渋谷といえば都会の中の都会。繁華街という言葉を具現化したような街だ。一帯はビジネス向けや商業向けのビルが並び、自然とは縁遠いイメージ。そんな渋谷だが、駅からそう遠くない場所に植物園があるらしい。

しかも、入場料は100円と超絶にリーズナブル。渋谷に用事があった際に休憩がてら寄ってみたところ、飼われているピラニアの抱えるストーリーが壮絶すぎて植物どころじゃなかったでござる

・ふれあい

問題の植物園は「渋谷区ふれあい植物センター」という。名前のとおり渋谷区立の植物園。渋谷駅から徒歩5分程度の場所にある渋谷清掃工場の、ごみ処理の過程で発電した電力を供給してもらい運営しているそう。なんともクリーンな施設である。

外見は、ほぼ全面ガラス張りのいかにもそれっぽい感じ。小さいながらも近隣住民……特にファミリー層から支持されているのか、筆者が訪れたときには幼稚園児くらいのキッズ連れがチラホラ。



公営だし展示もやっぱりマイルドな感じなのかな? それはそれで良いのだが、マニアックなものを体が求めてしまう筆者的には少し物足りないかもしれない……そんなことを考えていた筆者の耳に、園内からファミリー客の声が聞こえてきた。


キッズ1「スゲェ! 共食いだって!!」

キッズ2「パパ、ともぐいってなぁに?」

パパ「なかま同士で食べちゃうことかな」


共食いとは公営の植物園らしからぬ、過激かつ血生臭いトピックである。おいおい、ここは植物園だろ? 共食いって何だよ。おじさん共食い大好きだぜヒャッハァ!

共食いという言葉につられて颯爽と100円を支払い入園。声の主たるファミリー客は、入ってすぐの場所に置かれた水槽の前にいた。どうやらここでは水棲生物も展示しているらしい。キッズたちが興奮気味に見つめる水槽の前に行くと、そこには灰色とオレンジ色の綺麗な魚が。



お前は……



_人人人人人人_
> ピラニア <
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そこにいたのは南米原産のピラニア・ナッテリーであった。芸人がアマゾン川に連れて行かれて危険生物と対峙させられる系のテレビの企画で、エサが一瞬で骨だけにされたりするシーンでもよく出てくる

実は国内のペットショップでも稚魚が数百円で売られていたりするので、日本人的にはもっとも身近なピラニアのうちの一種かもしれない。なるほど、先ほどの共食いとは、ピラニアの習性として共食いすることもあるとかそういう教育的な話かな?

水槽に貼られた説明書きを見ると……



当初5匹飼育していましたが共食いし今では1匹になりました。


な……なるほど。既に共食い済みだったようす。しかもよく見ると……



「1匹になりました」の「1」は、めちゃくちゃ雑に上から数字の印刷された紙を貼り付けただけ。明らかに「1」が貼られる前は1よりも大きい数字だっただろこれ。

共食いのたびに5匹からカウントダウンが始まって、ついにこれ以上共食いしようのない1匹まで減った可能性が濃厚。殺伐としすぎだろおい! いや待てよ……


ケース内のピラニアは共食い防止です


なんて書かれているものの、そもそも1匹しかいないぞおい。もしかして、4匹+ケースに入れられて保護された1匹の計5匹からスタート。4匹の方は共食いの果てに全滅して、ケース内にいたこいつだけになったのでは……? 

こいつはケースの中から仲間たちが共食いしあう世紀末なようすを傍観し続けてきたのでは……? 



ま、わからんけどね。共食いで1匹まで減ったストーリーのせいで「どうもうなイメージですが意外におくびょう」という説明書きの説得力のなさがヤバい。

まだピラニアの水槽しか見ていないがもうお腹いっぱいである。いきなり共食いの果てに生き残った最後のピラニアとか濃すぎだろ……。植物全く見てないけどもう満足ですわ

一応フォローしておくと、ピラニアは本当におくびょうです。大きい動物とかが水に入ってきたらすぐ逃げたりします。また稚魚はペットショップで300円とかで売られていて、金魚並みの大きさ。でもすぐでかくなるし、軽く10年以上生きるので安易な気持ちで飼うのはやめよう


・休憩とかにいいかも

ピラニアの壮絶なストーリーを乗り越えて奥に入れば、天井からミストが放出される中、ちゃんといろんな植物が生い茂っている。またテーブルと椅子もあり、飲食も許可されている。



また、シーズンになれば飼育されているホタルが光る様子を見ることも出来るようだ。2019年のホタル鑑賞会の日時は6月19日から23日だそう。ただし発光する機械類の使用は禁止されているので、その辺りの規約は公式HPを確認して欲しい。

2階には小さい図書コーナー的なエリアや、子供向けにクイズのような展示も。植物園としてはミニマムだが、渋谷の喧騒から開放され、ちょっとした癒しを感じることができる。休憩やリフレッシュ目的ならちょっとした穴場だろう。渋谷に行った際には、ぜひ行ってみて欲しい!

・今回訪れた施設の情報

名称 渋谷区ふれあい植物センター
住所 東京都渋谷区東2-25-37
休園日 月曜日(祝日または振替休日の場合は翌平日)
時間 10:00~18:00(入場は17:30まで)

参考リンク:渋谷区ふれあい植物センター
Report:江川資具
Photo:RocketNews24.

▼ミストが気持ち良い


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