目立つ。

そんな流れが目に見えて変わったのは、全員で今回考案された運動カリキュラムを始めた時。『ビリーズブートキャンプ』さながらに、ビリー隊長が動きを教えて檄を飛ばすと……


どこか表情の固かった学生たちに……


笑顔が

──さすがのカリスマである。さらに、椅子を後ろに下げて本格的な運動に移ると「早っ!」「ムリー!」と黄色い声も飛ぶ盛り上がり。なんか……若いって素敵やん

さて置き、久しぶりに見たビリー隊長。パッと見は全然変わってなさそうなんだけど、今何してるんだろうか。気になったので本人に直接聞いてみたところ……

ビリー隊長105ヵ国を出張で回っている。兵士のトレーニングとかイベントでのトレーニングとかインストラクターの公認試験とかで」

──ひょっとして、日本でブームの頃より忙しくなってる?

ビリー隊長「そうだね。日本で出た『ブートキャンプ』以外にも107個くらいエクササイズを作ってて、新しいのは『ビリーズブームボクシング』。一般の人とか兵士とかのトレーニングで世界中を回っているよ。

あと、アメリカのカリフォルニア大学ロサンゼルス校では体育の授業も教えているんだ。そうしながら常に新しいエクササイズを考えている」

──なんと、ビリー隊長は現在、もっと売れっ子になっているようだ。それにしても猫も杓子(しゃくし)も『ビリーズブートキャンプ』だったあのブームを越えているとは。どうりで、変わっていないわけである。試しに腕を見せてもらったところ……ヤヴェェェェエエ! 63歳の腕と思えねーーーーー!!

比喩じゃなくただの丸太だった。


しかし、何がビリー隊長をエクササイズへと駆り立てるのか。107個も考えながら、常に新しいものを生み出し続ける原動力はどこから来るのだろう?

ビリー隊長「僕はディスレクシア(失読症)なんだ。文字の読み書きに障害がある。読み書きで言葉をウマく認識できないことでコミュニケーションが非常に苦手だった。バスケットとかフットボールをやりたかったんだけど、そのせいでチームプレイがウマくできなかった。

そんな時に出会ったのが空手だったんだよ。空手は個人プレイで、僕は自分に自信を持つことができた。自分に自信がついたことで、人と話すこともできるようになった。他人とコミュニケーションを取るには、まず自分とのコミュニケーションがとても重要だと思う。そのことを知ってもらいたいんだ」

──マジかよ……。DVDでは画面の向こうからめっちゃ話しかけてくるビリー隊長にそんな過去があったなんて。コミュニケーションは、一方的な情報が流れやすいネット社会においても非常に重要なものの1つであると思う。

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ビクトリー! #著名人と中澤

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「ネットの高校」と呼ばれて3年目を迎えたN高等学校。その試みは何かと賛否を呼んでいる。だが、実際にそこに通う生徒たちは、少なくとも私にはまぶしく見えた

私の時代、決められた枠の中に詰め込まれたような学校のクラスは、理不尽やヒエラルキーでがんじ絡めだった。だが、学校とはそういうものだと思い込んでいたし、そのため逃げ場はほぼなかったと言っても過言ではない。

この学校形式の答えはまだ出ていない。だが、ここの生徒はおそらくほとんどが自発的にここを選んでいるのだろう。自由度の高い「ネットの学校」が、これだけの現役生たちに選ばれるのには理由があるのかもしれない。

なお、『ビリーズネットキャンプ』は、Twitter(@NhighB)とInstagram(@nhigh_billysnetcamp)で一般の人も動画を視聴できる。また、2019年6月28日から、毎週金曜10時にニコニコ生放送でライブ配信も行われる予定だ。気になる方は一緒に参加してみてはいかがだろうか。

参照元:N高等学校チャンネル
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

▼N高等学校でのビリーズネットキャンプの様子はこちら