いまだかつてないほどの食パンブームが到来している。2018年秋に銀座1号店を出店して以来、絶大な支持を得る「銀座に志かわ」。「うん間違いないっ!」や「乃木坂な妻たち」など、斬新な名前でインパクトのある店づくりを手掛ける、ジャパンベーカリーマーケティング。そのほか、生食パンの元祖と言われる「乃が美」など。日本全国至るところに食パン専門店が誕生している状況だ。
いまに至るブームの先駆けとなったお店は、大阪に2013年に1号店がオープンした「食パン専門店 一本堂」ではないだろうか。その一本堂の新宿本店では、イートインが利用できる。できたての食パンをその場で食べることができる、素晴らしいサービスだ。
・テイクアウトが普通
高級食パン専門店は、チェーンを問わず大抵は持ち帰りのお店である。せっかくの出来たてなのに、家や会社に持ち帰るまでは食べることができない。むしろ、食パンはそんなものであると、誰もが認識しているはずである。その点、このお店はテーブル席が用意されており、1枚200円で厚切りトーストを注文できるのである。
・パンの種類、厚さ、トッピングが選べる
店内に入ってメニューを見ると、パンの種類が選べるようだ。10時に訪ねたこの日は、プレーンな一本堂か生クリーム食パンをオーダー可能だったので、生クリームの方を注文。パンの厚さは2~4センチの間でリクエストできる。また、バター・メイプルシロップ・小倉あん・ホイップクリームの4種のトッピングからいずれか1つを選ぶ。
私(佐藤)は、厚さ4センチ、トッピングは小倉あんで、追加トッピング(+10円)でバターを注文した。
そして、出来たて焼きたて食パンとご対面!
さすが食パンの専門店。その素焼きの状態でさえ、十分にウマそうだ。家庭のトースターで焼くよりも、はるかにきれいな焼き目が付いている。これにバターをのせる。
まるで美しいオブジェを見ているようだ。このままアクリスケースにでも入れて、玄関先にでも飾っておきたい気分。個人的には、パンがアツアツで、バターをのせたその場から溶け出す方が好みだが、これはこれでいい。十分美しい。
パンの断面を見ると、生地の断面は実に繊細だ。ふんわりとしているのに、目がしっかりと詰まっている。
・「小倉バター」という名の奇跡
さらにバターの上から小倉あんを塗りたくると、「小倉バター」というトーストの食べ方を考案した人に、敬意を表したい気持ちになった。「洋」のバターと「和」のあんこ。この2つが手を取り合うことで、異なる食文化が融合するのである。
この2つの食材が手を取り合う場所、それが生クリーム食パンの上である。ウマくない訳がないじゃないか。
見た目通りに、パン生地は緻密にして繊細、サックリとした歯ごたえでありながら、口のなかで繊維がほどけるようにしてトケる。ウマい食パンを1枚200円で食えるなんて、最高のぜい沢だ。ほかのお店でもイートインを増やせばいいのに。食パン専門店のパイオニアである一本堂のほかの店舗でも、出来たてを食べられるようになることを願うばかりだ。
・今回訪問した店舗の情報
店名 食パン専門店 一本堂 新宿本店
住所 東京都新宿区富久町22-2
営業時間 9:30~19:00
定休日 月曜日(祝日の場合は翌火曜日)
Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24