爬虫類や両生類、猛禽(もうきん)類をはじめとした「エキゾチックアニマル」。そんなエキゾチックアニマルたち約8000匹が大集合する展示・即売会『レプタイルズワールド』で、世にも奇妙なたこ焼きを発見してしまった。

なんと中身はタコではなく、衝撃の生物だった……!! この機を逃せば一生食べられないかもしれない! 意を決して食べて来た!!

・珍しい生き物大集合!

5月18・19日に池袋で開催されていた『東京レプタイルズワールド2019』。

コミケのエキゾチックアニマル愛好家版とでも言うべきか。その界隈における最大規模の展示・即売会だと思ってもらえればいいだろう。

会場は珍しい生き物たちと、彼らを愛する人たちでごった返していた。あ〜、どこを向いても可愛い生き物たちがたくさんいるううう!!

猛禽類をメインに扱う、その名もずばり「猛禽屋」さんのスペース。もっふもふ!! 可愛さ満点。

珍しいアルビノメンフクロウの雛までいた。凄い。「ALOHA」さんのスペースではヘビさんやトカゲさんたちが、可憐な姿で魅了してくる。

滑らかな曲線。ふっくらとしたその姿は可愛くもあり、妖艶でもある……。そして「生きものや 菊家」さんには爬虫類をはじめ、なんと巨大なカメさんたちも!

その大きさと、重厚感あふれる甲羅に圧倒される。

このような、素敵な生き物たちを展示・販売するスペースがなんと100以上もあった。さらに、エキゾチックアニマルをモチーフとしたグッズを販売するスペースや、飼育に役立つ品々や保険に関するスペースまで。それだけでなく、エキゾチックアニマルに携わる方々のトークショーをはじめとしたステージイベントまで用意されていた。

素敵な生き物たちと出会える『レプタイルズワールド』は、新しい家族を探すも良し・学ぶも良し、もちろん目の保養に来ても良し、の最高なイベントなのである。まさに地上の楽園。しかし楽園に禁断の果実があるように、ここにも恐ろしい食べ物があったのだ……。

・クロコダイルたこ焼き

可愛い生き物たちを見て回り、クラゲの飼育員・杉本さんのトークショーを楽しんでいると、時刻は13時過ぎに。お腹がめちゃくちゃ空いてきたので、会場内に唯一存在する飲食スペース「めい軒」へ。そして、お店の上に掲げてあるのぼりに驚愕する……。

ク、クロコダイルたこ焼き!!!? しかも名物!?

クロコダイル……ワニだ。種類や場合によってはヒトを襲うこともあるが、チャーミングな見た目を愛する人も多いだろう。体表の美しさから、革素材としても愛されている。

美しく強度の高い革は、時計のベルトやカバンの素材などにぴったりだ。そんなクロコダイルを、食材として見たことがあっただろうか? 私は、ない。加えて700円だなんて。見なかったことにしようとして目を背けると、別ののぼりが目に入ってくる。

『クロコダイルたこ焼き』の字面だけでもヤバさが天元突破しているのに、フォントまで恐い。ガチでワニ肉入ってるのかよ……。

しかもタコ入ってないらしい……。それたこ焼きじゃなくないか? そんなツッコミはさておき、クロコダイルを食べられる機会なんて、もう一生ないかもしれない。ならばここで、食べてみるしかないのでは!?

メニューを見ると、東京限定の『焦がしチーズのクロコダイルたこ焼き(900円)』が。

だし醤油との相性が抜群らしいが、クロコダイルの味を知らないので正直全く想像がつかない。限定だから良いか、とこちらを注文。さらにサメの唐揚げ(800円)まで発見。

もうここまで来たら、サメも食べるしかない!! と半ばヤケでこちらも注文。すぐに出てきたのだが……

めっちゃ普通!!!

たこ焼きなんか、チーズがトロッとしていて美味しそう! 何も知らずに出されたら、中にタコが入ってると信じて疑わないだろう。

唐揚げも、このままコンビニで売っていそうなビジュアル。あまりに見た目が普通すぎて、そういや伊勢でサメの干物食べたら美味しかったし、フカヒレも美味しいよな……と少し冷静になり、サメの唐揚げを食べてみた。

──うん、お魚の唐揚げだな。マグロの唐揚げに似ているかもしれない。特に違和感なく、美味しくいただけた。


サメの唐揚げがこれだけ普通なんだから、クロコダイルも大丈夫なんじゃないか? もしかしたら美味しいのかもしれない! と思い、一気に一口で頬張る。

──なるほど、確かにだし醤油が効いてる。それとは別に、たこ焼きの生地にも味がしっかりついてるな。うんうん、チーズも合う。

ふにゃっとした生地を噛み締めていると、柔らかく蒸した鶏肉のような食感の物体が歯に当たる。そのまま噛んでみると、ほろりと崩れた。これがクロコダイルの肉か! 2、3度噛んでみたが、特に味がしない。食感を楽しむとするか。──と思った、その瞬間。


ウワーッ! なんだコレはッ!?

口中に生臭さがッ!!!


クロコダイルの肉を噛めば噛むほど、生臭さが広がる。満足に手入れされていないアクアリウムから発せられるような臭いが、鼻から抜けていく。

まさか生焼けなのか? と思い、たこ焼きの中身を探り出してみると、小さな白い身が出てきた。

しっかり加熱された魚の身、といった見た目。食感だけでなく見た目からも、生焼けということは絶対にないと断言できる。ではあの生臭さは何かの間違いか……? 確認のためにもう一つ、たこ焼きを食べてみる。


あああああああ!! やっぱりこのクロコダイルの肉そのものが、生臭さの原因だ! 肉だけでなく、クロコダイルの肉が潜んでいたあたりの生地にも生臭さがしみついているッ!! あと4個もあるううううう!!!

勢い余って注文してしまったことを後悔しながら、残り4個もしっかりと噛み締め、もう2度と味わうことはないであろうクロコダイルを食した。恐らくこの味は生涯、忘れることはないだろう。


・ワニは初心者向け

お店の方に伺ったところ、サメの唐揚げに使われているサメは「ネズミザメ」。東北地方などでは「モウカザメ」と呼ばれ、地域によっては普通にスーパーで食用として売られ、愛されているらしい。衝撃的な味の余韻に浸っていたせいか、クロコダイルの種類についてはうっかり伺い忘れてしまった。

その後、珍獣ドクター田向先生の興味深いトークショーを観覧。続けてムツゴロウさんのトークショーを楽しんでいると、今までに食べてきた生き物たちの話題に。司会の方が「会場でもクロコダイルを食べられるのですが」と話を振ると、ムツゴロウさんがピシャリと一言。


「ワニなんて初心者向けだよ!」


ええええええ、あの味で初心者向けなんですか!? ムツゴロウさんに改めて畏敬の念を抱きつつ先程の強烈な味に思いを馳せ、楽園の食べ物を口にするのはやはり危険なのだ、と感慨にふけった。


クロコダイル。もし機会があれば、忘れられない味を求めて口にしてみてはいかがだろうか? きっとかけがえのない、一生の思い出になるだろう。

参考リンク:東京レプタイルズワールド2019
Report:伊達彩香
Photo:RocketNews24.

▼12時頃に完売したらしい「ワニの腕丸ごと一本揚げ」

▼ホール名が可愛い。

▼原則、唯一お触りが許される「ふれあいコーナー」