お金がかかる引っ越し。新しい入居先の家賃、敷金、礼金だけならまだしも、住んでいた場所の退去費用が追加でかかったりしたら目も当てられない。現在、引っ越しの際「壁紙の張替えとか鍵の交換とかで17万も請求された」というTwitterユーザーの話が話題になっている。
17万円あれば、洗濯機や冷蔵庫など家電を新しく買えるかもしれない。そんな金額が退去するだけで吹き飛ぶなんて考えただけで恐ろしいが、不動産屋に「ある言葉」を伝えたら追加費用もなくなり敷金も全額戻って来たのだとか。その言葉とは……
「国交省の賃貸住宅原状回復ガイドラインに従ってほしい」。Twitterユーザー『新川貴詩(@shinkawa_takash)』さんが、不動産屋にこれを伝えたところ、「すぐさま追加費用はいらない、敷金は全額返金すると言ってきた」のだという。
引越しの際、敷金が戻ってこないどころか、壁紙の張替えとか鍵の交換とかで17万も請求された。国交省の賃貸住宅原状回復ガイドラインに従ってほしいと不動産屋に伝えたら、すぐさま追加費用はいらない、敷金は全額返金すると言ってきた。無知につけ込む商法は慎んでもらいたい。#私の住宅要求
— 新川貴詩 (@shinkawa_takash) May 18, 2019
なお、『賃貸住宅原状回復ガイドライン』とは、トラブルの多い賃貸の退去時の費用について、原状回復の基準を国土交通省が定めたもの。ざっくり言うと、原状回復の大家と借主の負担を国が線引きしたものだ。
しかし、17万円の請求とは……。私(中澤)は、そこまで高額の退去費用を請求されたことがないが、今後そういったケースも出てくるかもしれない。そこで元不動産屋のAさんに、この言葉を言っただけで退去費用の請求が撃破できるのかを聞いてみたところ……
Aさん「壁に穴を開けたとか、タバコで床を焦がしたとか明らかな過失がなく請求された場合撃破できます。経年劣化は基本的に大家の負担なので。大家が難癖つけてきて敷金を返さないどころか、金を請求してきたら言った方が良いと思います」
──明らかな過失はないのに不動産屋が退去費用を過剰に請求するということは、不動産業界でよくあることなんですか?
Aさん「最近ではほとんどないとは思います。敷金の返却は1番モメるところで、大家だってモメるのはイヤなんですよ。そもそも賃貸借契約時には重要事項説明が必須で、その辺りの説明が義務付けられています。何十年前ならともかく、いまそんな大家さんは滅多にいないと思いますね」
──なるほど。
Aさん「逆に、ネットが普及してから借主の方が難癖をつけるケースが増えているのではないでしょうか? ちょっと小耳に挟んだ程度の情報で “出るところ出るぞ” 的な。
もちろん過剰な請求は抗議すべきで論外ですが、例えば契約書でクリーニング代を支払うことで合意しているのに、それさえひっくり返そうとするような」
──契約の段階でクリーニング代を支払わないとすることも可能なんですか?
Aさん「可能と言えば可能ですね。ただ、入居をOKするかどうかは大家さんが決めるんです。入居前から面倒を言ってくる借主を、大家さんが入居させてくれるでしょうか?」
──ちなみに、Aさんが担当したもので、クリーニング代が敷金を超えたことはありますか?
Aさん「ないですね。クリーニング代は敷金に収まります」
──とのこと。退去費用の過剰な請求は賃貸で暮らす者にとっては他人事ではない。特に賃貸の多い東京では、明日は我が身かもしれないので、この機会に一度、国土交通省の『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』をチェックしておくことをオススメしたい。
参照元:Twitter @shinkawa_takash、国土交通省『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
ツイート:@shinkawa_takash,used with permission.