ネットに個人情報を書き込むのはヤバイ。これはインターネットを使う上で最低限知っておいた方が良い常識と言えるだろう。
そんな個人情報を本人に無断で掲載することをネット用語で「さらす」と言うが、さらされると一体どうなってしまうのか? 10年前、ネットの巨大掲示板に電話番号をさらされた人物に話を聞いてみた。
・某巨大掲示板にさらされた菜々子さんの場合
「顔出しなし、仮名なら」という条件で話を伺ったのは30代の菜々子(ななし)さん。現在、会社員である菜々子さんは、10年前に某巨大掲示板に携帯電話の番号がさらされてしまった。
TwitterやFacebookなどのオープンなSNSがまだ今ほど発達しておらず、ネット掲示板が全盛の時代。まさに、飛んで火に入る夏の虫だが、なぜさらされていることに気づいたのか?
菜々子さん「突然、非通知の電話が鳴りやまない状態になったんです。履歴はあっという間に非通知の着信で埋まって夜中も絶え間なく鳴り続ける感じで。普段どちらかと言うと電話は鳴らない方なので、おかしいと思っていたら友達に『さらした』と告げられました」
──その状態はどれくらい続いたんですか?
菜々子さん「絶え間なく鳴り続けたのは3日間くらいで、その後は少しずつ減っていきましたね。ただ、半年経ってもイタズラ電話がかかってくることはありました」
──なぜ、削除してもらわなかったんですか?
菜々子さん「友達に『削除したら余計にひどくなる』と言われ、私自身ネットにそこまで詳しくなかったため言う通りにしました」
──その電話に出たことはありますか?
菜々子さん「はい」
──電話の内容はどういったものでしたか?
菜々子さん「ほとんどは無言電話ですね。ただ、通知のある着信だと『ネットに番号がさらされてますけど大丈夫ですか?』って気づかってくれる人もいたりして……。その時は、ちょっと人の温かさに触れた気持ちになりました(笑)」
──印象に残っている出来事とかありますか?
菜々子さん「大阪の女の子からかかってきた電話ですかね。声の感じは20代前半くらいで落ち着いてました。やっぱり心配してくれて『経緯や状態をお会いしてお伺いできませんか?』と言ってくれて。私もテンションが上がってしまい話が盛り上がりました」
──ほうほう、それで会ったんですか?
菜々子さん「お会いしてもいい旨は伝えたんですが、その後連絡はなかったですね。……はあ、笑い声可愛かったな」
──とのこと。物憂げなため息をつく菜々子さんだった。なお、前述の通り、半年くらいで電話がほぼかかってくることもなくなったので番号は当時のままだという。
直接的な被害は無言電話だけだったようだが、不特定多数が見るネットの海には想像もつかない魔物も潜んでいることがある。やはり個人情報の取り扱いに注意するに越したことはないだろう。
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]